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ダンヒル 2026年春夏、ミッドナイトネイビーのイブニングと「アルフレッド」レザーが導く現代紳士の装い

夕方以降の予定が増える季節になると、昼の顔と夜の顔を自然に切り替えてくれるワードローブが頼もしく感じられます。ダンヒルの2026年春夏キャンペーンは、まさにその移ろいゆく時間帯を前提にしたような構成です。ミッドナイトネイビーのホップサックに、ウォッシュドピンクのリネン、アール・デコから着想を得たイブニングジャケット、そして手仕事のパティーナをまとった「アルフレッド」コレクションのレザーグッズまで、どのピースもフォーマルとリラックスのあいだを軽やかに往復します。朝の約束から夏の夜風を感じるひとときまで、着る人の佇まいをそっと支えながら、ふとした瞬間に英国らしい品の良さを思い出させる。そんな静かな説得力をもったキャンペーンとして心に残ります。

ダンヒル 2026年春夏キャンペーン、英国イブニングからレザーグッズまで貫く二面性のスタイルストーリー

ダンヒルが掲げる2026年春夏キャンペーンでは、英国らしいドレスコードの端正なムードと、それをあえて崩す自由なマインドを一つの物語として描き出しています。きちんとした身だしなみの中に潜む反骨心、その二つが同時に存在するときに生まれる緊張感を、シーズンのビジュアル全体で表現しているのが特徴です。知的で落ち着いた装いでありながら、どこか力を抜いた表情も感じられるスタイリングは、現代のダンヒルが考える「着る人の内面を映すエレガントなメンズウェア」を象徴しているように見えます。

このキャンペーンの核となっているインスピレーションは二つあります。ひとつは英国貴族に象徴される洗練された品格、もうひとつは彼らがブリティッシュ・ロックのアイコンたちに与えてきた影響です。そこから導き出されたのが、気品を帯びたまま、どこかルーズなムードを漂わせる反逆的なスピリットという感覚です。その二つの系譜を背景にしたルックの数々には、静かな自信と揺るぎない確かさが宿っています。柔らかな陽光を浴びたビジュアルは、抑制されたムードと明確なアティテュードが同居する世界観を形にしたものです。クリエイティブ・ディレクターであるサイモン・ホロウェイが手掛けたコレクションを中心に据え、英国的なエレガンスをシャープな視点で読み替えています。

撮影を担当したのはフォトグラファーのイーサン・ジェームズ・グリーンです。モデルにはオルフェオ・タギウリ、ジョン・ポール・フィリップス、アダム・サトラップを起用し、それぞれの個性を通してダンヒルの最新コレクションを映し出しています。背景となる空間は極めてクラシックで簡潔にまとめられており、余計な装飾を排したセットアップが、シルエットのバランスや素材の肌ざわり、縫製の細やかさといったクラフツマンシップのディテールに自然と視線を誘う構成になっています。視覚的なドラマ性を盛り立てるよりも、服そのものが持つ説得力を静かに際立たせるアプローチは、ダンヒルというブランドの姿勢を端的に物語っています。

このキャンペーンのストーリーを牽引するのは、やはりテーラリングです。ストーンカラーのハイツイストリネンスーツに、コットンシルクのベンガルストライプシャツと大胆なストライプタイを重ねたスタイリングは、「フォーマルな装いを肩の力を抜いて楽しむ」というコレクションのテーマそのものを体現しています。チャールズ国王の端正な装いと、チャーリー・ワッツの穏やかで気負いのない佇まいという、異なる二つのアイコンへの眼差しを一つのルックに折り込み、淡いグレーのトレンチコートをテーラードの上からふわりと羽織らせることで、フォーマルとリラックスのバランスを巧みに調整しています。このコートは伝統的なイタリアンリネンで仕立てられた一着で、1890年代後半の初期のモーターリングウェアから着想を得たアーカイブピースを、現在の感覚で呼び起こしたデザインです。

同じような二面性は、ダンヒルのアーカイブにルーツを持つドライビングジャケットの再解釈にも表れています。120年以上前にトフィーカラーのシープレザーで仕立てられたスタイルを起点に、今シーズンはブリティッシュ・カーキのスエードジャケットとして生まれ変わらせています。オリジナルの雰囲気を受け継ぎながらも、裏地をあえて省いた軽やかな構造とすることで、現代的な着心地と動きやすさを手に入れた点が印象的です。クラシックカーのドライバーが纏っていたようなイメージを、街でも日常的に取り入れやすいアウターとして再提示しているところに、ダンヒルらしい視点が感じられます。

ハダースフィールドで織り上げられたハウスネイビーのワイドピンストライプウールを用いたボードンスーツは、英国テーラリングの王道を体現する存在です。総毛芯で構築された胸まわりに、軽やかなハーフライニング仕様を組み合わせることで、構築的でありながら夏の気候にも対応する着心地へと調整しています。ショルダーラインにはサヴィル・ロウ由来のロープドショルダーが取り入れられ、クラシックな佇まいを保ちながらも、全体のバランスを今の空気感に寄り添うように整えています。オンタイムにも特別な場にも対応できるこうしたスーツは、ワードローブの軸となる一着として心強い存在です。

ダンヒル 2026年春夏キャンペーン、アール・デコの意匠とアルフレッド コレクションが語る英国モダンエレガンス

シャツスタイルにおいては、コットンリネン素材を用いたミックスストライプシャツにシルクタイを合わせることで、夏のクラシックな装いを提案しています。素材のミックスが生み出す軽やかな風合いに、ストライプ柄がリズムをもたらし、タイの光沢がささやかな緊張感を添えます。カラーパレットはラベンダー、ローズ、インディゴといった柔らかなトーンへと展開され、全体として控えめでありながら華やぎを感じさせる表情に仕上がっています。色で遊びたい気分のときも、あくまで品よくまとめたいときも、取り入れ方次第で印象を調整できるコンビネーションです。

アウターウェアの提案では、素材と構造のコントラストが際立ちます。ダークブラウンのフレンチラムスキンで仕立てたボンバージャケットは、軽量かつアンライニング仕様とすることで、レザーでありながら軽快に羽織れる一着にまとめられています。これに合わせるのは、イタリアの生地工場と共同で開発したウールシルク素材のグレンチェック・シアサッカーによるキャベンディッシュジャケットです。きちんとしたテーラードジャケットと、カジュアルなボンバーという異なるカテゴリーのアイテムを同じスタイリングの中で交差させることで、ダンヒルが得意とするエレガントなミックス感が引き立ちます。シティとウィークエンド、フォーマルとリラックス、その境界線を柔らかく行き来できるアウターの組み合わせは、今の気分に寄り添う提案と言えます。

イブニングシーンのためのルックにおいても、ダンヒルは気品と軽やかさのバランスを崩さずに提示しています。サマセットで織り上げられたライトウェイトのメリノウールによるミッドナイトネイビー・ホップサックは、通気性の良さときちんとした構築感を同時に備えたファブリックです。この素材で仕立てたダブルブレストジャケットには、コントラストを効かせたラペルが配され、アーカイブから着想を得たヴォイルのイブニングシャツがインに添えられます。マックルズフィールドで手捺染されたボウタイやポケットスクエア、さらにウールシルクのグログランで縁取られたダブルプリーツトラウザーズを合わせることで、夏の夜にふさわしい軽やかなフォーマルスタイルが完成します。構成要素は伝統的でありながら、着心地や空気感は今の時代に寄り添ったイブニングウェアとして仕上がっています。

より牧歌的で開放的な夏のムードは、淡いラベンダーやウォッシュドピンクで染め上げたハイツイストリネンのテーラリングに表現されています。シャープなラインを保ちながらも、ダブルブレストのブレザーとストライプシャツ、プリーツトラウザーズを軽やかに重ねることで、風通しの良いスタイリングを実現。足元にはカーフレザーのスリッパを合わせ、きちんと感を保ちながらも肩の力を抜いた夏の装いにまとめています。ウィンブルドンの観戦やガーデンパーティーといった社交の場にもふさわしい佇まいでありながら、そのまま街歩きにも溶け込む絶妙なさじ加減が魅力です。

ブランドの歴史の中でも象徴的な存在であるアール・デコ期の意匠は、今季ローブに着想を得たイブニングジャケットとして新たに読み替えられています。ウールシルクのハウンドトゥース素材を用いることで、クラシックな柄にほのかな艶と動きを与え、そこにウールのプリーツイブニングトラウザーズを組み合わせたスタイルを提案。室内のフォーマルな場面でも、プライベートなディナーの場でも機能するこのセットアップは、ドレスコードを意識しながらも、どこかリラックスしたムードを纏いたいときに頼れるイブニングスタイルと言えます。

ポケットスクエアやボウタイといった装いの仕上げ役となるアクセサリーに加え、シガーケースやターボライターなどの小物類もキャンペーンの重要な要素として登場します。これらのアイテムは、130年以上にわたり受け継がれてきた精密な構造のオブジェクトへのこだわりを改めて印象づける存在です。身につける服だけでなく、手に触れる道具にも美意識と機能性を求めてきたダンヒルの歴史が、小さなアクセサリーの一つひとつに反映されています。

レザーグッズの分野では、ダンヒルのレザーアーキテクチャーを象徴する「アルフレッド」コレクションが中心的な役割を担います。ハンドバーニッシュによるパティーナ仕上げのカーフレザーを用い、一点ごとに手作業で色を重ねていくことで、時間の経過とともにより深みを増していく繊細なツートーンの表情を生み出しています。同じモデルでも、一つとして同じ風合いにならないレザーは、使い手の生活に寄り添いながら個性を育てていく存在として、バッグをスタイルの要に据えたい人にふさわしい仕上がりです。

アルフレッド ブリーフケースは、柔らかくまとめたシルエットに、ユニークおよびローラガスライターに着想を得たスライダーロックなどのリードモチーフを配したエンジニアード・ハードウェアが組み合わされたデザインが特徴です。センチュリー、ボードン、デューク、デスパッチといった各ファミリーに展開されるアルフレッドは、「それは実用的でなければならない。確実に機能しなければならない。美しくなければならない。そして、永く使われるものでなければならない。」というダンヒルの哲学を、日々手に取るビジネスバッグという形で体現しています。仕事の場面で求められる信頼感と、持ち主の美意識をさりげなく伝える存在感の両方を備えたブリーフケースとして位置づけられています。

2026年春夏キャンペーン全体を通して提示されているのは、軽やかな動きと、現代紳士のリアルな生活シーンを見据えたワードローブです。朝の約束から夏の夜更けのひとときまで、きちんと装うべきタイミングと力を抜きたい瞬間を行き来しながら、無理なく品の良さを受け入れる新しい男性像が描かれています。フォーマルなルールは少しずつほぐされ、クラシックな要素はこなれた洒脱さへと更新されていく。そのプロセスを、テーラリング、イブニングウェア、レザーグッズの全方位から見せているのが今季のダンヒルの提案です。



【Editor's View】
ダンヒルの2026年春夏キャンペーンは、前半で描いたテーラリングとデイウェアの世界観を、後半でイブニングスタイルとレザーグッズへと自然に接続している点が印象的です。ミッドナイトネイビーのホップサックからハイツイストリネン、アール・デコ由来のジャケット、そして「アルフレッド」コレクションのブリーフケースへと視線を移すうちに、朝から夜まで流れるようにつながるワードローブが立ち上がってきます。どのピースも過度に主張することはなく、それでいて着る人の所作や時間の質を静かに変えていく力を持っているところが、ダンヒルらしい魅力です。ドレスコードが緩やかに変化し続ける今の時代において、クラシックを知ったうえで自分らしく崩したい人にとって、このキャンペーンはスタイリングのヒントが詰まったひとつのリファレンスブックのような存在になるはずです。

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