2026.01.10
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ポメラートのゴールドチェーン、黄金に駆けるスピリットとミラノ発クラフツマンシップの軌跡
ポメラートのジュエリーを手に取ると、最初に目を奪うのはゴールドそのものの存在感ですが、時間をかけて眺めるほどに、そこに潜む「動き」のニュアンスが浮かび上がってきます。肌の上でしなやかに揺れるチェーン、光を細やかに反射するリンクの表情は、ミラノのアトリエで重ねられてきた職人たちの試行錯誤の証でもあります。ブランド名の由来となったまだら模様の馬のイメージや、馬の頭部の刻印に込められた精神を知ると、一本のチェーンに宿る物語の濃度が変わって見えてきます。ポメラートが「黄金に駆けるスピリット」と呼ぶ世界観は、日々のスタイルにさりげなく物語性を添えたい人にとって、心強い味方になってくれるはずです。
1967年、ピノ・ラボリーニがジュエリーの世界へ踏み出したとき、父から掛けられた「勝ち馬に乗れ」という言葉は、その後の歩みを象徴するフレーズになりました。彼は幼い頃から惹かれてきた馬のしなやかな佇まいに想いを重ね、メゾンの名に「ポメラート(pomellato)」を選びます。この名称は、希少なまだら模様の毛並みを持つ馬を指す言葉であり、偶然ではなく、自身の美意識と切り離せない出会いだったといえます。ブランド名そのものにストーリーを託すことで、ポメラートは創業時からジュエリーを「物語る存在」として提示してきたように感じられます。
「ポメラート」という言葉は、毛並みの美しさを描写するだけにとどまりませんでした。ラボリーニは斑点の連なりの中に、光と影が行き交うダイナミックな動きを見出します。陽光を浴びて駆ける馬の体表には、斑点が連続するモザイクのようなパターンが現れ、その変化に富んだ表情が彼の想像力を刺激したのです。このしなやかな動きのイメージこそがメゾンの哲学となり、やがてポメラートを象徴するゴールドチェーンの誕生へと結びつきます。硬質な素材に流れを吹き込む発想は、今も続くポメラートのクリエイション全体を方向づけるエネルギーとして息づいているように感じられます。

常識を打ち破る
ラボリーニは、それまで脇役と見なされることの多かったチェーンに目を向け、そのポテンシャルを引き出すことで主役級のジュエリーへと押し上げました。彼が構想したチェーンは、単にペンダントを支えるためのパーツではなく、「ポメラート」というメゾンの本質そのものを映す存在として生まれたものです。個性と躍動感、そして身に着けたときにはじめて完成する動きのニュアンスが、チェーンの一つ一つのリンクに込められています。まだら模様が馬の身体を流れるように、ポメラートのチェーンは硬質なゴールドをしなやかなリズムへと変え、初期の作品ではあえて完璧な均一性を避けたリンクの形が、職人の手仕事による有機的な美しさをそのまま伝えています。現代のレイヤードスタイルに合わせても、こうしたチェーンがひと目で印象に残る理由は、まさにこの独自の表情にあるといえます。
高級ジュエリーメゾンにまだら模様の馬の名を冠すること、そしてチェーンそのものをファインジュエリーの主役に据えることは、1960年代のジュエリー界では型にはまらない選択でした。従来の価値観に揺さぶりをかけるこの二つの決断は、どちらもピノ・ラボリーニが抱いていた明確なビジョンを物語っています。つまり、既存のルールに従うのではなく、自らの美意識でエレガンスを再定義し、革新性をデザインとして提示していくという姿勢です。ポメラートのチェーンが、時代を超えてモダンに映るのは、そうした精神が一本一本のリンクに託されているからだと感じられます。
金細工の芸術
馬の名に由来するブランド名とゴールドチェーンとの結びつきは、視覚的なイメージにとどまらず、メゾンが追求する美の哲学と深く重なっています。熟練の職人によって手作業で形づくられる各リンクは、「ポメラート(pomellato)」という名が象徴する価値観を具現化した存在です。わずかなゆらぎを残した有機的な不規則さを意匠として昇華すること、肌の上で動き続けることを前提にしたジュエリーであること、美しいフォルムを追い求めながら自然な形のニュアンスを尊重するクラフツマンシップが、一つのチェーンの中で共存しています。そうした背景を知ると、ゴールドチェーンを身に着けたとき、単に輝きだけではない奥行きが感じられるのは、この哲学が密かに息づいているからだと分かります。
ミラノの金細工職人たちは、ポメラートが生まれるより前から、ゴールドの真価は輝きだけでなく「動き」に宿ることを肌で理解していました。彼らは従来のジュエリーの枠を越えた表現に挑み、ゴールドをしなやかに扱うことで芸術の域へ押し上げていきます。すべてのチェーンリンクは、一つずつ手で形を整え、磨き上げ、丁寧につなぎ合わせる工程を経て完成します。この積み重ねによるクラフツマンシップがポメラートのシグネチャーとなり、イタリアン・エクセレンスに新しい基準をもたらしました。実際に身に着けたとき、ゴールドが首筋や手首に沿って柔らかく揺れる感覚こそが、その哲学を日常で体感できる瞬間といえます。


動き続ける伝統
ポメラートの作品に刻まれた馬の頭部の刻印は、ブランドならではのオリジナリティを示すシンボルとして機能しています。単なるマークではなく、メゾンのDNAを形づくる革新的な精神の象徴です。価値観の更新を続ける都市ミラノにおいては、伝統に根ざした感性と反骨的なエネルギーが交差し、女性たちが自らの生き方や役割を更新し、ジュエラーたちもまた新しい美を探し求めてきました。その気風はポメラートのクリエイションにも受け継がれ、今もなお各コレクションに息づいています。ジュエリーの世界において「ラグジュアリー」の意味を問い直しつつ、表現の可能性を広げ続ける姿勢が、この小さな刻印からも伝わってくるようです。
ポメラートのチェーンを身に着けることは、ブランドのはじまりにある物語と精神を体にまとうことでもあります。しっかりとしたゴールドの重みは、動きに合わせて揺れるうちに不思議と軽やかな印象へと変わり、硬さを感じさせないほど流れるような表情を見せます。なめらかに連なるリンクが光をとらえるたびに、チェーンそのものが生き生きとした存在感を放ちます。主張しすぎないのに、ひとたびスタイリングに加えると装い全体の印象を引き上げてくれる強さがあり、まさにポメラートならではの気品とエネルギーが共存したチェーンだと感じられます。
生き続けるレガシー
現在もポメラートのチェーンは、創業当初から受け継がれてきた哲学を体現するアイコンとして位置づけられています。1970年代に生まれた初期のデザインから、現代の「カテネ」や「イコニカ」コレクションに至るまで、すべてのチェーンには革新を重ねてきたレガシーが息づいています。ミラノのアトリエで生み出されるチェーンは、動きの自由さ、職人技による唯一無二の表情、そして綿密に仕上げられたリンクがもたらす確かな強さをあわせ持ちます。首元で一連のチェーンとして楽しむときも、ブレスレットとして重ねづけするときも、その存在がスタイルの軸になってくれるのは、こうした要素が見事に調和しているからだといえます。
ポメラートというメゾンは、ブランド名に込められた由来を通して、自らの価値観を明確に打ち出してきました。ゴールドが描くしなやかな動きの中に漂う優雅さ、自分らしさを支える自立した強さ、そして目を留めずにはいられない特別な輝き。そのすべてがポメラートのジュエリーに集約されています。創業者ピノ・ラボリーニがまだら模様の馬にインスピレーションを見出し、その名をメゾンに託した瞬間から、それは単に呼び名を選んだという行為を超え、一つの美意識を世界に示す宣言だったと考えられます。
だからこそ、ポメラートのゴールドチェーンは、今もメゾンの精神を最も雄弁に物語るステートメントピースであり続けています。過去と現在、受け継がれてきた伝統と革新への挑戦、そして女性たちとその内側にある力をつなぐ黄金のリンクとして、ブランドの歴史を体現しているのです。名前の由来となった伝説的なまだら馬のイメージのように、それ自体が一つの美の象徴であり、真の豊かさとは既存の価値観に従うことではなく、新しい伝統を生み出す勇気の中に息づくものだと教えてくれます。ポメラートはこれからも、思いがけない場所から比類のない美しさをすくい上げ、ゴールドチェーンに託していくはずです。

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