2025.11.01
カテゴリ: Topics
ティファニー モナコで開催の第1回GPHJにて栄光の2冠を達成、時を超える芸術性と職人技を証明
ジュエリーを「装飾」ではなく「芸術」として見つめ直す時代に、ティファニーが再びその存在意義を証明しました。モナコで初開催された「Grand Prix de la Haute Joaillerie(GPHJ)」にて、審査員特別賞とヘリテージ賞の2冠を獲得。自然の造形や光の流れを写し取るデザイン、そして持続可能な宝石調達への姿勢が高く評価されました。ジャン・シュランバージェによる「バタフライ チョーカー」や、アーガイル ピンク ダイヤモンドを使用した「レジェンダリー・バード」など、時代を超えて輝くジュエリーが再び脚光を浴びています。ティファニーが紡ぐ伝統と革新、その歩みは止まりません。

モナコで初開催となったGrand Prix de la Haute Joaillerie(GPHJ)で、ティファニーは審査員特別賞とヘリテージ賞の受賞を発表しました。GPHJは、ハイジュエリーの芸術性やクラフトマンシップ、歴史的継承に加え、トレーサビリティや説明責任の姿勢まで評価軸に含めることを掲げています。創作の美と倫理性を同時に問う枠組みでの受賞は、読者にとってジュエリー選びの新しい基準を示す出来事です。ティファニーが築いてきた長年のものづくりと透明性が、国際的に裏づけられた形となりました。
授賞式はモンテカルロ・ソシエテ・デ・バン・ド・メール主催のサル・デ・ゼトワールで行われ、審査員長はジュエリージャーナリストのファビエンヌ・レイボーが務めました。ティファニーのハイジュエリーは、卓越した職人技と革新的なデザイン、そして継承されるレガシーが総合的に評価されています。由緒ある会場と専門家の審査体制は、表彰が話題性にとどまらず、作品の実力に根差すことを物語ります。こうした文脈での高評価は、ティファニーが次世代の表現を担う存在であることを具体的に示しています。
「ティファニーは約200年にわたり、デザインの可能性と卓越した技術の限界に挑戦し続けてきました。GPHJの審査員に、革新性と伝統を体現し続ける当社の比類なき作品と卓越した宝石が評価されたことを光栄に思います。」と、ティファニー社長兼CEOのアンソニー・ルドリュは述べています。このコメントは、伝統を礎にしながら実験性を受け止めるメゾンの姿勢を端的に示し、ハイジュエリーが日常の装いにも新しい価値観をもたらす可能性を示唆します。
審査員特別賞では、創造性とデザイン性が評価され、カスケード ナチュラル ソルトウォーター パール ネックレス、シューティング スター ネックレス、レジェンダリー バード:アーガイル エディション、ジャン・シュランバージェによるバタフライ チョーカーの4点が選出されました。各作は異なる物語を担います。カスケードは自然の流麗さを素材で描き、シューティング スターは動きを線で表す構成力が光ります。レジェンダリー バードは希少素材の存在感を造形に昇華し、バタフライはシュランバージェらしい立体感で軽やかさを表現します。複数方向の美学を束ねられる点が、ティファニーの強みです。

プラチナと18Kイエローゴールドを用いたカスケード ネックレスは、ジャン・シュランバージェのリーフ ネックレスから着想を得て、ジュエリー&ハイジュエリー部門チーフ アーティスティック オフィサーのナタリー・ヴェルデイユとデザインスタジオが制作しました。葉脈のようなゴールドのうねりにパールの光沢を重ね、クラシカルなモチーフを現代的なプロポーションへ導いています。自然の曲線を工芸で再構築する手法は、フォーマルからイブニングまで幅広い装いに呼応しやすいのが魅力です。
合計約75カラットの天然海水パールと、総計51カラット超のラウンドブリリアント カット ダイヤモンド1,276石を配した構成は、視線の流れを計算したグラデーションが要です。フセイン・アル・ファルダン コレクションから厳選された天然海水パールは、サイズとカラー、連なりの調和が際立ちます。希少素材を量感でまとめるのではなく、軽やかなリズムで見せる設計により、重厚さよりもしなやかさを感じさせる点が今のムードに適しています。

ナタリー・ヴェルデイユとデザインスタジオが手掛けたブルー ブック2024:ティファニー セレステで発表されたシューティング スター ネックレスは、メゾンを象徴するリボンのモチーフを流星の軌跡に読み替えたデザインです。曲線が生むスピード感と光の反射が首もとに動きを与え、ドレスのネックラインを鮮明に引き立てます。クラシックな意匠を軽快なラインへと転換する手腕は、日常の装いにも取り入れやすい洗練へつながります。
Dカラーの約19カラットという圧倒的な存在感を放つエメラルドカット ダイヤモンドが中央に配されたネックレスは、ティファニーが築き上げてきたダイヤモンドの専門性とクラフツマンシップを象徴する一作です。特筆すべきは、中央のダイヤモンドがネックレスから取り外され、リングとしても着用できる構造に仕上げられている点です。この機構は、ティファニーが追求してきた「美しさと機能性の融合」という理念を具現化するもの。日常から特別な瞬間まで、ジュエリーをしなやかに身にまとう現代の女性像を思わせます。こうした柔軟な発想と精緻な技術の組み合わせが、ブランドの革新性を支えています。

1965年に誕生した「バード オン ア ロック」は、ティファニーの芸術性と職人技を象徴する代表作として知られています。今回、ナタリー・ヴェルデイユとデザインスタジオが手掛けた新作では、伝説的なアイコンが新たな時代の表現へと昇華しました。1.45カラットを超えるアーガイル ピンク ダイヤモンドをまとった鳥が、繊細な彫刻を施したゴールドの枝に優雅にとまり、葉とドングリのモチーフには529石・総計11カラットを超えるホワイトダイヤモンドが散りばめられています。煌めきの中に生命感が息づくこのデザインは、ティファニーの創造性が時を超えて進化し続けていることを物語ります。
アーガイル ピンク ダイヤモンドは、西オーストラリアのアーガイル鉱山の最終期に採掘された希少な宝石で、現在では入手困難な存在です。この貴重な石を採用した「レジェンダリー・バード:アーガイル エディション」は、自然の奇跡を讃えるとともに、責任ある調達を重視するティファニーの姿勢を映し出しています。環境と倫理を尊重しながら、芸術としてのジュエリーを進化させていく姿勢は、ラグジュアリーの新しい在り方を提示していると言えるでしょう。希少性の追求だけでなく、持続可能な価値観を込めることが、今の時代に求められる美意識の在り方です。
ヘリテージ賞を受賞した「バタフライ チョーカー」は、ジャン・シュランバージェが1956年にデザインしたティファニー初期のハイジュエリーの一つ。彼の友人であり慈善家でもあったレイチェル・ランバート “バニー” メロンへの敬意を込め、蝶の繊細な羽ばたきをネックレスに昇華させました。シュランバージェ特有の有機的なフォルムと繊細な色彩のバランスが、彼の作品の中でも際立っています。ヘリテージ賞の受賞は、この作品が今なお芸術的価値を放ち続けている証でもあります。
「バタフライ チョーカー」は、メロンがティファニー本店のシュランバージェ サロンを訪れた際に生まれたアイデアをもとに、ニューヨークの工房で職人たちが形にしたものです。ダイヤモンド、ターコイズ、アメジスト、ペリドット、サファイア、スピネルといった多彩な宝石を精緻に組み合わせ、蝶の羽ばたきを立体的に表現しています。現在はバージニア美術館より貸与されており、シュランバージェとメロンの深い絆を象徴する作品として語り継がれています。色彩の調和と造形の優雅さが生み出す視覚的なリズムは、現代のデザイナーにも刺激を与え続けています。
GPHJガラ当夜は、世界各国のハイジュエリーブランドと国際的な著名人が集い、ナタリー・ヴェルデイユがホストを務めました。ミシュラン星付きシェフ、マルセル・ラヴァンによる料理とともに、クラフトマンシップを称える一夜となりました。ティファニーは今回の2冠受賞を通じて、ハイジュエリー界のリーダーとしての確固たる地位を改めて示しています。伝統を守りながらも、革新を恐れず進化し続ける姿勢が、ティファニーを特別な存在たらしめているのです。
【Editor's View】
今回の受賞は、ティファニーが200年にわたり積み重ねてきたクラフツマンシップと、時代に合わせた革新性が共存する証でした。特に「レジェンダリー・バード:アーガイル エディション」に見られる希少石の扱いは、単なる美の追求にとどまらず、責任あるものづくりの象徴でもあります。一方で、「バタフライ チョーカー」の再評価は、アーカイブを未来へとつなぐ文化的意義を改めて示しています。ティファニーのジュエリーは、装飾品ではなく時間と哲学を宿す芸術であり、その価値は世代を超えて受け継がれていくのです。
BRAND SEARCH
CATEGORY
ABOUT
「BRANDJOY.JP」はラグジュアリーブランドなどの最新動向に関連するニュースをセレクトしてお届けしています。新作やコレクションを中心に、新規オープン、ビジネス・業界情報をまとめてチェック。


