2025.09.09
カテゴリ: イベント
ポメラート × ヘルムート・ニュートン展、1980年代のビジュアル史を再発見する表参道エキシビション
表参道のOMOTESANDO CROSSING PARKに、写真とジュエリーが出会う舞台が整いました。ポメラートがヘルムート・ニュートンの視点を軸に据え、1980年代の空気を現在へ呼び込むメゾン初の単独展を始動します。大判プリントで迫るモノクロのドラマは、装いの記号性だけでなく、身に着ける行為そのものに宿る意志を照らします。アーカイブジュエリーの存在感と、当時の広告表現が持っていた先鋭性が同じ空間で呼応し、ラグジュアリーの意味を静かに更新していく。ポメラートとヘルムート・ニュートン、その交差点が今、東京で立ち上がります。
Copyright Helmut Newton Foundation / Trunk Archive
ミラノのジュエリーメゾン、ポメラートが企画する展覧会は「ポメラート、ヘルムート・ニュートン&1980年代」。伝説的写真家ヘルムート・ニュートンのビジュアルに特化した、メゾンとして初の単独展です。会場は東京の中心地、表参道のOMOTESANDO CROSSING PARK。9月18日から一般公開され、女性のエンパワーメントと大胆な表現が花開いた時代を改めて見つめ直す構成です。ファッションを文化体験として楽しむ来場者に、写真とジュエリーの関係性を立体的に示します。

Copyright Helmut Newton Foundation / Trunk Archive
ポメラートは早くからファッションフォトグラファーとの協働を取り入れ、従来のラグジュアリー広告の枠を更新してきました。自由を手にした1980年代の女性たちが求めたのは、自立を映すジュエリーという気づき。その視点から生まれたアプローチは、優雅さと現代性を備えた作品群へと結実します。巨匠とのコラボレーションにより広告表現は芸術の領域へ接続され、卓越した職人技と洗練された美学、そして女性の自立を支えるデザインというメゾンの核が明確になりました。
展示の中心は、1982年から1984年に制作されたポメラートのキャンペーン写真。モノクロームの強いコントラストが誌面を飾り、フルページで読者の視線を射抜いたラージフォーマットを、本展で初めてまとめて紹介します。広告手法を塗り替えたコンセプトの斬新さが、プリントのスケールとともに立ち上がり、ジュエリーが語る物語をより生々しく感じさせます。
会場では、ニュートン独自のアングルが連続的に展開します。バーで寛ぐサングラスの女性の手首に添えられた一本のブレスレット。テーブルの上で波紋のように広がるネックレス。いくつものブレスレットを捉えたクローズアップ。いずれも装飾の域を超え、身に着ける人の主体性を映す視点です。他者から与えられる記号ではなく、自分のために選ぶジュエリーという考え方を、写真が明確に可視化します。
ポメラートグループCEOのサビーナ・ベッリは、キャンペーンが時代の空気を封じ込める役割を担うと語ります。1980年代、ニュートンの視点は「ジュエリーを身につけることは、自分自身の一部を表現すること」というメゾンの信念を鮮明に示しました。美しさと挑む意志を宿す女性像を描いたことで、当時の華やぎだけでなく社会的変化までを画面に刻んだ点が革新的でした。今見ても胸に残る強いメッセージ性が、その評価を裏付けます。
併設のアーカイブ展示では、ポメラートのヘリテージが一望できます。自然なカーブが印象的な名作グルメチェーン、イエローゴールドとダイヤモンドが建築的に構成された「Gate-link」ネックレス、上質な織物のように流れる「Tessute」のマスターピース。創業者ピノ・ラボリーニが受け継いだ金細工の系譜に支えられたチェーンづくりの粋が息づいています。さらに「フリージェム」という哲学により、色鮮やかなジェムストーンがラグジュアリーの表現を広げました。
ヘルムート・ニュートン財団写真美術館ディレクターでキュレーターのマティアス・ハーダー氏は、ポメラートのためのニュートン作品を1980年代を代表する重要作と位置づけます。女性が主役として立つ構図、ヌーヴェル・ヴァーグを想起させる場面設定、ジュエリーの革新的な見せ方。その数々が今回、大きなサイズで東京に集う意義は大きいと述べています。
「ポメラート、ヘルムート・ニュートン&1980年代」は、挑発するイメージと精緻な職人技が対話する場です。クリエイティビティ、ファッション、作家的写真が混ざり合いラグジュアリーの新時代を切り拓いた1980年代ミラノの価値観は、今もメゾンの血脈として受け継がれています。展示空間に身を置くことで、その遺産が現在のスタイルへどのように接続しているかが鮮明になります。
「ポメラート、ヘルムート・ニュートン&1980年代」
会場:OMOTESANDO CROSSING PARK(東京都港区南青山5-1-1)
期間:2025年9月18日(木)~10月6日(月)
時間:日~木:11:00~20:00 / 金・土:11:00~21:00 ※9月18日(木)のみ16:00クローズ
入場:無料(予約制)
予約サイト:https://pomellato.my.site.com/s/tokyo-exhibition-2025?language=ja&SALESPERSON_qr=C70863000004&STORE_qr=C070860
【Editor's View】
ポメラートとヘルムート・ニュートンの出会いは、ジュエリーを「見るもの」から「生きる選択」へと拡張した転換点だと感じます。写真の強度とアーカイブピースのテクスチャーが同じ温度で並ぶことで、1980年代の価値観が現在の装いへ静かに橋を架ける。表参道という都市のリズムの中で体験すると、そのメッセージは日常へ自然に落とし込めます。ファッションを自己表現として楽しむ人に、確かな余韻を残す展示です。
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