2026.10.07
カテゴリ: 新作
オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク ジュエリー」、時計製造とハイジュエリーが交差する新作
ロイヤル オークの幾何学は、腕時計の輪郭を越えて、ひとつのジュエリーコードへと広がります。オーデマ ピゲが発表した新たな「Royal Oak Joaillerie(ロイヤル オーク ジュエリー)」は、「ドリーム オブ ジュウ」「リズー エクリプス」「フロステッド ゴールド」の3ラインから構成され、いずれもメゾンの故郷であるジュウ渓谷を異なる光景として描き出します。氷の湖や夜空、森、移ろう光を、カラーストーンやダイヤモンド、チタン、ゴールドの質感へ変換。さらに、長年培われてきたジュエリー技法をロイヤル オークの特徴的なリンク構造へ重ねることで、時計とハイジュエリーの境界を軽やかに行き来しています。自然と建築、精密さと創造性がひとつの造形に収まったコレクションです。
オーデマ ピゲから、新たな「Royal Oak Joaillerie(ロイヤル オーク ジュエリー)」コレクションが登場しました。ロイヤル オークが持つ幾何学的な造形をハイジュエリーの視点から捉え直した本コレクションは、「ドリーム オブ ジュウ」「リズー エクリプス」「フロステッド ゴールド」の3つのラインで構成されています。1972年に誕生したロイヤル オークのアイコニックなデザインコードを背景に、時計製造とジュエリーという異なる領域を横断しながら、ブレスレットに象徴されるジオメトリーを新たなジュエリー表現へと昇華しています。
時計界のアイコンを大胆なジュエリーとして再解釈
ロイヤル オークの特徴的な幾何学を受け継ぎながら、今回のコレクションではブレスレットのリンク構造に新たな視線を向けています。複数の専門技術を組み合わせ、建築を思わせるラインに、宝石のセッティングや素材の質感、光の反射を重ねることで、彫刻的なリンクパターンを構築。プロポーションや表面の仕上げを細やかに調整することで、時計製作とハイジュエリー、精密技術と自由な創造性という異なる要素をひとつの造形に結びつけています。その着想源となったのは、1875年以来オーデマ ピゲが拠点を置くスイス・ジュラ山脈のジュウ渓谷。土地の風景や光をジュエリーへ置き換えることで、ロイヤル オークの大胆な個性に感情的な奥行きを加えています。
ジュウ渓谷を讃えるクラフツマンシップの表現
新たな「Royal Oak Joaillerie」では、ロイヤル オークの美学的コードと、オーデマ ピゲの故郷であるジュウ渓谷の自然がひとつの物語としてつながります。ジュウ渓谷の景観を思わせるモチーフに加え、特徴的なテクスチャーや色彩のグラデーション、宝石や金属が生み出す光の変化を取り入れることで、その土地の空気まで感じさせるような表現を追求。大胆なジオメトリーを保ちながら、素材の組み合わせによって異なる表情を引き出すことで、自然と建築、力強さと繊細さが交差するジュエリーへと仕上げています。
「ドリーム オブ ジュウ」では、ジュウ渓谷の多彩な冬景色や自然の表情を、精緻なジェムセッティングによってジュエリーへ置き換えています。凍った湖や澄み切った夜空、花々から着想を得たモチーフを、18Kホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールドの一点物のカフとして表現。深みのあるブルー、鮮やかなグリーン、印象的なピンク、陽光を思わせる色彩を取り入れ、建築的なフォルムに奥行きとリズムをもたらしています。ダイヤモンド、サファイア、スペサルティンガーネット、トルマリン、アメシスト、ツァボライト、トパーズなど、多彩なジェムストーンを組み合わせることで、ジュウ渓谷の異なる景色を一つひとつ異なる色と光で描き出しています。
一方の「リズー エクリプス」は、ジュウ渓谷にあるリズーの森と、この地域が天体観測と深く結びついてきた歴史に目を向けたラインです。日食によって生まれる淡い光輪を思わせる空の下、森へ差し込む光と影を、ブラックPVD加工を施したチタンと宝石によって表現。シリーズの最初のクリエイションとして登場するネックレスと、それに呼応するカフには、ブラックのチタン製リンクとスタッドを採用し、その中心にシュガーローフカットのエメラルドをセットしています。エメラルドはブリリアントカットダイヤモンドに囲まれ、なめらかなドーム状の表面がさまざまな方向から光を取り込むことで、鮮やかなグリーンを引き立てます。さらに、チタンのサテン仕上げとポリッシュされた面取りを組み合わせ、マットと光沢のコントラストによって宝石の色彩を際立たせています。
「フロステッド ゴールド」シリーズでは、18Kホワイトゴールド、ピンクゴールド、イエローゴールドのネックレスとカフが、ジュウ渓谷の光の移ろいをそれぞれの色調で表現しています。特徴的な表面仕上げは、古くから伝わるフィレンツェの金工技法をもとに、ジュエリーデザイナーのキャロリーナ・ブッチとの協業によって2016年に生み出されたもの。女性向けロイヤル オーク誕生40周年を記念して発表されて以来、オーデマ ピゲを象徴する仕上げのひとつとして定着しています。ダイヤモンドチップを備えた工具でゴールドの表面を細かく打ち出すことで、無数の凹凸が光を捉える「ダイヤモンドダスト」のような効果を創出。そこへ鏡面仕上げのスタッドとポリッシュされた面取りを組み合わせ、動くたびに異なる反射が生まれる立体的な輝きを引き出しています。
オーデマ ピゲのジュエリーの伝統を継承
オーデマ ピゲにおいて、ジュエリーは時計製作とは切り離された領域ではなく、長年にわたり双方の技術を刺激し合ってきた重要な創作分野です。宝石を精密に留める技術や貴金属を繊細に仕上げる技能は、ジュエリーだけでなくタイムピースの表現にも新たな可能性をもたらしてきました。異なる素材を組み合わせ、限られた空間の中で美しさと精度を両立させる工程は、時計製造にも通じるもの。今回のロイヤル オーク ジュエリーでも、そうした相互作用が彫刻的なフォルムと精密なジェムセッティングへと結びついています。
オーデマ ピゲとジュエリーとの関係は、19世紀にまで遡ります。創業以来、メゾンは小型化やジェムセッティング、装飾技法の開拓を通じて、機械式時計とジュエリーを結びつける表現を積み重ねてきました。ティファニー、カルティエ、オスカー・ヘイマン、ブルガリなど著名なジュエラーとの協業もその一環で、ペンダントウォッチ、ブローチウォッチ、リングウォッチといった小型時計から、エナメルや彫金、宝石を取り入れたタイムピースまで、幅広い作品を生み出しています。やがて腕時計が主流になると、ジュエリー由来の装飾をより自由なかたちで取り込めるようになり、フォルムや素材、表面表現の可能性も拡大。時計を機能だけで捉えず、身につける造形物として追求する姿勢が、現在のジュエリーウォッチやハイジュエリーへとつながっています。
1980年代に一体型ブレスレットを備えた腕時計が広がるなか、オーデマ ピゲは自社のジュエリー工房を設立しました。時計製造の現場とジュエリー制作の専門技術をより密接に結びつけることで、複雑なジェムセッティングを施したタイムピースを段階的に社内で手がけられる体制を構築。貴金属の加工や石留め、仕上げまでを一つの創作環境で磨き上げることで、時計のケースやブレスレットそのものをジュエリーとして表現する可能性も広がりました。2000年代初頭には、オーダーメイドのオート ジュエリー作品やハイジュエリーウォッチへと展開し、時計とジュエリーの境界をさらに押し広げています。
その後もハイジュエリーウォッチは、ジュエリーセットとの組み合わせや大胆なジェムセッティングを取り入れながら進化を続けました。こうした積み重ねは、「ミレネリー プレシューズ」ラインや、2013年に発表されたオートジュエリーウォッチコレクションへとつながっていきます。ジュウ渓谷の風景を起点に宝石の色彩や光を大胆に取り入れた「ダイヤモンド トリロジー」(2015~2017年)や「サファイア オルブ」(2019年)も、その流れを象徴する作品です。特に「サファイア オルブ」は、オーデマ ピゲが根を張るル・ブラッシュを流れるオルブ川に名を由来し、グラデーションを描くサファイアによって土地の色彩を立体的に表現。ジュエリー技法そのものを時計の個性へ変換する姿勢を明確にしています。
こうした長い歩みの先に位置づけられるのが、今回の「Royal Oak Joaillerie(ロイヤル オーク ジュエリー)」です。ロイヤル オークが備える幾何学的な造形に、ジュウ渓谷の自然から得た色彩や光、そしてオーデマ ピゲが培ってきたジェムセッティングや仕上げの技法を重ねることで、時計製造とハイジュエリーの境界をさらに自由に捉えています。伝統をそのまま保存するのではなく、素材、プロポーション、テクスチャーを更新しながら、新たな表現へつなげていく。その姿勢を通して、マニュファクチュールは自由な精神と創造性、妥協のないクラフツマンシップを次の時代へ受け渡していきます。
コレクション
※「ドリーム オブ ジュウ」および「リズー エクリプス」のすべてのハイジュエリー クリエイションは一点物であり、受注生産にて製作されます。
※画像掲載モデルはコレクションの一部リファレンスです。掲載のない複数のバリエーションも展開されます。
フロステッドゴールド ロイヤル オーク
チョーカー (イエローゴールド)
チョーカー (ホワイトゴールド)
チョーカー (ピンクゴールド)
https://www.audemarspiguet.com
【Editor's View】
「Royal Oak Joaillerie」を読み解く鍵は、宝石を多く使ったことではなく、ロイヤル オークの構造そのものをジュエリーのためのプラットフォームとして捉えていることにあります。八角形のベゼルや一体型ブレスレットを生み出したロイヤル オークは、もともと素材と仕上げによって光の見え方を変えてきた時計です。そこへジュウ渓谷の風景を重ねることで、リンクひとつ、面取りひとつにも土地の記憶を宿すことができます。特に「フロステッド ゴールド」は、細かな凹凸と鏡面のコントラストによって、動きに応じて表情を変える仕上げ。「ドリーム オブ ジュウ」や「リズー エクリプス」では、そこに宝石の色と透明感が加わります。自然を写実的に再現するのではなく、光、色、質感へと分解して建築的なフォルムへ戻す。その編集こそ、今回のコレクションを単なるジュエリーラインではなく、オーデマ ピゲの時計製造そのものから派生した創作として成立させています。
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