Brand JOY

ティファニー TIFFANY & CO. ジャン・シュランバージェの創造性を未来へ、約1万点のデザイン画と資料を保存・デジタル化

ジュエリーが形になる前に、まず一枚の紙がある。ティファニーが新たに始動するのは、ジャン・シュランバージェが残した創造の軌跡を未来へつなぐ、アーカイブ保存とデジタル化の大規模な取り組みです。パリ装飾美術館と連携し、約5,000点のオリジナルデザイン画と約5,000点のアーカイブ資料を対象に、修復とデジタルアーカイブ化を進めます。その始動を記念して、パリ・ファッションウィーク 2026では「鉛筆なしでは何も生まれません(I Am Only a Pencil)」を開催。スケッチ、資料、そこから生まれたジュエリーを並べることで、シュランバージェの想像力がどのように一つの作品へ変わっていったのかを立体的に浮かび上がらせます。歴史を保存するだけでなく、未来の創作へ開いていくプロジェクトです。

ティファニー TIFFANY & CO.  JS, sketch for the Tulips necklace, 1959, MAD

JS, sketch for the Tulips necklace, 1959, MAD
ティファニー TIFFANY & CO.  Tulips Necklace, Jean Schlumberger for Tiffany & Co. 1959 The Tiffany Archives
Tulips Necklace, Jean Schlumberger for Tiffany & Co. 1959 The Tiffany Archives

ティファニーは、ジャン・シュランバージェが遺した創造の軌跡を次世代へつなぐため、パリ装飾美術館と新たなパートナーシップをスタートさせます。ティファニー アーカイブスが中心となり、約5,000点のオリジナルデザイン画と約5,000点のアーカイブ資料を対象に、修復とデジタルアーカイブ化を実施。紙の上に残された発想や制作の記録を長期的に保存し、研究者、キュレーター、デザイナーらが将来にわたってアクセスできる環境を整えます。ジュエリーとして完成した作品だけでなく、その源となったドローイングや資料まで含めて残すことで、シュランバージェの創造性そのものを未来へ渡していく試みです。

この取り組みの始動を記念し、ティファニーはパリ・ファッションウィーク 2026で「鉛筆なしでは何も生まれません(I Am Only a Pencil)」を開催します。展示では、シュランバージェが描いたオリジナルデザイン画、アーカイブ資料、そしてそこから生まれたジュエリーを同じ空間に並べ、アイデアが紙の上から立体的な作品へ移っていく過程に光を当てます。さらに学術的な監修ではバージニア美術館と協力。デザイン史と保存研究の双方からシュランバージェの仕事を読み解くことで、ジュエリーを完成品として眺めるだけでは見えにくい、創作の背景まで伝える展示になっています。

会場では、シュランバージェのオリジナルデザイン画とともに、ティファニーを代表する貴重なクリエイションも紹介されます。なかには、彼の親しい友人であり、園芸家・慈善家として知られたレイチェル・ランバート・「バニー」・メロンが所有していた作品も含まれます。スケッチと完成したジュエリーを隣り合わせに見ることで、線や色、立体感のアイデアがどのように作品へ変換されたのかを追える構成です。紙の上に描かれた一見自由な発想が、職人の技術と素材の選択を経て、現実のジュエリーとして立ち上がる。その変化こそが展示の中心的な見どころとなっています。

ティファニー TIFFANY & CO.  JS, Sketch for the Pectoral Cross for Rachel Bunny Mellon, 1959, MAD
JS, Sketch for the Pectoral Cross for Rachel Bunny Mellon, 1959, MAD
ティファニー TIFFANY & CO.  Jean Schlumberger Pectoral Cross 1960 “THE VIRGINIA MUSEUM OF FINE ARTS/ESTATE OF MRS PAUL MELLON”
Jean Schlumberger Pectoral Cross 1960 “THE VIRGINIA MUSEUM OF FINE ARTS/ESTATE OF MRS PAUL MELLON”

1956年にティファニーへ加わったシュランバージェは、メゾンのジュエリーデザインに新しい創造性をもたらしました。自然界を重要な着想源とし、鳥や花、海の生き物、幻想的な形態までを独自の線と色彩で捉え、現実と空想の境界を越えるような作品へと展開。ダイヤモンドや色鮮やかな宝石、ゴールド、エナメルを組み合わせた立体的な造形も、その世界を特徴づけています。とりわけ「Bird on a Rock」は1965年に発表されて以来、シュランバージェの代表作として知られる存在です。自然をそのまま写すのではなく、そこから得たイメージを大胆な造形へ変える発想が、現在のティファニーにも受け継がれています。

ティファニー TIFFANY & CO.  JS, Sketch for Mermaid for Rachel Bunny Mellon, ca. 1965, MAD
JS, Sketch for Mermaid for Rachel Bunny Mellon, ca. 1965, MAD
ティファニー TIFFANY & CO.  Jean Schlumberger Mermaid 1969 “THE VIRGINIA MUSEUM OF FINE ARTS/ESTATE OF MRS PAUL MELLON”
Jean Schlumberger Mermaid 1969 “THE VIRGINIA MUSEUM OF FINE ARTS/ESTATE OF MRS PAUL MELLON”

展示は、まずシュランバージェのオリジナルデザイン画から始まり、そこから創作プロセスや人生を伝えるアーカイブ資料、写真へと進みます。続いて「ヘッジズ アンド フラワーズ」ネックレス、「ジャスミン」ネックレス、「チューリップ」ネックレスなど、対応するジュエリー作品を見比べられる構成に。さらに、シュルレアリスムの影響やクチュールファッションとの関係を紹介するギャラリーを経て、最後は「バード オン ア ロック」に焦点を当てます。特別公開されるのは、バニー・メロン夫人が所有していた初期の「バード オン ア ロック」ブローチ。ラピスラズリの上に鳥が佇むデザインを通して、シュランバージェが自然のモチーフをいかに自由なジュエリーへ変えていったのかを印象づけます。

ティファニー TIFFANY & CO.  JS, sketch for Bird on a Rock, ca. 1965, MAD
JS, sketch for Bird on a Rock, ca. 1965, MAD
ティファニー TIFFANY & CO.  Jean Schlumberger Bird on a Rock 1965 Collection of Rachel “Bunny” LambertMellon (1910–2014)The Virginia Museum of Fine Arts, 2015.109“THE VIRGINIA MUSEUM OF FINE ARTS/ESTATE OF MRS PAUL MELLON”
Jean Schlumberger Bird on a Rock 1965 Collection of Rachel “Bunny” LambertMellon (1910–2014)The Virginia Museum of Fine Arts, 2015.109“THE VIRGINIA MUSEUM OF FINE ARTS/ESTATE OF MRS PAUL MELLON”

ティファニー、パリ装飾美術館、バージニア美術館が協力する「I Am Only a Pencil」は、シュランバージェの作品を紹介するだけでなく、創作記録を未来へ保存する意味まで伝える取り組みです。オリジナルのデザイン画、アーカイブ資料、完成したジュエリーを一つの流れとして見せることで、繊細な紙資料を守ることと、その内容を次世代へ広く開いていくことの両立を目指します。シュランバージェが残した想像力を過去の記録として閉じるのではなく、研究やキュレーション、新たなデザインへつながる資産として捉える。その視点が、今回のパートナーシップと展示を結ぶ核になっています。



【Editor's View】
今回の取り組みで最も印象に残るのは、完成したジュエリーではなく、その前段階にある「線」を未来へ残そうとしていることです。シュランバージェは、まずデザイン画を描き、そこから自然や空想のモチーフを立体的なジュエリーへ発展させました。ティファニー公式の紹介でも、彼の作品は鳥や花、海洋生物、星などを大胆な色彩と立体的な造形へ変換したものとして位置づけられています。なかでも1965年に誕生した「Bird on a Rock」は、現在もハイジュエリーからファインジュエリーまで展開が広がる、シュランバージェの創造性を象徴する存在です。今回、パリ装飾美術館との協働で約5,000点のデザイン画と約5,000点の資料を修復・デジタル化することは、作品を保存するだけでなく、「どう考え、どう描き、どう形にしたか」という創作のプロセスを後世へ引き渡すことでもあります。4年間の保存プロジェクトと「I Am Only a Pencil」は、その意味で一つの展示に留まりません。過去のスケッチを未来の研究と創作へ開く、アーカイブそのものを新たな創造環境として捉える試みです。

BRAND SEARCH

CATEGORY

ABOUT

「BRANDJOY.JP」はラグジュアリーブランドなどの最新動向に関連するニュースをセレクトしてお届けしています。新作やコレクションを中心に、新規オープン、ビジネス・業界情報をまとめてチェック。

ARCHIVES



月間 TOP 10 ARTICLES

TOP