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グッチ「Generation Gucci」、1970年代と1990年代のコードを交差させたデムナ流ハウスストーリー

グッチが新たに打ち出す「Generation Gucci」は、ショールームでもランウェイでもない、イマジナリーなショーをルックブックとして提示する試みです。デムナのレンズを通して撮影されたルックの数々は、アーカイブから引用したディテールと、現代のストリート感覚やテクニカルな素材づかいが自在に交差していく構成になっています。過去と未来、テーラリングとラウンジウェア、クラシックなレザーグッズとエッジィなシューズがひとつの物語に束ねられ、2月のファッションショーで立ち上がるであろうグッチの新章をさりげなく予感させます。ファッションラバーにとって、ハウスの変化を読み解く手掛かりとなるルックブックです。

デムナが撮影した架空のグッチのショーを、連続するルックとしてまとめ上げたプロジェクト「Generation Gucci」は、ハウスの歴史に刻まれた多様な時代のアーカイブやヴィジュアルコードを、デムナ独自の視点から追いかけた取り組みです。異なる世代のプロダクトやイメージを、一貫した美学に基づくストーリーとして再構成し、一冊のルックブックの中で世代を横断するグッチ像を描き出します。そこに写し出されるのは、2月のファッションショーで披露されるデムナによるグッチのヴィジョンを先取りするような世界であり、ハウスが歩んできた軌跡とこれから向かう方向性を静かに示す序章でもあります。

ファーストルックとして登場するのは、グッチのアーカイブを参照しながら、着込んだような質感を再現したシルクファイルで仕立てた軽やかなテーラードスタイルです。ボタンではなくミニマルなクラスプで前を留めるウィメンズジャケットは、レギンスのようにフィットする細身のパンツと合わせたスタイルや、グッチらしさが際立つペンシルスカートとのコンビネーションで提案されます。ヴィンテージ感のある素材の表情と、シャープなシルエットの対比が、アーカイブとコンテンポラリーなムードを一体のものとして感じさせるセットアップです。

グッチ「Generation Gucci」、デムナが紡ぐアーカイブと未来をつなぐルックブックとヴィジョン
Courtesy of Gucci

グッチ「Generation Gucci」、デムナ撮影の架空ショーが映すアーカイブ再解釈と次章へのプロローグ
Courtesy of Gucci


ミニマルに仕上げられたジーンズは、継ぎ目を極力目立たせないシームレスな構造を採用し、ポケットやクロージャーを巧みに隠した特徴的な一本として登場します。エレガントなシルク製のトラベルスーツは、パジャマのようなリラックスした着心地を持ちながら、旅の装いとして洗練された印象を演出するアイテムです。テクニカル素材を用いたモックネックや、ボディコンシャスなレザー ジャケットのラインは、サーファーが身につけるウェットスーツから着想を得ており、機能性とモードなシルエットが自然に溶け合うグッチならではのアプローチが表れています。

豊かな質感が際立つコートは、ルームガウンのように軽くしなやかな落ち感を備えているのが特徴です。細くカットしたシアリングをシルクやゴートヘア、フェザーと組み合わせることで、透明感のあるベースやライニングの上に緻密なパターンを描き出し、動きに合わせて表情を変える立体的な表面感を生み出しています。室内で羽織るような親密さと、アウターとしての存在感を併せ持つこのコートは、グッチが得意とするマテリアルミックスの魅力を存分に感じさせる一着です。

パーティーシーンに向けたワードローブでは、シルク素材のブルゾンとランジェリーを思わせるアンダーウェア風のアイテムを組み合わせたルックや、ドレープを効かせたミニスカートと同素材のトップスによるセットアップが登場します。さらに、流れるような質感のジャージーやシルクシフォンを使ったミニマルなドレスがラインアップに加わり、身体のラインを柔らかくなぞりながらも都会的なムードを漂わせるスタイルが展開されます。夜の光の中でこそ魅力が高まる素材選びとシルエットが、グッチのパーティールックを印象づけます。

グッチ「Generation Gucci」、1970年代と1990年代のコードを交差させたデムナ流ハウスストーリー
Courtesy of Gucci

グッチ「Generation Gucci」、アーカイブからシューズやバッグまでを束ねる世代横断ルックブック
Courtesy of Gucci

グッチ「Generation Gucci」、デムナが描くバーチャルショーと2月のファッションショーへの予告編
Courtesy of Gucci


1970年代や1990年代のグッチを象徴するスタイルを、現在の感覚で捉え直したルックも「Generation Gucci」の重要な要素です。ウェブ ストライプをあしらったレーサージャケットや、シグネチャーであるダブルG ハードウェアを薄く洗練された印象にアレンジしたバックル付きベルトが登場します。全身をレザーやスエードで統一したルックや、アーカイブのシルクスカーフを思わせるエクエストリアン(乗馬)プリントのシルクで仕立てたセットアップも加わり、過去のアイコンが新しいバランスでよみがえる構成になっています。

グッチ「Generation Gucci」、デムナが紡ぐアーカイブ再解釈と未来へ続くスタイルストーリー
Courtesy of Gucci

グッチ「Generation Gucci」、デムナの視点で読むアーカイブと新生ハウスコードの融合ルックブック
Courtesy of Gucci


洗練されたラインが際立つフットウェアでは、トラベルラゲージから着想を得たバレエシューズがメンズ サイズで再登場します。すっきりとしたシルエットのローファーは、ダンスシューズのような軽さと柔らかさを意識したつくりで、足元を軽快に見せるアイテムとして仕上げられています。クラシックな形を保ちながらも履き心地を現代的にアップデートすることで、ジェンダーやシーンを横断して取り入れやすいシューズにまとめられています。

グッチ「Generation Gucci」、シルクスーツからGGキャンバスバッグまで網羅するデムナ流モダンアーカイブ
Courtesy of Gucci

グッチ「Generation Gucci」、1970年代と1990年代を横断するデムナのテーラリングとアクセサリーの世界
Courtesy of Gucci


クッション入りインソールを搭載したパンプスには、なめらかに繋がったシームレスなスティレットヒールが採用され、視覚的な美しさと快適さの両方を備えたデザインとなっています。クラシックなローファーにはメタル製のスパイクが散りばめられ、新たな持ち主がカスタマイズしたヴィンテージピースを思わせる佇まいが印象的です。足元にさりげない反逆性と遊び心を加えることで、タイムレスなスタイルに今のムードをひとさじプラスする提案になっています。

GGキャンバスやチェーンディテールを採用した「ルネッタ Phone+ ショルダーバッグ」は、スマートフォンをはじめとする身の回りのアイテムをすっきりと収められるコンパクトなサイズ感が魅力です。「グッチ ジャッキー 1961」バッグは、コンパクトで直線的なシェイプにアレンジしたバージョンに加え、カーフスキンやクロコダイルで仕立てたソフトで大きめのサイズもラインアップされます。「ディオニュソス」バッグは、鋭角的なシルエットを取り入れたよりエッジィな表情へと刷新され、アーカイブ由来のアイコンバッグがそれぞれ新しい姿で「Generation Gucci」の物語に参加しています。

グッチ「Generation Gucci」は、デムナが架空のショーをルックブック形式で提示するプロジェクト、アーカイブやヴィジュアルコードを再構築
https://www.gucci.com/jp/ja/nst/pre-fall-2026-lookbook

Photographer: Demna
Make Up: Sam Visser
Hair: Anthony Turner

詳しくは、www.gucci.com をご覧ください。


【Editor's View】
フィレンツェで1921年に創設されて以来、グッチはラグジュアリーファッションの世界で常に変化を恐れないハウスとして歩みを進めてきました。現在は社長兼CEOフランチェスカ・ベレッティーニとアーティスティック・ディレクター デムナのもと、クリエイティビティとイタリアのクラフツマンシップ、そしてイノベーションを核にしながら、新しい価値観に沿ったラグジュアリーのかたちを更新し続けています。「Generation Gucci」は、その姿勢を分かりやすく可視化したプロジェクトと言えます。アーカイブやクラシックなバッグを尊重しつつ、シームレスなジーンズやウェットスーツ由来のカッティング、メタルスパイクを散らしたローファーといった要素を取り入れることで、20〜40代のファッションラバーが求める「過去と今のミックス」を自然なバランスで表現しているのが特徴です。

 

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