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マルベリー by クリストファー・ケイン始動、英国の記憶とクラフトを現代へつなぐデビューコレクション

英国の伝統は、いつも同じ姿をしているわけではありません。都市とカントリー、上質さと実用性、既存の文化とサブカルチャー。その間にある揺らぎこそをデザインへ取り込むのが、クリストファー・ケインによるマルベリーの新しい試みです。デビューコレクションでは、サマセットというブランドの故郷、創業者ロジャー・ソール、マルベリーツリー、レザー、ベイズウォーターといった記憶を掘り起こし、それらを服やアクセサリーへ大胆に変換。1970年代の英国的な装いや、1990年代のスウェットといったアーカイブも現代へ引き寄せています。伝統を保存するのではなく、再び生活の中で使えるものとして動かしていく。その視点が、この新ラインの輪郭を形づくっています。

マルベリーの新章、クリストファー・ケインがベイズウォーターやアーカイブを再構築した最新コレクション

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SPRING SUMMER 2027
City, Town, Country.

「Mulberry by Christopher Kane」のデビューコレクションが描くのは、ひとつの価値観に回収されない英国の姿です。既存の社会や文化とサブカルチャー、上質なものと実用性、自然と産業、さらには画一性と個性。相反するように見える要素を並置し、その間に生まれる緊張感そのものをデザインへ取り込んでいます。イギリスの暮らしに根付く多様な価値観を起点に、伝統を守るだけでも、過去を否定するだけでもない、新しい英国らしさを探るコレクションです。

独立したレディ・トゥ・ウエアおよびアクセサリーラインとして始動する「Mulberry by Christopher Kane」は、マルベリーに新たなクリエイティブの章をもたらします。2026年9月にデビューコレクションを発表し、2027年1月から店舗およびオンラインで展開する予定です。クリストファー・ケインは、マルベリーの英国的な背景とクラフツマンシップへの敬意を起点に、自身のデザイン哲学を重ね合わせ、ウェアとアクセサリーの双方から新しい表現を構築しています。洗練されたデザインだけでなく、クラフト、素材、英国のカルチャーを横断しながら、これまでバッグを中心に築かれてきたマルベリーの世界を、装い全体へと広げていくラインです。

マルベリーのルーツから、新たな表現へ

その出発点にあるのは、マルベリーというブランドがどこから生まれ、何によって形づくられてきたのかという問いです。ブランドのルーツである英国サマセット、創業者ロジャー・ソール、名前の由来にもなったマルベリーツリー、そして長年にわたって受け継がれてきたレザーとデザインコード。クリストファー・ケインは、それらを過去の資料として保存するのではなく、現在の視点から読み替えるための素材として扱っています。アーカイブに残る要素をそのまま再現するのではなく、そこから新しい意味を引き出すことで、マルベリーの本質を次の時代へつなげる試みです。

レザーとクラフツマンシップ

コレクションの中心に据えられるのは、マルベリーが長年培ってきたレザーとクラフツマンシップです。その象徴として選ばれたのが、アイコンバッグ「ベイズウォーター」。特徴的なバッグの輪郭は、そのままバッグの意匠として留めるのではなく、身体のラインをなぞるようなシルエットへ置き換えられ、アウターウェア、テーラードウェア、ニットウェア、ドレスへと展開されています。さらに、コートやスカートにはベイズウォーターの構造を思わせるレザーパネルを配置し、バッグのコードを衣服の構築へと移植。マルベリーを象徴する「ポストマンズロック」もベルトやフットウェアへ取り入れられ、ブランドのアイコンがアクセサリーや服の中で別の役割を担っています。

マルベリーツリーと斧

一方、マルベリーツリーはブランド名やロゴの由来にとどまらず、生命そのものを象徴するモチーフとしてコレクションに登場します。根を張り、成長していく樹木の姿に対して並べられるのが、斧という相反する存在です。木を切り倒す道具でありながら、同時に新しいものを生み出すための道具でもある斧は、破壊と創造、継承と刷新という二面性を内包しています。その特徴的なフォルムはバッグやフットウェアのデザインへ抽象化され、クラフトを受け継ぎながら新しい形へ変えていく、今回のコレクションの考え方を視覚化しています。

英国のヘリテージを再構築する

英国らしさを語るうえで、テキスタイルも重要な役割を担います。ホワイトのブロデリー・アングレーズは、1975年の「ル・スタイル・アングレー」に対するオマージュとして登場。マルベリーが英国的なファッション・アイデンティティを確立していった時代のコードを、現在のコレクションへ引き戻しています。カラーリングにもアーカイブへの視線が反映され、ヘリテージ・チェックで用いられてきた色彩を抜き出し、新しい組み合わせとして再構築。過去のデザインをそのまま引用するのではなく、色や柄を本来の文脈から切り離し、新しい目的を与えることで、アーカイブを現在進行形のデザインへ変換しています。

1990年代のマルベリー

なかでもクリストファー・ケイン自身の記憶と強く結び付いているのが、1990年代のマルベリーのオリジナル スウェットです。最小限のアレンジで再現されたこのアイテムには、ケインが成長した時代の記憶が重ねられています。当時、彼の故郷でサッカーファンたちが誇りを示すように身に着けていたマルベリーのスウェットは、英国の地域文化とブランドの存在が交差していた時代を象徴するもの。アーカイブから選ばれた一着を現代へ持ち込むことで、ブランドの歴史だけではなく、デザイナー個人の記憶までコレクションの一部にしています。

City. Town. Country. シティ。タウン。カントリー。
Nature. Industry. 自然。産業。
Uniform. Individuality. 画一性。個性。
Heritage. Newness. ヘリテージ。新しさ。

過去は、ノスタルジーとしてではなく、今も息づくものとして存在する。能動的で、実用的で、生命を宿したもの。

マルベリーを再解釈するクリストファー・ケイン、レザーとアーカイブから描く新しい英国スタイル

マルベリーの新章、クリストファー・ケインがベイズウォーターやアーカイブを再構築した最新コレクション

マルベリーを再解釈するクリストファー・ケイン、レザーとアーカイブから描く新しい英国スタイル

マルベリー by クリストファー・ケイン デビュー、ベイズウォーターとポストマンズロックが服へ広がる新章

Photo: Iker Aldama

マルベリー 公式オンラインスア 
https://www.mulberry.com

Mulberry by Christopher Kane 公式Instagram  https://www.instagram.com/mulberrybychristopherkane

マルベリー 公式Instagram 
https://www.instagram.com/MulberryEngland




【Editor's View】
「Mulberry by Christopher Kane」で印象に残るのは、マルベリーのアーカイブを単なる懐古趣味として扱わず、デザイナー自身の記憶と現在の生活へ接続しているところです。ベイズウォーターはバッグの象徴として完結せず、その輪郭が身体に沿う服のラインへ変換され、ポストマンズロックもバッグの金具からベルトやフットウェアへと役割を変えています。マルベリーツリーと斧という対照的なモチーフも、ブランドの起源を示すだけではなく、継承と刷新というコレクション全体の考え方を象徴する存在として機能しています。さらに、クリストファー・ケインが幼少期に身近に感じていた1990年代のマルベリーのスウェットを再構成したことは、このコレクションをブランドの歴史だけでなく、個人の記憶から読むうえでも重要です。マルベリーは1971年にロジャー・ソールが創業し、サマセットでのものづくりとロンドンの文化を行き来しながら独自の英国性を築いてきました。今回の新ラインは、その二面性を再び前景化し、クラフトとカルチャーの両方から「マルベリーらしさ」を更新する試みとして捉えられます。

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