2026.09.06
カテゴリ: 新作
ヴァン クリーフ&アーペル「アルハンブラ」に新たな彩り、半透明のピンクエナメルで受け継ぐ幸運の象徴
四つ葉のクローバーから着想を得た「アルハンブラ」は、ヴァンクリーフ&アーペルを象徴する幸運のモチーフとして、1968年の誕生以来さまざまな素材と色彩を受け入れてきました。そして今、その長い歩みに加わるのが、半透明のピンクエナメルです。微細なインクルージョンを含む奥行きのある色彩、光を受けて変化する表情、そして熟練の職人技。古くから装飾芸術に用いられてきたエナメルを現代のジュエリーへ昇華することで、「アルハンブラ」は新たな美しさをまといます。
1968年、ヴァン クリーフ&アーペルは四つ葉のクローバーに着想を得た「アルハンブラ」を初めて発表しました。以来、その特徴的なモチーフは幸運を象徴するメゾンのアイコンとして定着し、さまざまな素材や色彩を取り込みながら姿を変えてきました。オニキスやカーネリアンなどのオーナメンタルストーン、マザーオブパールといった有機素材、さらにギヨシェ彫りを施したゴールドやセーヴル磁器まで、その時々の素材と技法を重ねることで、四つ葉のシルエットは新しい表情を獲得してきたのです。今回の新作では、そんな「アルハンブラ」にエナメルという新たな表現が加わります。
今回の「アルハンブラ」が取り入れるのは、ヴァン クリーフ&アーペルが長年培ってきたサヴォアフェールの一つ、エナメルです。ロングネックレス、ネックレス、ペンダント、ブレスレット、イヤリングという5つのジュエリーへ展開し、幸運のシンボルにこれまでとは異なる透明感と色彩を与えました。エナメルはメゾンにとっても長い歴史を持つ素材で、1906年の創業以来、さまざまな作品に用いられてきたもの。今回のコレクションでは、その伝統的な技法を「アルハンブラ」の象徴的なフォルムと掛け合わせることで、新しいジュエリーの表情へと導いています。
新たに「アルハンブラ」のカラーパレットへ加わったのは、深みと鮮やかさを併せ持つ透明感のあるピンクのエナメルです。表面を均一な色で覆うのではなく、内部に微細な泡のようなインクルージョンが見られることで、光を受けるたびに奥行きのある表情を生み出します。その繊細な揺らぎは、四つ葉のモチーフに静かな生命感を与えるもの。長年にわたるメゾンの工房での研究開発を背景に生まれたこの素材は、希少なメティエダールを次の世代へつなげていくヴァン クリーフ&アーペルの姿勢も映し出しています。今回採用されたピンクは、数年にわたる研究を経て開発された特別なエナメルで、17世紀の「ゴールドルビー」に着想を得た技法によって生み出されています。
「ヴァン クリーフ&アーペルは、エナメルを用いたアルハンブラの作品を通じて、幸運のシンボルであるアイコニックなコレクションの歴史に新たな一章を開きます。メゾンの工房が誇る専門技術と革新力により、エナメルは、数十年にわたり絶えず進化し続けてきたアルハンブラの世界に、独自の美学と彩りをもたらしました。この伝統的なジュエリー素材は、作品の魅力を高めるために根気強く微調整が重ねられ、その結果、色彩、光、透明感の効果を生み出しています。本日、それを皆様にご紹介できることを大変嬉しく思います。」カトリーヌ・レニエ ヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEO
ヴァン クリーフ&アーペルの幸運のシンボル、アルハンブラ コレクション
1968年から紡がれてきた物語
「幸運になりたければ、幸運を信じなさい」。創業者の甥であるジャック・アーペルが好んで口にしたこの言葉は、ヴァン クリーフ&アーペルにおける「幸運」という価値を象徴しています。四つ葉のクローバーがメゾンのアーカイブに初めて現れたのは1906年。その後も木製のお守りやチャーム、てんとう虫など、幸運を連想させるモチーフが作品の中へ取り入れられてきました。つまり「アルハンブラ」の物語は1968年から突然始まったものではなく、メゾンが創業以来大切にしてきた幸運への思いを受け継ぐ延長線上にあります。今回のエナメルによる新作もまた、その長い物語に新たな色彩を加えるものです。

1968年に誕生した最初の「アルハンブラ」は、20個の四つ葉のモチーフを連ねたロングネックレスでした。テクスチャー加工を施したイエローゴールドを二連のビーズで縁取り、純粋で調和の取れたシルエットと柔軟な着け心地を備えたデザインです。日常の装いに取り入れやすいジュエリーとして当時から注目を集め、その後の「アルハンブラ」の進化を決定づける出発点となりました。現在まで続く多彩なバリエーションも、この最初の作品が持っていたシンプルな形と身につけやすさを基礎として発展しています。今回の新作も、その象徴的な輪郭を保ちながら、エナメルによる透明感という新しい要素を重ねています。
「アルハンブラ」は誕生後も、素材と色彩の組み合わせを広げながら進化を続けてきました。イエローゴールド、ローズゴールド、ホワイトゴールドには、ポリッシュ仕上げやテクスチャー加工、ギヨシェ彫りなど異なる表面表現を施し、そこへオーナメンタルストーンや有機素材、ダイヤモンド、セーヴル磁器などを組み合わせています。素材が変われば、四つ葉の輪郭が受ける光も、表面の質感も変わる。その積み重ねによって、「アルハンブラ」は同じモチーフでありながら時代ごとに異なる表情を獲得してきました。エナメルを迎えた今回の新章も、その豊かな変奏の一つとして、幸運のシンボルに透明感のある色彩と新たな奥行きを加えています。
エナメル、色彩と輝きが織りなす世界
50年以上にわたり進化を重ねてきたアルハンブラに、今回はエナメルという新たな表情が加わります。ヴァン クリーフ&アーペルが発表するのは、半透明のピンクエナメルを取り入れたヴィンテージ アルハンブラとマジック アルハンブラの新作5点。ゴールドビーズで縁取られたクローバーモチーフの内側に、鮮やかなピンクが広がります。多彩な色使いをアイデンティティとしてきたアルハンブラの世界に、この色彩が新たなアクセントをもたらします。
目を引くピンクは、クリエイション スタジオのデザインを形にするために特別に開発された色です。その背景にあるのは、17世紀にさかのぼる「ルージュ ア ロール」(黄金による赤)製法から着想を得た技法。顔料ではなく、素材の内部に含まれる微細なゴールド粒子によって色を生み出すこの手法は、粒子の大きさや形状、濃度まで精密に整える必要があります。理想の色彩をアルハンブラ モチーフで実現するため、ヴァン クリーフ&アーペルのエナメル工房では数年にわたる研究開発が重ねられました。
新たなエナメルは、イエローゴールドやギヨシェ イエローゴールドとの組み合わせによって、その半透明の質感をいっそう際立たせます。内部に散りばめられた微細なインクルージョンが光を含み、モチーフごとに異なる奥行きと表情を生み出すのも特徴です。さらに、光の反射率はエメラルドをわずかに上回るとされ、独特の明るい輝きを放ちます。ゆるやかな曲面に仕上げられた表面も光を受ける角度を変え、エナメルの透明感と反射をいっそう印象的に見せています。
「ヴィンテージ アルハンブラ ペンダント」(イエローゴールド、ピンクエナメル)\566,500(税込)
「ヴィンテージ アルハンブラ ブレスレット、5モチーフ」(イエローゴールド、ピンクエナメル)\946,000(税込)
「ヴィンテージ アルハンブラ ネックレス、10モチーフ」(イエローゴールド、ピンクエナメル)\1,808,400(税込)
「マジック アルハンブラ イヤリング、2モチーフ」(ギヨシェイエローゴールド、ピンクエナメル)\1,584,000(税込)
「ヴィンテージ アルハンブラ ロングネックレス、20モチーフ」(イエローゴールド、ピンクエナメル)\3,498,000(税込)
メゾンが誇るサヴォアフェールの核心
ヴァン クリーフ&アーペルの工房で培われてきた専門知識
エナメルをはじめとするメティエダールは、ヴァン クリーフ&アーペルが長い年月をかけて専門性を深めてきた領域です。現在、エナメル工房ではさまざまな創作目的に応じて15種類以上の技法を用い、ミニアチュール ペインティング、グリザイユ エナメル、プリカジュール エナメル、エナメル デカールなど、多彩な表現を実践しています。受け継いだ技術を次代へつなぐため、メゾンは3年制のエナメルを学ぶスクールも独自に設け、熟練したエナメル職人を育てる環境を整えています。
メティエダール部門の役割は、伝統的な技法を守ることだけにとどまりません。既存の技術をさらに磨きながら、新しい表現方法の開発にも取り組んでいます。その一例がファソネ エナメルです。エナメルそのものに立体的な表情を与えることで、ボリュームと透明感を同時に際立たせることができ、この技法はレディ アーペル ジュール アンシャンテ ウォッチやペルレ エクストラオーディネール フリュイ アンシャンテ コレクションにも用いられています。素材の特性を引き出す技術開発が、メゾンの創造性を支えています。
そして今回、アルハンブラという象徴的なモチーフにエナメルを組み合わせることで、メゾンが長年培ってきた専門技術と、新たな表現を切り拓く革新性が交差しました。伝統をそのまま踏襲するのではなく、素材への探究を新しい造形へつなげることによって、アルハンブラの歴史にふさわしい新章が形になっています。
ジュエリー制作のサヴォアフェールが息づく作品
アルハンブラの完成度を支えているのは、ひとつの技法だけではありません。エナメルモチーフの制作から宝飾細工、セッティング、研磨まで、複数の専門技術を組み合わせながら一つの作品へと仕上げていきます。とりわけ、緩やかに湾曲したエナメルモチーフを台座へ正確にセットし、調整する工程には高度な精度が必要です。その輪郭を際立たせる2列のゴールドビーズも、均一な曲面を生み出すために細かな制作と研磨が重ねられたもの。光を受けて輝く球体が、微細な泡のようなインクルージョンを含むエナメルの反射をさらに引き立て、モチーフに奥行きを与えます。
細部へのこだわりは、目に触れにくい部分にも及びます。セッティングでは、モチーフを確実に固定しながら爪が表から目立たないよう繊細に折り込まれ、裏側は服や肌に触れた際のあたりをやわらげるため、丸みのある球体状に仕上げられます。モチーフをつなぐチェーンにはファセット加工を施し、光沢感を際立たせ、うなじの位置にはメゾンのモノグラムをあしらったクラスプを配置。こうした細部を積み重ねたうえで、一点ずつ入念な品質検査を行い、ヴァン クリーフ&アーペルの基準を満たした作品として完成します。
1906年の創業以来、メゾンが大切にしてきた歴史ある素材、エナメル
伝統的な装飾芸術のサヴォアフェール
3500年以上の歴史を持つエナメルは、はるか古代の装飾芸術に端を発する素材です。ギリシャのミケーネ文明で用いられたのち、紀元前1千年紀には地中海地域へ広がり、やがて各地の文明や王族の装飾品にも取り入れられていきました。ゴールドや貴石とも相性がよく、色彩や光の表現に富むその特性から、工芸品やオブジェ、ジュエリーなどを彩る貴重な素材として受け継がれています。ヴァン クリーフ&アーペルが長く向き合ってきた理由も、こうした表現力にあります。
エナメルは、とりわけヨーロッパの王侯貴族にとって、権威や親愛の情を伝える品々にも用いられてきました。約1680年に制作されたポートレートボックスは、その歴史を象徴する一例です。偉大なエナメル工芸家であり画家でもあったジャン・プティトと金細工師ローラン・ル・テシエ・ド・モンタルシーが手がけたこの作品には、ルイ14世を描いた楕円形のミニアチュール(細密画)を中心にダイヤモンドを配し、裏面にはロイヤル・サイファー(君主を示す組み合わせ文字、ここでは交差した二重のL)と唐草模様を表現。エナメルが、王室にふさわしい装飾表現であったことを物語ります。
18世紀後半になると、エナメルはジュエリーの中に風景を描き出すための表現手段としても発展します。メダリオンなどに施されたミニアチュールは、貴族の子弟がヨーロッパ各地を巡るグランドツアーの記念品として持ち帰ることもありました。細密な描写だけでなく、豊かな色彩や光と影まで表現できることが、この技法ならではの魅力です。小さな面積の中に場所の記憶や風景を写し取る、絵画的なエナメルの可能性が広がった時代でした。
創業以来のメゾンの歴史に 深く根ざして
1906年の創業以来、ヴァン クリーフ&アーペルもエナメルの幅広い表現力を創作へ取り入れてきました。貴重なオブジェやボックス、シャトレーヌ ウォッチ、時計、そしてクリップなど、対象は多岐にわたります。1930年代にはアール・デコの影響を受けた幾何学的なデザインに鮮やかな色彩を与える一方、遠い国々の文化から着想を得た風景や、スポーツを題材とした写実的な場面にも用いられました。豊富な色調と技法を自在に扱うことで、エナメルはメゾンの創造性を引き出す重要な素材となってきたのです。
1950年代から1960年代にかけては、ラ ブティックから日常に寄り添う作品が数多く生まれ、愛らしい動物を描いたクリップにもエナメルが用いられました。さらに花をモチーフとした作品では、プリカジュール エナメルによって透き通る花びらを表現。光を透過させるような繊細な仕上がりは、エナメルが持つ色彩表現だけではない魅力を映し出しています。親しみやすいモチーフと高度な技法を結び付けることで、素材の個性が身近なジュエリーの中にも息づいていきました。
フラワー クリップ、1968年
ヴァン クリーフ&アーペル コレクション
1980年代後半まで、メゾンは遠い土地や異国の文化に視線を向けながら、写実的で具象的なジュエリーを数多く構想してきました。そこで重要な役割を果たしたのが、幅広い色を表現できるエナメルです。動物たちの仕草や表情を生き生きと描き出し、作品に楽しげな空気を加える一方で、細かな描写を支える背景としても機能しました。異国への好奇心を映す創作とエナメルの色彩が重なり、メゾンならではの豊かな物語性を形づくっています。
2006年に初のポエティック コンプリケーション ウォッチとしてレディ アーペル センテナリーを発表して以降、ヴァン クリーフ&アーペルは時計の文字盤にもエナメルの可能性を広げてきました。技法の研究と開発を重ねることで、レディ アーペル ポン デ ザムルー ウォッチのように奥行きを感じさせる装飾表現も可能になっています。さらにエクストラオーディナリー ダイヤル コレクションでは、ジュエリー制作の知見とメティエダールを組み合わせ、細部まで描き込んだ情景を立体的に感じさせる文字盤へと昇華。エナメルは、メゾンの時計表現においても物語を描くための重要な技法となっています。
#VCAAlhambra #VanCleefArpels #アルハンブラ
@vancleefarpels
【Editor's View】
「アルハンブラ」に加わったピンクエナメルを理解するうえで印象的なのは、今回の試みが突然現れたものではないという点です。ヴァン クリーフ&アーペルは1906年の創業以来、エナメルをオブジェやジュエリー、時計など幅広い作品に用い、色彩や透明感、奥行きを引き出す技法を積み重ねてきました。四つ葉のクローバーを起点に半世紀以上進化してきた「アルハンブラ」と、長い時間をかけて磨かれてきたエナメルの知見。その二つが重なることで、新作は新素材を加えただけではなく、メゾンが培ってきたクラフツマンシップそのものを次の段階へ運ぶ存在になっています。
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