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オーデマ ピゲ「ネオ フレーム ジャンピングアワー」を発表、ブラックPVDサファイアとジャンピングアワー機構が融合したタイムピース

オーデマ ピゲが発表した「ネオ フレーム ジャンピングアワー」は、アーカイブに眠る意匠をそのまま復刻するのではなく、現代の生活に寄り添う機能や感性と重ね合わせて再構成した一本です。ストリームライン・モダン様式のエスプリや、歴史的モデル1271の雰囲気をまといながらも、サファイアクリスタルや自動巻きのジャンピングアワームーブメントなど、今ならではの素材や技術がさりげなくセットされています。腕にのせたときに感じられるのは、ヴィンテージの物語性とコンテンポラリーな透明感の両立です。シーンを選ばず使える実用性を備えつつ、ダイヤルの表情やケースの光の反射が、日常のスタイリングに少し特別なニュアンスを添えてくれるようなタイムピースと言えそうです。

2026年2月3日、スイス・アンデルマットで開催されたイベント「APソーシャルクラブ」の場で、オーデマ ピゲは新作ウォッチコレクションを発表しました。「ロイヤル オーク」、「ロイヤル オーク オフショア」、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」といったアイコニックなコレクションに今季の新作が加わり、その流れの中で、現代的なクラフツマンシップとヴィンテージの趣を掛け合わせた「ネオ フレーム ジャンピングアワー」も披露されました。既存コレクションの進化とともに、新たなコンセプトのモデルを並べる構成からは、伝統を軸にしながらも表現の幅を広げていくオーデマ ピゲの姿勢がうかがえます。

「ネオ フレーム ジャンピングアワー」でまず目を引くのは、ストリームライン・モダン様式から着想を得た縦方向のゴドロン装飾を配した長方形ケースです。このケースの内部には、マニュファクチュールとして初めて採用される自動巻きジャンピングアワームーブメント、キャリバー7122が収められています。ピンクゴールドとサファイアを組み合わせたケース構造に、新たなモチーフをあしらったストラップを合わせた仕様は、熟練の技術とヴィンテージ的な魅力を融合させた斬新な構造を特徴としています。創業時から受け継がれてきた革新の精神と創造性が、この一本の中で立体的に表現されており、オーデマ ピゲのアトリエが大切にしてきた価値観を今の感性で身に着けたい人に向けた提案だと感じられます。

オーデマ ピゲ、ネオ フレーム ジャンピングアワーでストリームライン・モダンを再解釈したサファイアダイヤルの新作ウォッチ
ミニマムなデザイン、縦方向のゴドロン装飾、流線型ラインを備えたこのネオ フレーム ジャンピングアワーは、1929年のプレモデル1271の特徴を新たな解釈で表現しています。© Courtesy of Audemars Piguet


ストリームライン・モダン: 曲線と直線

しなやかな直線と曲線を組み合わせたプレモデル1271は、アールデコ後期に生まれたストリームライン・モダン様式から強い影響を受けていました。遠洋定期船を意味する“Paquebot(パクボ)”と呼ばれたこのスタイルは、列車や船の流線型フォルムに着想を得たデザインで、二度の世界大戦の間にアメリカで台頭した潮流です。スピードとモダニティの象徴としてミニマリズムを追求した結果、クリーンなラインと滑らかな曲線、丸みのある角の造形、さらに航海を思わせる素材使いが特徴となりました。プレモデル1271は、そうした時代の空気を腕元に凝縮した存在であり、現在のコレクションの源流として語り継がれる意匠を備えていました。

“パクボ”スタイルは、アールデコが持つ現代性とクラフツマンシップの調和を受け継ぎながら、素材そのものの価値を際立たせる考え方や、テクノロジーを意識した感性、研ぎ澄まされたミニマリズムを取り込み、「バウハウス」の影響を色濃く映し出しました。ネオ フレーム ジャンピングアワーには、こうしたスタイルの特徴が随所に反映されています。過去の意匠をそのままなぞるのではなく、ストリームライン・モダン様式の精神を再解釈し、現代のウォッチとして昇華している点が印象的で、オーデマ ピゲらしいタイムピースの語り方として興味深いところです。

歴史的モデル1271へのオマージュ、オーデマ ピゲがネオ フレーム ジャンピングアワーで魅せるケースとダイヤルの新表現
1930年代のデザイン精神に現代的な視点からオマージュを捧げる

オーデマ ピゲ、ネオ フレーム ジャンピングアワーでクラフツマンシップとモダンデザインを結ぶブラックサファイアダイヤル
サファイアクリスタルのシースルーケースバックからはムーブメントを見ることができる


エレガントなツートーンデザイン

ケースサイズは34.6mm x 34mm(ラグを含まず)と設定され、1929年に登場したプレモデル1271のデザインコードを踏まえながら、ストリームライン・モダン様式への現代的なオマージュとなるプロポーションを描いています。18Kピンクゴールド製のレクタンギュラーケース両サイドには縦方向のゴドロン装飾が施され、先端に向かって細くなるラグへと自然に流れ込むラインが、腕元に美しい動きを与えます。こうした品格ある装飾はCNC(コンピュータ数値制御マシン)加工によって仕上げられ、ケースバック、リューズ、ローター(いずれも18Kピンクゴールド)にも丁寧に反映されています。特にケースバックとラグのラインを正確に揃える工程には高度な精度が求められ、そのこだわりが時計を単なる実用品から、ディテールを味わう楽しみを備えた存在へと高めています。

ダイヤルの第一印象を決定づけるのは、ブラックPVD加工を施したサファイアクリスタルによるコンテンポラリーなツートーンデザインです。透明感のあるサファイアの上に、時刻表示のための二つのゴールドフレームのアパーチャー(表示窓)が配置され、そこには黒地に白の数字がプリントされています。ジャンピングアワーと分表示を担うこのアパーチャーが、アーカイブピースを想起させる雰囲気と、グラフィカルなモダンさを同時に生み出している点は印象的です。さらに6時位置には、ピンクゴールドカラーの「Audemars Piguet」ロゴがさりげなく配され、オーデマ ピゲの名を控えめながらもしっかりと主張するバランスが、時計全体の存在感を静かに支えています。

一見するとミニマルな表情のサファイアダイヤルですが、その裏側には多くの加工工程と特別な組み立てプロセスが潜んでいます。オリジナルのプレモデル1271では、ゴールドカラーやプラチナによるメタルダイヤルが採用されていましたが、ネオ フレーム ジャンピングアワーでは現代の防水基準をクリアするために、サファイアクリスタルを用いる構造へと更新されています。透明な素材を用いることにより、光の抜け方や立体感も変化し、アーカイブモデルとは異なる表情が生まれました。クラシックなディスプレイの魅力を守りながらも、現代的な素材を取り入れることで、日常使いにも安心感をもたらす点は、オーデマ ピゲのアトリエが歩んできた進化の方向性を象徴しているように感じられます。

防水性の確保に関しても、ネオ フレーム ジャンピングアワーは独自のアプローチを採用しています。通常であればクリスタルをベゼルに押し込むことで水の侵入を防ぎますが、このモデルでは12時位置と6時位置にメタルフレームを用いず、サファイアクリスタルのエッジがそのまま露出する構造となっています。そのため2気圧防水を実現するにあたり、ダイヤルプレートをサファイアクリスタルに接着したうえでケースにネジ止めするという、このモデルのために新たに開発された固定方法が導入されました。視覚的な軽やかさと実用性を両立させるための工夫が細部まで行き届いており、技術的な探求心をそのままデザインの魅力へとつなげている点がこのタイムピースならではの持ち味と言えます。

歴史的なデザインコードを現代の使用環境に馴染ませるため、人間工学の観点からも多岐にわたる改良が行われています。その一つが、新しい形状で仕上げられたリューズです。巻き上げ時の指のかかりを考慮したプロポーションとしながら、ケースサイドとの一体感が増すよう外観にも配慮がなされています。操作性を高める工夫と洗練されたシルエットを両立させることで、ヴィンテージに敬意を払いながらも、現代のライフスタイルに寄り添う使い心地を実現している点は、オーデマ ピゲが目指す「着けて過ごす時間」を重視したものづくりの姿勢を映し出しています。

手元を包み込むブラックのレザーストラップには、オーデマ ピゲのデザインチームが独自に開発したテキスタイル調のモチーフが施され、クラシカルなレザーにさりげないリズムを与えています。ケースとの一体感を高めるため、ラグの間でサファイアと滑らかに接続する構造とされており、腕にのせたときの視覚的なつながりが強調されます。ストラップの表情が持つクラシックなムードと、ケースのモダンな透明感が重なり合うことで、ヴィンテージ感を意識しながらも今のスタイルに自然に溶け込む印象に仕上がっています。装いのトーンに合わせて楽しめる落ち着いたブラックでありながら、ディテールに宿る個性が、時計全体の世界観を引き立てています。

オーデマ ピゲ、ネオ フレーム ジャンピングアワーでストリームライン・モダンを再解釈したサファイアダイヤルの新作ウォッチ
47.1 X 34 mm、PGケース、サファイアダイヤル


https://www.audemarspiguet.com/com/ja/home.html


【Editor's View】
ネオ フレーム ジャンピングアワーを通じて見えてくるのは、オーデマ ピゲというアトリエが守り続けてきた伝統と、挑戦的な精神の両方です。ジュウ渓谷で育まれてきたウォッチメイキングの文化を背景に、歴史的モデル1271のエッセンスやストリームライン・モダン様式への敬意をにじませながら、サファイアクリスタルや新しいムーブメント、防水技術、人間工学的な改良に至るまで、一つ一つの要素を現在の感性で組み替えています。腕時計を年代物のオブジェとして眺めるのではなく、日々のスタイルの中で使い続ける存在として楽しみたい人にとって、このモデルは過去と現在を自然につなぐ架け橋のような一本です。控えめでありながら個性のあるジャンピングアワー表示、緻密なケースワーク、レザーストラップのテクスチャーが重なり合うことで、オーデマ ピゲが目指す「時間をまとう」という感覚がより鮮やかに伝わってきます。

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