2025.12.12
カテゴリ: 新作,Topics
フェンディとコニー・ヴァレッセ、「フォンデリア フェンディ」で出会う彫刻的インテリアとピーカブー限定バッグの全貌
創業100周年を迎えたフェンディが、デザインマイアミ2025に向けて選んだ言葉は「フォンデリア」。溶かし、かたちを与え、記憶を刻む行為そのものをテーマに、アルゼンチン出身のアーティスト、コニー・ヴァレッセがブロンズやレザー、ガラスに女性像を託します。舞台となるのは、イタリア各地の名門アトリエとともにつくり上げたサロンのような空間。ユリの花が立体的に立ち上がるベンチやルームディバイダー、パステルカラーのムラーノガラス、そして限定5点だけのピーカブーバッグまで、すべてがインテリアとファッションの境界をやわらかく横断します。日常の延長でアートと暮らしたい読者にこそ近い、フェンディならではの提案です。

イタリアを代表するメゾン、フェンディ(FENDI)は、創業100周年の節目を祝うプロジェクトとして「フォンデリア フェンディ(Fonderia Fendi)」をデザインマイアミ2025(Design Miami/ 2025)で発表します。イタリアの高度な職人技と、現代の女性のしなやかな強さを一つの物語として立ち上げることを目指した取り組みです。アルゼンチン出身のデザイナー兼アーティスト、コニー・ヴァレッセ(Conie Vallese)が本プロジェクトを率い、希少性の高いオブジェや家具作品を集めた特別な展示として構成します。フェンディのアーカイブが持つ物語性と、ヴァレッセの感性が交差することで、アートとファッションを横断する新しいフェンディ像が浮かび上がる構成になっています。
「フォンデリア フェンディ」は、1925年にパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(Decorative and Industrial Modern Arts exhibition)」におけるイタリアの華やかな参加にオマージュを捧げています。その精神を継承するため、ヴァレッセはブロンズ、セラミック、ガラス、カーペット、レザーという多彩な素材を扱う5つのイタリアのアトリエに制作協力を依頼しました。彼女のロマンティックでどこか夢見心地なフォルムは、カール・ラガーフェルドが1994年に描いたイラスト「Les Cinq Doigts d’une Main」を思い起こさせます。このイラストには、フェンディ5姉妹がひとつの創造の手として表現されており、今回のコラボレーションにもメゾンの家族的な結束とクリエーションの連続性が静かに重ねられています。
ヴァレッセのビジョンは、フェンディのレザー工房をはじめ、歴史あるミラノのブロンズ鋳造所「フォンデリア・バッタリア(Fonderia Battaglia)」、セラミックスタジオ「オフィチーネ・サッフィ・ラボ(Officine Saffi Lab)」、カーペット織りを得意とする「CC-タピス(CC-Tapis)」、さらに13世紀創業のヴェネツィアのガラス工房「バロヴィエ・エ・トーゾ(Barovier & Toso)」との協業によって具体的な形へと落とし込まれました。レザー、ブロンズ、セラミック、テキスタイル、ガラスといった異なる分野の匠たちが参加することで、インテリアとアートピース、そしてファッションアクセサリーの距離が心地よく近づきます。素材ごとの個性が際立ちながらも、全体としてフェンディらしいローマの気配をまとった世界観に仕上がっている点が、このプロジェクトの大きな魅力です。
デザインマイアミ2025会場に登場する「フォンデリア フェンディ」は、親密なサロット(salotto)、つまりプライベートなリビングルームのような空間として構想されています。ヴァレッセが形づくった有機的なシルエットのオブジェや家具が、ブロンズやレザー、ガラスといった重厚な天然素材の中に静かに息づき、柔らかな光に包まれた淡い繭のような雰囲気を生み出します。バラ色のブロンズ、ソルベイエロー、淡いアニーチェブルーなど、ローマを想起させるカラーパレットの中で、コレクションは意図的に「不完全さ」を受け入れた表情を見せます。不透明なガラスに表れるパステル調の玉虫色、房状に仕上げたカーペットのレリーフ、釉薬を施したタイルによる絵画的なテクスチャーが、空間を歩くたびに違う表情を見せる仕掛けとなっています。
会場には、堂々と咲き誇るユリのモチーフを背景に、ブロンズ製のベンチやオケージョナルチェア、ルームディバイダー、壁面を照らす照明付き壁灯が並びます。そこにはフェンディの象徴である「セレリア(Selleria)」ステッチのエンボス加工が施され、工業的な構造物と、人の手によるクラフトの境界をあえて曖昧にしています。デザインのインスピレーション源となったのは、アールヌーボー、アールデコ、モダニズムといった様々なスタイルが交差した「狂騒の20年代」。フェンディのレザー職人たちは、その時代の自由なムードを「クオイオ ローマ(Cuoio Romano)」レザーに託し、平面に貼り合わせたレザーをメゾンのシグネチャーである「セレリア」ステッチで縁取りました。家具としての存在感と、バッグづくりで培われたノウハウが自然に混ざり合うことで、フェンディならではのハイブリッドなインテリアが生まれています。
モジュール式のベンチやキューブテーブルのシリーズには、特別に制作されたエンボス加工のセラミックタイルが用いられています。そこには手彫りで表現された蘭の絵柄(タブロー)や、淡い色合いの釉薬をかけた「FF」モノグラムタイルが散りばめられ、ユリのモチーフが立体的に再現されています。さらに、ムラーノ(Murano)島の職人による口吹きの不透明なガラス花瓶が加わり、コレクション全体の色彩と花柄モチーフを映し出します。これらのピースは、ヴァレッセの幻想的な花々をタイルのパターンとして解釈した、CC-タピス製の立体感ある手作業のウールラグとともに展示されます。家具、ラグ、ガラスが一体となることで、コニー・ヴァレッセが思い描く豊かな装飾性を持つフェンディのサロン、その360度に広がる世界観がより立体的に感じられる構成です。
フェンディはコニー・ヴァレッセに対し、2008年にシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)がデザインした「ピーカブー(Peekaboo)」バッグのパーソナライズを依頼しました。この限定コラボレーションは、デザインマイアミとマイアミ・デザイン・ディストリクト(Miami Design District)のブティックで披露されます。ヴァレッセは「フォンデリア フェンディ」で用いられた触感豊かな素材使いやソルベカラーのパレットを取り入れ、「ピーカブー」を淡いイエローとブルーの斜めストライプが目を引くカーフスキン製のリバーシブルモデルとして再構築しました。手彫りのセラミックディテールを配した特別なこのバッグは、マイアミ・デザイン・ディストリクトのブティック限定で5点のみ販売されます。アートピースのような存在感を持ちながら日常の装いに寄り添うバッグとして、アートとファッションを同時に楽しみたい人の心をとらえる仕上がりです。
作品説明
■ブロンズ リリー スクリーン(Bronze Lily Screen)(H171cm x W200cm x D20cm)
「フォンデリア フェンディ」の世界観を体現する可動式ルームディバイダーには、ソリッドブロンズに3D手彫りのユリのモチーフがあしらわれています。フェンディの「クオイオ ローマ」レザーがアニーチェブルーとソルベイエローで組み合わされ、そこに呼応するように配置された「セレリア」ステッチディテールが特徴です。仕切りという機能を持ちながら、空間に彫刻作品のようなリズムを与える存在として提案されています。
■ アニーチェ ブロンズ ベンチ(Anice Bronze Bench)(H88cm x W134cm x D54cm)
同じく「フォンデリア フェンディ」による3人掛けベンチには、ソリッドブロンズに3D手彫りのユリと「セレリア」ステッチディテールが施されています。座面にはアニーチェブルーのフェンディ「クオイオ ローマ」レザーが用いられ、その上に「セレリア」レザーステッチのディテールが丁寧に配されています。素材のコントラストと柔らかな色合いの組み合わせによって、リビングにもギャラリー空間にも映える存在感を持つベンチとして仕上げられています。
■ソルベット ブロンズ チェア(Sorbetto Bronze Chair)(H85cm x W49cm x D47cm)
ダイニングチェアとしてもオケージョナルチェアとしても使える椅子は、「フォンデリア フェンディ」による3D手彫りのユリと「セレリア」ステッチディテールをソリッドブロンズにまとったデザインです。フェンディの「クオイオ ローマ」レザーはソルベイエローで仕上げられ、そこに呼応する「セレリア」レザーステッチディテールがアクセントとして加えられています。軽やかな色彩と彫刻的な脚部のバランスにより、テーブルまわりの景色を穏やかに更新してくれる一脚になっています。
■ブロンズ リリー 壁掛け照明(Bronze Lily Sconce)(H22cm x W19cm x D14cm)
壁面を照らす壁掛け照明にも、「フォンデリア フェンディ」による3D手彫りのユリがソリッドブロンズであしらわれています。光源のまわりを包み込むように咲くユリのフォルムが、壁に柔らかな陰影を生み出し、空間全体のムードをさりげなく引き上げる役割を担います。
■ソルベ セラミック 台座 I(Sorbetto Ceramic Pedestal I)(H52cm x W78cm x D52cm)
「オフィチーネ・サッフィ・ラボ(Officine Saffi Lab)」が手がける角形台座は、5つの側面が見える構造で、クリームとソルベイエローのマットおよびサテンの高温釉薬によって仕上げられています。オリジナルのユリのデザインと「FF」ロゴモチーフが各面に配され、上に置くオブジェを引き立てながら、台座自体も一つの彫刻作品のような存在感を放ちます。
■アニーチェ セラミック 台座 II(Anice Ceramic Pedestal II)(H52cm x W78cm x D52cm)
同じく「オフィチーネ・サッフィ・ラボ」による角形台座は、5つの側面が見える構造を持ち、クリームとアニーチェブルーのマットおよびサテンの高温釉薬で仕上げられています。ここでもオリジナルのユリのデザインと「FF」ロゴモチーフがあしらわれ、カラーコンビネーションの違いによって、展示空間にリズムを与える役割を担います。
■「 FF」 セラミック キューブ(FF Ceramic Cube)(H52cm x D52cm x W52cm)
「オフィチーネ・サッフィ・ラボ」による立方体台座は、5つの側面が見える形状で、クリームカラーのマット高温釉薬が全体を包み込んでいます。交互に配置されたオリジナルのユリのデザインと「FF」ロゴモチーフが、シンプルなフォルムの中にフェンディらしい遊び心を添えています。複数個を組み合わせることで、立体的なディスプレイを楽しめる構成です。
■リリー ラグ(Lily Rug)(H300cm x W200cm)
「CC-タピス(CC-Tapis)」が制作したラグは、100%ウールを使用し、全面に3Dのユリが浮かび上がるようなタイル柄が描かれています。4隅には手作業で立体的に仕上げた「FF」ロゴモチーフが配され、足元からフェンディの世界観を感じられるデザインです。フロア全体を包み込む存在でありながら、アートピースのように空間の印象を決定づける一枚として提案されています。
■花瓶 I、II、III(Vase I, II, III)
(H30cm x W20cm)
「バロヴィエ・エ・トーゾ(Barovier & Toso)」がヴェネツィアのムラーノ(Murano)で手吹きした花瓶は、パステル調の不透明なアニーチェブルー、ソルベイエロー、クリーム色の3点で構成されています。職人による彫刻された花柄のアップリケが特徴で、「フォンデリア フェンディ」の花々のモチーフをガラスならではの透明感の中に映し出します。家具やラグと組み合わせることで、テーブルやシェルフの上に小さなサロンの情景をつくり出すアイテムです。
【Editor's View】
フェンディが提示する「フォンデリア フェンディ」は、インテリアとファッション、クラフトとコンテンポラリーアートを同じ地平に並べる試みとして、とても今らしいプロジェクトです。ブロンズやレザーといった重みのある素材に、ソルベイエローやアニーチェブルーの軽やかな色を重ねることで、クラシカルなイタリアの職人技が急に身近な存在として感じられます。3Dのユリが立ち上がるベンチやルームディバイダー、ムラーノガラスの花瓶、そして限定5点のみのピーカブーまで、日常の空間を少しだけドラマティックに変化させるためのヒントが随所に込められている印象です。ファッションとしてフェンディを愛してきた人にとって、これらのピースは、メゾンの物語を暮らしの中に迎え入れるための新しいアプローチとして映るはずです。
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