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コーチ Fall 2026 コレクション、ニューヨーク・ダウンタウンで再構築されたアメリカンスタイルと青春の記憶

ニューヨーク・ファッションウィークの中でも、コーチのランウェイはいつも少しノスタルジックな空気を連れてきます。今回のFall 2026 コレクションは、その郷愁をただ懐かしむのではなく、ユースカルチャーの視点でアップデートしたところに特徴があります。フィルムノワールのように陰影の強い世界から、テクニカラーの鮮やかな光景へと切り替わっていく物語を背景に、バーシティジャケットやリパーパスデニム、イーストウエストシェイプのバッグ、そして天体モチーフのジュエリーが次々と登場しました。ザ・キュナード・ビルディングという歴史的な空間を舞台にしたショーは、アメリカという大きなタペストリーを構成する、多様なカルチャーの断片を繋ぎ直す試みでもあります。日常のワードローブに落とし込むとき、そこに浮かぶのは懐かしさと新しさが同居する、今の気分に寄り添うアメリカーナです。

コーチ Fall 2026、バーシティジャケットとイーストウエストバッグで語る新しいアメリカーナの物語

2026年2月11日、ニューヨークのダウンタウンにそびえるザ・キュナード・ビルディングで、コーチはFall 2026 コレクションのランウェイショーを開催しました。発信地はあくまでハウスのホームタウンであるニューヨークですが、そこで提示されたのは、国境や都市の枠を飛び越えて共有される「アメリカンファッション」という広い概念です。クラシックなアメリカンスタイルを思い起こさせる要素を手がかりに、スチュアート・ヴィヴァースは現代のユースカルチャーと、その先に続く未来像をもう一段先へ押し進めました。テーラードのスポーツウェアやイブニングガウン、くたっとした風合いを持つジャージ、リパーパスデニムのトラウザーなど、多様なアイテムがランウェイを行き交い、それぞれが異なる背景を持ちながらも、共通の歴史と開かれた可能性という感覚によってゆるやかにつながれています。過去のアイコンをなぞるのではなく、今の若い世代が着たいと思うリアルさへ引き寄せている点が印象的です。

ヴィヴァースは今季のムードを語る中で、クラシック映画の画面を思わせるようなイメージを引き合いに出しています。フィルムノワールの世界に漂うセピアトーンから、映画「オズの魔法使い」を連想させる鮮やかなテクニカラーへと移り変わる視覚的な変化を、コレクション全体のイメージソースのひとつとして据えました。彼の言葉によれば、今シーズンは「新しい世代が次の冒険へ踏み出していくときに共有している前向きな気持ち」を表現する試みでもあります。歴史を感じさせるクラフトマンシップをベースに置きながら、世代や地域の違いを越えて若者たちのカウンターカルチャーをつなぐ対話を続けているという姿勢も強調されています。若さとは何か、前向きであることやウィットに富むこと、クリエイティブであることがどのような意味を持ち続けるのかを、シーズンごとに更新していくことこそが、コーチの取り組みの核であると伝わってきます。

このコレクションでは、アメリカンファッションを象徴するアイコンや土地、さらにはメディアからのイメージが、地理的な枠にとらわれずに交差しています。古いハリウッド映画がまとっていたグラマラスな雰囲気や、郊外で育まれたスケートカルチャーのラフさと遊び心、ハイスクールのバーシティユニフォームに代表される若さに満ちたクラシカルなムードなど、多方向からのインスピレーションがひとつのランウェイに集められました。こうした要素が組み重なったスタイリングは、青春時代のロマンスや前向きなエネルギー、自由な創造性を呼び起こします。同時に、登場するルックのすべてが、現在の世代が世界のどこにいても共有できるファッションの共通語で語り合っていることも示しています。ヴィンテージライクなユニフォームとモダンなテーラリングを行き来する感覚は、日々のスタイルに「自分の青春」を重ねたい人にとっても、取り入れやすいバランスです。

Fall 2026 コレクションを形作る軸のひとつが、素材の持つ手触り感です。レザーやシアリングのジャケット、ウールのテーラードアイテム、リパーパスデニムのトラウザーなど、質感の異なるマテリアルが組み合わされ、触れたときの温度まで想像させるようなラインナップになっています。シルエット面では、1940年代のテーラリングと1970年代のスポーツウェアから着想を得たミックスが特徴です。ウールやデニムで仕立てたフレアパンツやAラインスカートに、構築的なテーラードブレザーを合わせるスタイルがひとつの軸になっており、その中にはライニングを反転させて見せるインサイドアウト仕様のモデルも含まれます。さらに、フレアレングスでハイネック、ロングスリーブのドレスシリーズは、クラシカルなハイファッションの雰囲気にグランジの空気を重ねる提案です。1930年代から1940年代のハリウッドスタイルを手がかりにしたイブニングガウンも登場し、フィットしたウエストラインとパッド入りショルダー、カットアウトやきらめくアップリケによって、ドレスアップの楽しさへ再び視線を向けさせる構成になっています。

カラーパレットは、コーチのヘリテージを思い起こさせる定番カラーがベースになっています。その上に、アメリカーナを象徴するレッド、ホワイト、ブルーが重ねられ、ダークトーンを基調としたチェック柄やバーシティカラーがアクセントとして配されています。これらの色使いによって、ノスタルジックなムードと現代的な鮮やかさが同居するのが今季の特徴です。さらに、レディ トゥ ウェアの多くのアイテムには、銀幕のドラマを思わせるグレースケールで構成したペアとなるバージョンも用意されています。カラーとモノクロの二つの表情を行き来できる構成は、同じデザインでも着用シーンや気分によって印象を変えたい人のワードローブに寄り添う仕掛けとも言えます。

アウターウェアで最も中心的な役割を担っているのが、コーチのシグネチャーとも言えるバーシティジャケットです。レザー単体のモデルやレザーとウールを組み合わせたタイプに加え、ハウスとして初めてとなるオールシアリング仕様のバージョンも登場しました。これらのバーシティスタイルは、1970年代から着想を得たシュランケンジャケットに重ねて着こなす提案がなされており、クロップドウエストと長めのスリーブというプロポーションが特徴的です。モノクロームでシンプルに構成されたこのジャケットが、レイヤリングの土台として機能します。アウターウェアのラインナップの締めくくりとして、ピーコートやシアリングコート、スエードコートなどヘリテージ感のあるスタイルも揃い、中にはエコファーの襟をあしらったモデルも含まれています。トラッドな形をベースに、素材やディテールで今の空気を纏わせるアプローチは、長く着られる一着を探す視点から見ても魅力的です。

ニットウェアのカテゴリでは、オールジェンダーで楽しめるジャカードニットが3型登場します。イーグルモチーフ、フェアアイル柄、キルティングを思わせるパターンがそれぞれ採用され、いずれも軽くリペア加工を施すことで、実際に着込んできたかのようなハンドクラフトの表情を引き出しています。コレクションの基盤として用意されているのは、バーシティストライプや数字のモチーフで装飾されたシュランケンフィットのクルーネック長袖Tシャツと、一点物として再利用されたヴィンテージジャージのリパーパスセレクションです。こうしたベースレイヤーを軸に、ジャケットやアウターを重ねることで、スクールカルチャーとストリートのムードを自由に行き来するスタイリングが完成します。ニットやジャージの「少し着古した」表情が、コレクション全体の親しみやすさにもつながっています。

今シーズンのレザーグッズの中で注目したいのが、横長のイーストウエストシェイプにフォーカスした展開です。そこに、コーチを象徴するターンロックやキスロックといったメタルパーツが組み合わされ、クラシックと新しさを同時に感じさせるバッグ群が揃いました。細身のプロポーションが特徴的な「キスロック フレーム」バッグは、肩の下にすっと収まるサイズ感でデザインされており、日常の装いに取り入れやすいバランスです。カラーバリエーションには、ヘリテージカラーであるアーモンドとメイプルに加え、チェック柄ウールのモデルも用意されています。アーカイブスタイルから着想を得た「ターンロック ハバーサック」は、やや深めのシルエットとターンロック付きポケット、キスロック付きポーチが特徴で、機能性とデザイン性の両方を意識したつくりです。これらのハードウェアは、コンパクトな「キスロック バックパック」や2サイズ展開のスラウチーな「ターンロック メッセンジャー」バッグにも応用され、同じコードでレザーグッズ全体をつないでいます。

フットウェアでは、新作のレースレス「コーチ スケート スニーカー」が重要な役割を担っています。70年代のスケートスタイルからインスピレーションを受けたこのスニーカーは、スエードとキャンバスを組み合わせた構造で、ロートップとハイトップの2タイプが展開されます。カラーリングは、ミニマルなモノクロームからコントラストの効いた配色まで幅広く揃い、シーンや好みに合わせた選択がしやすい構成です。シューレースホール部分には、コーチが長く大切にしてきたハードウェアであるファイアーマンクリップまたはドッグリーシュクリップが使われ、ディテールの段階でブランドのDNAを感じさせる仕上がりになっています。スケートカルチャーの自由なムードを、今のワードローブに軽やかに取り入れたい人にとって、頼もしい一足と言えます。

ジュエリーのテーマとして掲げられているのは「天体」です。ゴールドやシルバーのトーンで表現された星や月、太陽のモチーフが、彫刻的なクラフトワークによって立体感のあるイヤリングやブローチとして登場します。また、シルバーやタイガーズアイを用いたシグネットリングのシリーズは、細いシルバーチェーンに通して首元に下げる提案がなされており、お守りのように身につけられる存在として打ち出されています。スタイリングをさらに印象づけるアイテムとして、バーシティストライプのスラウチーなソックスやレザータイ、カラフルなレザーベルトも用意され、細身のシルバーアビエイターフレームが特徴的なサングラスやアイウェアがルック全体を引き締めます。服のトーンが落ち着いていても、小物やジュエリーの選び方で物語性を加えられる構成になっている点が、今季のアクセサリーの面白さです。

ショーの会場となったザ・キュナード・ビルディングのメインホールは、ゲストを迎え入れるための舞台として強い存在感を放っていました。この歴史的建造物は、カレール&ヘイスティングスが手がけたネオルネサンス様式の建物で、かつては海運会社キュナード・ラインの米国本社および主要な発券窓口として機能していた場所です。高く組まれた格子状の天井の下、モデルたちはフィルムノワールを連想させるドラマチックなライティングに照らされながらランウェイを歩きました。強い光と影のコントラストによってコレクションのディテールが際立ち、この壮麗なホールそのものが「アメリカ」を織り成すタペストリーの中のもうひとつの要素として組み込まれています。服だけでなく建物の歴史や空気までもがショーの一部となり、コーチが語るアメリカンファッションの新しい章を立体的に見せていました。

コーチ Fall 2026 コレクション、フィルムノワールからテクニカラーへ続くユースカルチャーとクラフトの旅

また、スペシャルゲストとして、コーチのグローバルアンバサダーのエル・ファニング、オマー・アポロやソヨン、日本からは幾田りらと中島健人が来場しました。

コーチ Fall 2026、ザ・キュナード・ビルディングで発表されたアメリカンファッション再定義ランウェイ、日本からは幾田りらと中島健人が来場

STYLIST: OLIVIER RIZZO
SET DESIGNER: STEFAN BECKMAN
MUSIC: SENJAN JANSEN
CASTING: ASHLEY BROKAW
HAIR: GUIDO
MAKEUP: DAME PAT MCGRATH
NAILS: NAOMI YASUDA
LIGHTING DESIGN: NICK GRAY, RENEGADE DESIGN
LIGHTING & AUDIO PRODUCTION: WISTAR PRODUCTIONS
VIDEO: B LIVE
PHOTOGRAPHY: ISIDORE MONTAG
EXECUTIVE PRODUCTION, FASHION SERVICES & MEDIA RELATIONS: KCD

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【Editor's View】
コーチのFall 2026 コレクションは、アメリカンファッションという大きなテーマを掲げながらも、具体的なアイテムや素材選びのひとつひとつが日常のワードローブを意識したリアリティを持っている点が魅力です。バーシティジャケットやリパーパスデニム、シュランケンジャケットといったウェアに、イーストウエストシェイプのバッグやコーチ スケート スニーカー、天体モチーフのジュエリーを重ねることで、スクールカルチャーやスケートパーク、古い映画館といったさまざまな風景が自然に重なります。ニューヨーク・ダウンタウンの歴史的な建物を会場に選んだことも含め、過去の記憶を手放すのではなく、今の若い世代の感覚で引き直していく姿勢が明確です。自分の学生時代のユニフォームや古いスウェットを思い出しながらも、それらをそのまま再現するのではなく、テーラリングやアクセサリーで今の自分に合うバランスへ変えていく。コーチが提示したのは、そんな感覚でアメリカーナを身につけるための実践的なヒントとも言えます。

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