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フェンディ 2026-27年秋冬コレクションの広告キャンペーンを公開、ピナ・バウシュの精神から着想を得た映画的な緊張感

1925年の創業以来、イタリア屈指のサヴォアフェールと革新的な創造性でファッション界を牽引し続けるフェンディ。新たにチーフ クリエイティブ オフィサーに就任したマリア・グラツィア・キウリが舵を取る2026-27年秋冬コレクションより、待望の広告キャンペーンが発表されました。写真家ジョー・アン・カリスの手によって切り取られたビジュアルは、他者とのつながりを希求しながらも自らの内面を守ろうとする人間の相反する心理を繊細に捉えています。映画のワンシーンを思わせる静謐な映像美と、ローマの歴史的な街並みや柔らかな光が美しく溶け合う空間の中で、性別の枠を超えたワードローブの共有が織りなす現代の新たなエレガンスを表現した圧巻の仕上がりです。

フェンディが描く新章、マリア・グラツィア・キウリによる秋冬コレクションの広告キャンペーンが公開

Photo : Jo Ann Callis

写真家ジョー・アン・カリス(Jo Ann Callis)のカメラが捉えたのは、人と深く結びつきたいと渇望しながらも、互いを完全に理解することは叶わないという人間関係の葛藤です。チーフ クリエイティブ オフィサーであるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が指揮を執るフェンディ(FENDI)は、そんな繊細な心理に光をあてた2026-27年秋冬コレクションの新たな広告キャンペーンを世に送り出しました。
人間関係の繊細な心理とローマの歴史が美しく共鳴する、フェンディの最新広告キャンペーンがベールを脱ぐ
Photo : Jo Ann Callis

ジェンダーの境界を越えるワードローブの共有、フェンディが提案する二面性の美学を映した最新ビジュアル
Photo : Jo Ann Callis

私たちは誰しも心のどこかで他者との結びつきを切望しながら、同時に自らの柔らかい内面が傷つくことを恐れ、頑なに身を守ろうとする自己防衛の本能を抱えています。この「心を開く境界線」をめぐるせめぎ合いは、他者の深淵を完璧に理解できないと知りつつも、それでもなお他者を求めずにはいられない人間の愛おしい本質です。今回のキャンペーンにおいてカリスは、こうした男女の間に漂う機微や相互作用をスケッチブックへ丁寧に描き起こすことから創作を開始しました。人間の実存を揺るがすような「つながりへの欲求」をテーマに、二人の間に生じる関係性をビジュアルへと昇華しています。

「男女でワードローブを共有する」という革新的なアプローチは、キウリが新生フェンディに向けて描く最も象徴的なビジョンの一つです。ウィメンズとメンズの双方が鏡のように互いを引き立て合う今回のコレクションは、共通するデザインコードと相反する二面性を浮き彫りにし、それぞれの個性を美しく対比させます。興味深いのは、同じ衣装を共有するという試みが、逆説的にそれぞれのジェンダーの魅力をより際立たせる点です。ジャケットを羽織る女性が、かえって自身の持つしなやかな女性性をより強く引き出すように、境界を曖昧にすることで本質がさらに際立つ相互作用が生まれます。

静寂に包まれたビジュアルの中で、被写体が示す細やかな身振りは雄弁な言葉以上に多くのことを語りかけてきます。それぞれの指先や視線の細かな動きは、登場人物の秘められた内面を鏡のように映し出す視覚的シグナルです。それは、男性性と女性性という対極にあるはずの二つの要素が、衣服を通じて絶え間なく対話を続けているかのような、深いメッセージ性を帯びています。

ピナ・バウシュの精神から着想を得た、フェンディの最新秋冬コレクションキャンペーンに漂う映画的な緊張感
Photo : Jo Ann Callis



写真家ジョー・アン・カリスが紡ぎ出す、フェンディの新たな広告キャンペーンに込められた深いメッセージ
Photo : Jo Ann Callis

壮大な映画のワンシーンのように紡がれる一連のビジュアルは、時間の流れから美しく切り取られた静止画であり、一枚一枚がより大きなドラマを内包しています。同じ部屋に佇みながらも、二人の間に残される絶妙な距離感や空間的な関係性が、言葉のない濃密な対話を想起させます。この身体的な近さと心理的な緊迫感の交差は、肉体表現を通じてエモーショナルな緊張感を描き続けた伝説的な振付家、ピナ・バウシュ(Pina Bausch)の世界観に大いなる着想を得ています。

幾重もの歴史が地層のように積み重なる永遠の都ローマは、今作のコンセプトを完成させる上で極めて重要な背景となりました。街の荘厳な建築やインテリア、古代の遺跡が秘める豊かな物語が、キャンペーンの思想的な枠組みと深く共鳴しています。ロケーションの光や空気感は撮影手法そのものを刺激し、壁に灯る間接照明、重厚なドレープ、光を柔らかく吸い込むファブリックの質感が物語に深みを与えています。背景と衣服、そしてバッグなどのアクセサリーが奇跡的な調和を見せるこの空間は、現実から浮遊した夢幻的な世界を創り出し、フェンディとローマが共有する映画のようなヘリテージを現代に蘇らせます。

フェンディがマリア・グラツィア・キウリによる2026-27年秋冬コレクションの広告キャンペーンを公開
Photo : Jo Ann Callis

フェンディの最新秋冬広告キャンペーンがローンチPhoto : Jo Ann Callis

 

【Editor's View】
マリア・グラツィア・キウリがフェンディで提示するビジョンは、ジェンダーレスという表現を超えて、衣服が持つ情緒的な役割を極限まで引き出す試みです。女性がメンズのジャケットを羽織ることでかえって際立つフェミニティのように、対比によって生まれる美しさは、私たちが日々変化する自己と向き合うための新しいヒントを教えてくれます。伝統あるローマの歴史を背景に、ピナ・バウシュの動的なエモーションを静止画へと昇華させたこのキャンペーンは、まとう人の内面と深く共鳴し合う、極めて私的で芸術的なワードローブの提案です。

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