2025.12.06
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ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」第2章、4人のアーティストと紡ぐデジタルクリエイティブプロジェクト
スクリーンの中でバッグが自由に姿を変え、現実ではあり得ないシーンを軽やかに駆け抜けていく。ヴァレンティノ ガラヴァーニ「ドゥ ヴェイン」のデジタルクリエイティブプロジェクト第2章は、そんな新しいファッション体験を提案する試みです。物理的なアイテムとしてのバッグを出発点に、AIを含むデジタルツールやアーティストの感性を重ねることで、フォルムやテクスチャーが物語や感情のトリガーへと変化していきます。トータル・エモーショナル・アウェアネスやZ_Capturesといったアーティストたちが生み出すビジュアルは、ヴァレンティノというメゾンのアイデンティティを、オンライン時代の感覚に寄り添った形で再構築していくプロセスそのものを映し出しているように感じられます。

2025年12月1日(月)、ミラノを舞台にメゾン ヴァレンティノ(Maison Valentino)は、デジタルの視点から現代のクリエイティビティを掘り下げる取り組みをさらに進化させました。ヴァレンティノ ガラヴァーニ ‘ドゥ ヴェイン(DeVain)’ バッグに焦点を当てたデジタルクリエイティブプロジェクトの第2章が発表され、メゾンが培ってきたクラシカルな感性と、オンラインで広がる新しい表現領域が再び交差します。フィジカルなバッグを出発点に、デジタル上でどこまで世界観を拡張できるかという試みは、ファッションとアートの境界を軽やかに行き来する現代的なプロジェクトとして注目されます。
11月18日に公開された最初の5人のアーティスト(トーマス・アルドルフ、エンター・ザ・ボイド、ポール・オクタヴィウス、アルベルト・プラネヤ、ティナ・トナ)に続き、第2章では新たに4人の国際的なアーティスト、アニムス・パックス(Animus Pax)、アニー・コリンジ(Annie Collinge)、トータル・エモーショナル・アウェアネス(Total Emotional Awareness)、Z_キャプチャーズ(Z_Captures)の作品が登場します。それぞれが自身の経験やビジュアル言語を持ち寄り、‘ドゥ ヴェイン’ バッグを軸にしながらも異なる空気感や物語性を与えています。ひとつのアイコンバッグが、アーティストの数だけ別々の人格を持つかのように立ち現れる構成は、見る人にとっても新鮮な視点の連続となります。
‘ドゥ ヴェイン’は、第2章においても4つの新しいビジュアルストーリーの中心に位置づけられています。それぞれのアーティストが、自身の感覚に根ざしたビジュアル言語を用いてバッグを捉え直し、写真、モーション、コラージュなど多様な表現手法を通してプロジェクトに参加しています。ひとつのバッグが持つフォルムやテクスチャーが、アーティストの視点によって抽象化されたり、物語に組み込まれたりすることで、プロダクトそのものの魅力と、イマジネーションの広がりが同時に可視化される構造になっています。
アニムス・パックス(Animus Pax)は、‘ドゥ ヴェイン’ バッグがフレームごとに表情を変えながら動き出すストップモーションシリーズを制作しました。ハンドルやボディ、メタルパーツの細かな動きをコマごとに切り取り、詩的で触覚的なアプローチによって素材感や立体感を際立たせています。バッグがプロップではなく、一種のキャラクターとして画面の中で生きているかのような演出は、日常的に持ち歩くアイテムに宿る存在感を再確認させてくれる表現になっています。
アニー・コリンジ(Annie Collinge)は、現実のオブジェクトと切り抜かれたシルエットをレイヤーのように重ね合わせ、実在とフィクションの境界線がにじむビジュアルを作り出しています。そこに‘ドゥ ヴェイン’ バッグを配置することで、夢の中のワンシーンのような情景が広がり、見る人を遊び心に満ちた世界へと誘います。彼女が描くイマーシブでアイロニックな空間では、ユーモアと想像力が交差し、バッグそのものがシュールな物語の登場人物のように感じられる構成が特徴的です。
トータル・エモーショナル・アウェアネス(Total Emotional Awareness)は、ポップな色彩やグラフィックと ‘ドゥ ヴェイン’ バッグを融合させたイメージを通して、鑑賞者を超現実的なビジュアルワールドへと誘います。画面の中で拡張し、増殖していくフォルムが、無限に続く幾何学のパターンや、純粋な想像力に身を委ねるような視覚体験を描き出しています。バッグの輪郭が解体されながらも、どこかで確かに存在を感じさせる構成は、アクセサリーとしての役割を超えた新しい見方を提示しているようです。
Z_キャプチャーズ(Z_Captures)は、‘ドゥ ヴェイン’ バッグの世界を、日常で見慣れたポップなオブジェクトと大胆に組み合わせることで、印象的なビジュアルの衝突を生み出します。ネオンカラーの小物やトイライクなアイテムと並べて配置されたバッグは、ファンタジーとポップカルチャーが同居するシーンの中で、新しいキャラクターのような存在感を帯びていきます。際立つ二重性や、意外性のある組み合わせから成り立つ独自のビジュアル言語は、ヴァレンティノ ガラヴァーニのアイコンバッグを、ストリート感覚とも共鳴する現代的なアイテムとして捉え直すきっかけを与えてくれます。
第2章の公開を通じて、メゾン ヴァレンティノは、人が持つ創造性とデジタル技術による実験とのあいだに続く対話を、さらに広い領域へと押し広げています。アーティストとのコラボレーションを現代性の象徴として位置づけながら、バッグを核にした芸術的な表現の価値をあらためて提示している点も印象的です。プロダクトとアート、オンラインとオフラインの境界を柔らかく行き来するこのプロジェクトは、ファッションメゾンがこれからの時代にどのように表現の場を拡張していくのかを示す一例と言えます。
アニムス・パックスとトータル・エモーショナル・アウェアネスによる映像や静止画のシリーズは、AIを取り入れて生成された作品です。アルゴリズムによる生成プロセスとアーティストの感性が重なり合うことで、予測しきれないテクスチャーや構図が生まれ、‘ドゥ ヴェイン’ バッグの新たな側面が引き出されています。メゾン ヴァレンティノにとっても、AIをひとつのツールとして採用しながら、クリエイションの核となる人間のまなざしをどう保つかを探る挑戦となっており、デジタル時代のバッグ表現に新しい可能性を示しています。
#ValentinoGaravani
DeVainBag
【Editor's View】
ヴァレンティノ ガラヴァーニ「ドゥ ヴェイン」のデジタルクリエイティブプロジェクト第2章は、アイコンバッグを主役にしながら、その存在を映像やグラフィックを通じてどこまで拡張できるかに挑んでいるように見えます。トータル・エモーショナル・アウェアネスやZ_Capturesによるビジュアルは、バッグをコーディネートの一部としてだけでなく、感情や記憶を映し出すイメージの核として捉え直す提案にもつながっています。さらにAIを組み込んだ表現は、テクノロジーと人の感性がせめぎ合う今の時代ならではの実験であり、ヴァレンティノというメゾンのクラシックな遺伝子が、デジタル空間で新しい輪郭を得ていく過程そのものが、ファッションを愛する人にとって興味深い観賞体験になっています。
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