2026.11.03
カテゴリ: Open
グッチ GUCCI の新リテールビジョンが始動、ルネサンス建築と多彩な素材で描くブランドの世界観と顧客体験
ブランドの世界観を伝える場所として、ブティックの役割は商品を展示することだけにとどまりません。建築様式や素材の選択、家具やアートとの組み合わせ、そして来店者が空間を巡る時間までが、ブランドの個性を形づくる要素になります。グッチがパリのモンテーニュ通りにオープンした新旗艦店は、こうした店舗体験そのものを再構築する試みです。イタリアの邸宅建築を思わせる空間構成に、ミラノの1930年代の合理主義建築や1950年代から1970年代のインテリアを重ね、歴史と現代性を共存させています。天然石や木材が生み出す質感、部屋ごとに変化するディスプレイ、プライベートな時間を過ごせる特別な空間。そこには、グッチの美意識を建築と体験の両面から伝える、新しいショップの姿があります。
パリのモンテーニュ通り56番地に、グッチの新たな旗艦店が誕生しました。10月30日にオープンした店舗は、4フロア、総面積1,480平方メートルの規模を誇ります。ウィメンズ、メンズをはじめとする多彩なコレクションを展開するとともに、建築とプロダクト、来店者の体験をひとつの世界観として結び付けた新ショップコンセプトを初めて本格導入。ブランドの美意識を空間全体で表現する新たな拠点です。
このショップ構想が最初に姿を現したのは、9月25日にミラノで開催された2027年春夏コレクション「The Store Show」です。店舗を舞台に見立てたランウェイの空間演出を通じて、グッチが目指す新しいリテールのあり方を提示。そのアイデアを一時的な舞台美術にとどめず、実際に人々が訪れる恒久的なショップへと発展させました。イタリアの歴史や現代文化、顧客一人ひとりの体験を重視する設計思想は、今後、世界各地の店舗へ段階的に導入される予定です。
店内の空間構成は、イタリア・ルネサンス期のパラッツォ(邸宅建築)に着想を得ています。その建築的な骨格に重ねられたのが、ミラノの歴史に根差したデザインです。建築家ピエロ・ポルタルッピの作品を想起させる1930年代の合理主義建築から、整然としたプロポーションや厳格さ、壮麗な佇まいを取り入れています。一方、1950年代から1970年代のミラノのインテリアを思わせるディテールが、職人技の温もりと現代的な個性を添えています。
店内を特徴づけるのは、独立した部屋でありながら、互いにつながりを持つ空間設計です。開放的なエリアから落ち着いた雰囲気の部屋へ、商品を眺める場から新たな発見のある空間へと、移動するごとに異なる表情が現れます。それぞれの部屋が独自の個性を持ちながら、全体ではひと続きの建築的な物語を形成。2階には、よりパーソナルな時間を過ごせるプライベート空間「Gucci Appartamento」を設けました。出会いや発見を育み、一人ひとりが自分らしい居場所を感じられる構成です。
イタリアの建築文化を映し出す素材選びも、この店舗の大きな特徴です。ミラノの街並みを象徴するチェッポ・ディ・グレをはじめ、異なる色調のトラバーチン、エンペラドールやブレッチャの大理石、ヴィクトリア・レジア・グリーンストーン、ブロンザイトなど、多彩な石材を取り入れています。さらに、ウォルナット、ゼブラウッド、チークといった木材やラッカー仕上げが室内に温かみをもたらし、テラゾーや顔料を用いたコンクリートが現代的な質感を加えます。部屋ごとに素材の組み合わせを変え、精緻な仕上げと時を経たような風合いを共存させています。
商品を引き立てるための背景として空間を設けるのではなく、インテリアとプロダクトが互いに関係し合うことも、新コンセプトの重要な考え方です。店内では、あえてすべてを一望できないように見せる部分と隠す部分のバランスを調整。来店者が部屋を巡るにつれて、商品が少しずつ姿を現す仕組みになっています。家具やオブジェ、アート作品とともに商品を配置することで、空間そのものがひとつの世界観を形成。歩きながら出会う発見が、ショッピングの楽しさを広げます。
モンテーニュ通りの旗艦店は、グッチがこれから展開する新しいリテールビジョンの出発点です。建築による空間づくりに加え、商品を通じたストーリーテリングと、顧客それぞれに合わせた体験を組み合わせることで、従来とは異なる店舗のあり方を提示しています。素材の豊かな表情や部屋ごとの雰囲気、巡ることで生まれる発見、そして自分らしく過ごせる場所。これらを一体化した空間設計が、グッチの新たなブランド体験を形づくります。
GUCCI PARIS FLAGSHIP MONTAIGNE
住所:75008 Paris, 56 Avenue Montaigne
詳しくは、www.gucci.com をご覧ください。
【Editor's View】
今回の新旗艦店で注目したいのは、イタリアの建築史を参照しながらも、特定の時代の様式をそのまま再現するのではなく、異なる年代の美意識をひとつの空間に共存させていることです。石材の重厚感と木材の温かみ、合理的な建築構成と装飾的なインテリア。それぞれの要素が異なる表情を持つことで、グッチの持つ多面的な個性を空間から感じ取れる設計になっています。オンラインでは得られない、建築や素材に触れながらブランドの世界観を体験するという実店舗ならではの価値を、改めて考えさせる取り組みです。
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