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ブレゲ「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」と「ペルル・アンぺリアル」で辿る王妃カロリーヌの腕時計の系譜

腕時計が「ジュエリーの延長」としてではなく、「物語を帯びた装飾芸術」として語られるとき、ブレゲ「レーヌ・ドゥ・ナープル」はその象徴的な存在として浮かび上がります。ナポリ王女カロリーヌ・ミュラが手首に着けた最初期の腕時計に遡るこの系譜は、現代の「クレイジー・フラワー」と「ペルル・アンぺリアル」にしなやかにつながっています。ダイヤモンドを反転させたセッティングや、虹彩を宿したオパール、アコヤパールのブレスレットなど、ディテール一つひとつが時代と美意識のレイヤーを重ねるかのよう。単に高価な素材を集めた時計ではなく、「物語をまとうアクセサリー」を求める人にこそふさわしいオートオルロジュリーです。

ブレゲ「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」と「ペルル・アンぺリアル」、花と真珠で語るオートオルロジュリー

レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー

「レーヌ・ドゥ・ナープル」は、数あるブレゲのコレクションのなかで唯一、最初から最後まで女性のために構想されたフェミニンなシリーズです。マニュファクチュール創立250周年という節目にあたり、ブレゲはこのアイコニックなラインから「クレイジー・フラワー」と「ペルル・アンぺリアル」という2つの新作を披露します。記念のために特別にブレゲゴールドで仕立てられたこれらのモデルは、いずれもオートジョアユリーの領域に属する豊かな表現力を備え、ブレゲが培ってきたタイムピースとハイジュエリーの出会いを鮮やかに物語ります。

しなやかさと品格、そして自然体の美しさをあわせ持つこと。それが「レーヌ・ドゥ・ナープル」の新作「クレイジー・フラワー」と「ペルル・アンぺリアル」に共通するDNAです。両モデルには、ブレゲが誇るオートオルロジュリーの精緻な技と、オートジョアユリーの繊細な宝飾技術が密接に結びついていて、ひとつの時計のなかで高級時計製造と高級宝飾という二つの世界が響き合う構成になっています。

「クレイジー・フラワー」には、合計408個ものダイヤモンドが使用され、ケースから文字盤、ベゼル、ケースバンド、リュウズに至るまで、光を受けて輝く石が全面に敷き詰められています。ケース部分では、温かみのあるブレゲゴールドの上でダイヤモンドの存在感がいっそう際立つよう、石がわずかに自由に動く特別なセッティングが採用されています。一方、アコヤパールをポイントにあしらった「ペルル・アンぺリアル」では、オパールの文字盤がダイヤモンドによって隙間なく彩られ、柔らかな光沢と強いきらめきが共存する表情に仕上がっています。

「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」が告げる貴重な時

【Youtube:ブレゲ①の投稿が表示されます】


そよ風に揺れる花の姿を腕元で表現した「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」は、ダイヤモンドの動きによって手首のしなやかな軌跡を映し出すモデルです。インスピレーションの源となっているのは花木プルメリアであり、その花弁が持つ白や黄色のニュアンスが、ダイヤモンドの透明感やブレゲゴールドの温かいトーンの中に巧みに反映されています。タイムピースそのものがひとつの花のように息づき、腕の動きに応じて表情を変える構想です。

ブレゲのジュエリー職人たちは、この「クレイジー・フラワー」のために、完全な手仕事による三重構造の動く花冠を新たに考案しました。この花冠はバゲットカット・ダイヤモンドを全面にパヴェセッティングした構造になっており、同心円状に重なる3つの楕円の輪に「レーヌ・ドゥ・ナープル」コレクション特有の輪郭が正確にトレースされています。ダイヤモンドは、揺れ動くことを前提に作られたブレゲゴールド製の3つの土台に、ひとつひとつ手作業で留められています。さらに、この花冠は手首の自然なカーブになじむよう二重に湾曲しているため、腕を優雅に動かすたびに「クレイジー・フラワー」に命が宿ったかのように、連続性のある滑らかな揺らぎが生まれます。

「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」の中心に位置する文字盤では、まず下部中央に2本のブレゲ針が据えられ、そのまわりを囲むように20個のバゲットカット・ダイヤモンドが時と分を示すトラックを形づくっています。この2本の針はブレゲゴールドで作られており、文字盤全体が持つ自然な湾曲に沿うよう、職人が一本ずつ手作業で中心軸に取り付けています。その背景となる文字盤のベースには全面的にダイヤモンドのパヴェセッティングが施されていて、カーブした面全体にわたって採用された独自のセッティングが、光の流れを複雑に反射させる構成になっています。

この特異な造形のために特別に開発されたのは、逆向きのセッティング、すなわちダイヤモこうした特別な立体造形を実現するために新たに開発されたのが、ダイヤモンドを「逆向き」に留めるという独自のセッティングです。具体的には、通常上側に向けられるテーブルをあえて文字盤側に、尖ったキューレットを上向きに配置する方法が用いられており、それぞれの石が花の中央に並ぶめしべの姿を思わせます。この結果として、従来の留め方とはまったく異なる種類のきらめきが生まれ、太陽光線はダイヤモンドで構成された花のめしべのまわりに集められたあと、貴石が林立するような空間を蛇行しながら進み、ブレゲゴールドで描かれた曲線や渦巻きのラインの上で豊かな反射を放つようになっています。

ケースの12時位置には、ブレゲゴールドでかたどられた「Breguet」のサインロゴが控えめに配され、その内側で鼓動を刻むのがキャリバー586/1です。このムーブメントは約38時間のパワーリザーブを備えつつ、厚さわずか3.9mmというスレンダーなプロポーションに仕上げられており、サファイアクリスタル製のケースバック越しにその姿を鑑賞することができます。プラチナ製の自動巻ローターには、手作業によるギヨシェ彫りでバイカラーの「プチ・トリアノン」模様が初めて刻まれており、この意匠がブレゲ・マニュファクチュール250周年を祝う新作シリーズの一員であることを静かに物語っています。

「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」は受注生産によって一点ずつ仕立てられ、それぞれにサテンのような艶感を持たせたシャンパンカラーのアリゲーターレザーストラップが組み合わされています。バックルにはブレゲの三つ折りデプロワイヤントタイプが採用されており、その表面には合計28個のダイヤモンドが配されて、留め外しの所作までも宝石の輝きで彩ります。このモデル全体に使用されているダイヤモンドのトータルは436個、総計37.2カラットに達しており、ハイジュエリーウォッチとしての存在感とブレゲならではの繊細な表情が共存する一本になっています。
 
レーヌ・ドゥ・ナープル ペルル・アンぺリアル : アコヤパールを称えて

【Youtube:ブレゲ②の投稿が表示されます】


一方で「レーヌ・ドゥ・ナープル ペルル・アンぺリアル」は、素材構成の中心にアコヤパールを据えたタイムピースです。もっとも価値が高いとされるアコヤパールは、完全に滑らかな表面と整った丸み、そして虹彩を帯びた独特の光沢を備えており、19世紀末から日本で養殖されてきた歴史を持ちます。そのアコヤパールが文字盤の中心で穏やかな光を放ち、「ペルル・アンぺリアル」という名にふさわしい気高い印象を、この時計全体に与えています。
 
物語の舞台は、時をさかのぼって同じ世紀のヨーロッパへ移ります。ブレゲ・マニュファクチュールが「レーヌ・ドゥ・ナープル」という名に込めた由来は、ナポリ王女カロリーヌ・ミュラというひとりの女性に結びついています。1782年から1839年まで生きた彼女は、アブラアン・ルイ・ブレゲから、手首に着けることを前提に考案された初期の腕時計を手にした人物として知られています。それは、懐中時計をそのまま腕に移し替えたものではなく、手首に沿う時計という発想そのものが新しかった時代の「本当の意味での腕時計」であり、「レーヌ・ドゥ・ナープル」コレクションの源流として現在の作品に静かに息づいています。
 
「レーヌ・ドゥ・ナープル ペルル・アンぺリアル」は、ダイヤモンドとケースフォルムが織りなす密やかな対話をテーマにしたモデルです。ケースバンド、フランジ、ベゼルといった外装のあらゆる面にはダイヤモンドが配されていますが、その留め方にはハート形の爪を用いる独特のセッティングが採用されています。ケースを囲む格子状の石留め部分では、ブレゲゴールドの台座「バット」と呼ばれる小さな土台に、カットの大きさがグラデーションを描く38個のダイヤモンドをひとつずつセットする構造です。ゴールド製の窪みはひとつずつ職人の手によって掘り起こされ、面を磨き上げ、熱によって接合されることで、立体感のある光のレースのような表情が生まれています。

文字盤の世界では、別のアプローチでダイヤモンドが生かされています。ベースとなるダイヤルはスノーセッティングによって210個のブリリアントカット・ダイヤモンドで覆われ、その上の12時位置にはペアシェイプ・ダイヤモンドが一石、印象的なポイントとして配されています。オフセンターダイヤルはブラジル原産のオパールで構成され、その上をブレゲゴールド製のブレゲ針が静かに回転します。オパールはグリーン、ピンク、ブルーのニュアンスを行き来しながら、やがてグリーンからグレーへと移ろう虹彩を放ち、その上にブレゲゴールドの4つのブレゲ数字と8つのインデックスが置かれてチャプターリングを形づくります。石の色彩と貴金属の輝きが、時刻表示という機能をひとつの小さな情景のように見せてくれます。

ケースの6時位置に目を移すと、楕円形のケースと対話するように完全な球形のアコヤパールが据えられています。「レーヌ・ドゥ・ナープル」の象徴的なディテールとして知られる丸いアタッチメントのモチーフを、このモデルではアコヤパールがそのまま担っている構成です。柔らかくセンシュアルなムードをたたえたアコヤパールは、繊細な虹彩を帯びた輝きでベゼルの一部として存在しつつ、ブレゲゴールドを用いた初のブレスレットにも連なっていきます。ブレスレットの中央列は、このアコヤパールそのものによって構成されており、ケースからブレスレットに至るまで真珠のラインが途切れなく続くデザインになっています。

ブレスレットの両側に相対する2列のリンクはブレゲゴールド製で、センターを成すアコヤパールの列を挟むように配されています。ゴールドとパールという異なる素材のコントラストと、その組み合わせが生むきらめきが、手首まわりに華やかなニュアンスを加えます。それらをスムーズにつなぐのが、しなやかにリンクを連結するブレスレット構造で、装着時の動きにも自然に追随します。また、同じコレクションには、サテンのような質感に仕上げたシャンパンカラーのアリゲーターレザーストラップを組み合わせたバリエーションも用意されており、ブレスレット仕様とは異なる表情で「ペルル・アンぺリアル」の世界を楽しめます。

「レーヌ・ドゥ・ナープル ペルル・アンぺリアル」の裏側には、表情豊かな機械の世界が広がります。サファイアクリスタルのケースバックは、周囲をケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ彫りで縁取られており、その窓越しに見えるのは、プラチナ製の自動巻ローターに「プチ・トリアノン」模様のギヨシェ彫りを施したムーブメントです。個別番号とBreguetのサインが刻まれたキャリバー586/1は、約38時間のパワーリザーブを備え、表側のジュエリーライクな印象とは対照的に、精緻で静かな機構美をたたえています。ケースバックから覗くこの景色が、「ペルル・アンぺリアル」が装飾品であると同時に、ブレゲ・マニュファクチュールの技術を結晶させたタイムピースであることを物語っています。

詳細を見る

ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211
ブレゲ ブティック伊勢丹新宿店 03-3352-1111 大代表
ブレゲ ブティック日本橋三越本店 03-6665-0143
ブレゲ ブティック阪急うめだ本店 06-6313-7863

https://www.breguet.com/jp


【Editor's View】
「レーヌ・ドゥ・ナープル クレイジー・フラワー」と「ペルル・アンぺリアル」は、ブレゲが得意とするオートオルロジュリーの技術と、ハイジュエリーの感性がどこまで高く融合できるかを示す二つの回答のように感じられます。前者はダイヤモンドを反転させて留めるという大胆な発想で花のめしべを描き、後者はアコヤパールに重心を置きながら、オパールやスノーセッティングのダイヤルで静かな光のレイヤーを重ねています。どちらも「時間を見る」という行為を超え、手元の動きや肌のトーンまで計算に入れた小さな舞台装置のような存在です。王妃カロリーヌから受け継がれる物語性を感じながら、自分のライフシーンのなかでどう生かすかを想像する時間そのものが、このコレクションを選ぶ楽しみと言えます。

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