Brand JOY

ロエベ「カサロエベ銀座」オープン、日本最大規模の4フロアで出会うアートとクラフトと最新コレクション

ブランドの世界観をいちばん濃く感じる場所は、コレクションルームでもランウェイでもなく、そのメゾンが時間をかけてつくり上げたストアかもしれません。ロエベが銀座にオープンした「カサロエベ銀座」は、そんな感覚を更新してくれる新しい目的地です。4フロアに広がる空間には、バッグやウェアだけでなく、アートやクラフト、香り、そしてスペインの菓子を楽しめるギフトカウンターまでが共存し、ショップというよりもギャラリー付きの邸宅を訪ねたような心地よさがあります。銀座でのショッピングを、服を選ぶ時間から感性に触れるひとときへと広げてくれる場所として、感度の高い大人の新たな「銀座アドレス」になりそうです。

ロエベは2025年12月4日(木)、中央通りとみゆき通りが交差する銀座の象徴的な一角に、新しい「カサロエベ銀座」をオープンしました。この店舗は、日本のロエベの中で最大規模であると同時に、世界の店舗の中でも二番目の広さを持つ旗艦的な存在です。4フロア構成で総面積は約965平方メートルにおよび、ウィメンズとメンズのウェアやバッグ、シューズ、ジュエリーに加え、アイウェアやソフトアクセサリー、フレグランス、ホームセンツ、キャンドル、革小物までがひと続きの世界観の中で展開されています。さらに、ストアのオープンに合わせて、新作ハンモック「フリップ」のカサロエベ銀座限定色「ライトゴースト」が登場し、この場所からロエベの最新のクリエーションを手に取る楽しみも広がっています。

ロエベ「カサロエベ銀座」オープン、日本最大規模の4フロアで堪能するアートとクラフトと最新ロエベ

ロエベ ハンモック フリップ バッグ カサロエベ銀座 限定色「ライトゴースト」
ハンモック フリップ バッグ カサロエベ銀座 限定色「ライトゴースト」¥488,400  中に入っているバッグ(別売り): キャッツ ドローストリングポーチ スモール ¥49,500


この新ストアは、アートコレクターの邸宅のような親密さと、洗練されたショップ空間の緊張感を併せ持つ「カサロエベ」のコンセプトを継承しながら、スペインの感性と日本のデザインが交差する場として構成されています。ファサードを印象づけるのは、職人が手作業で仕上げた独特なマディグリーンのセラミックタイルです。不規則な釉薬の表情やわずかな窪みが、光の当たり方によって微妙な色の揺らぎを生み、柔らかな反射をまとわせています。この深みのあるマディグリーンは、かつて江戸前島の先端に広がる低湿地帯としての銀座の風景を呼び覚ます色でもあります。外装に使われたセラミックタイルはそのまま店内へとつながり、コンクリートを基調とした空間に有機的な色彩と輝きを与えています。

店内を歩くと、各所に配置されたマテリアルの組み合わせが印象に残ります。アンシェント グリーン、クリスタロ アイスバーグ、ピンタ ヴェルデ、サハラ ブラウンといった多様な大理石が床や什器に用いられ、異なるトーンや模様がリズミカルに視線を誘います。窓枠に採用された真鍮は、銀貨や金貨の製造が盛んに行われた造幣拠点としての銀座の歴史を静かに思い出させる要素です。フロアの中心を縦方向に貫く階段は、グリーンのセラミックタイルに囲まれ、手仕事で丁寧に仕立てられた木製の手すりとともに柔らかな曲線を描きながら4フロアを結びます。自然光が階段の吹き抜けから差し込み、石材、木材、セラミック、コンクリートといった異なる素材が調和する様子を際立たせています。

ロエベ「カサロエベ銀座」、マディグリーンのタイルとアートコレクションが彩る4層の旗艦空間

ロエベ 日本最大規模のカサロエベ銀座、中央通りとみゆき通りの交差点に誕生した新たなロエベの家

4階は、カサロエベ銀座の中でも特に体験性の高いフロアとして構成されています。自然を着想源とするロエベのバスラインを実際に手に取り、香りやテクスチャーを試しながら楽しめるフレグランスとホームセンツのエリアがあり、空間全体が香りのギャラリーのような雰囲気をまといます。さらに、チャームやミニバッグを組み合わせることでプロダクトを自由にカスタマイズできるギフティングとパーソナライゼーション専用のエリアも設置され、贈り物選びやセルフギフトを、自分らしいスタイルをかたちにするクリエイティブな時間へと昇華させています。

ロエベが銀座に構えた新拠点「カサロエベ銀座」、ファッションとクラフトが交差する4フロアの体験型ストア

このストアのユニークな特徴のひとつが、世界で初めて導入されたギフトカウンターです。カウンターには、スペインの伝統的な甘味として親しまれてきたパルメラやポルボロン、チョコレートが並び、ロエベのルーツであるスペイン文化の豊かさを味わうようなラインアップになっています。オープンを記念した特別な企画として、日本のアイシングクッキー作家Fioccoによる特製クッキーも期間限定で登場し、ファッションアイテムとともに選びたくなるギフトのバリエーションを広げています。ショッピングの途中で立ち寄るだけでも、銀座での時間に小さなサプライズを添えてくれるスポットです。

パルメラ(右上) ¥6,300 ポルボロン(下) ¥5,200 チョコレート アソート(左) ¥10,200 

LOEWE × Fiocco アイシングクッキー ¥8,800


店内に配された家具は、カサロエベ銀座の空間に温かさと落ち着きをもたらす重要な役割を担っています。ジョージ・ナカシマによるミラ チェアやクッション チェア、ヘリット・トーマス・リートフェルトのユトレヒト アームチェアといった名作チェアが点在し、その緊張感を和らげるように、イサム・ノグチの「Akari E」ペンダントランプの柔らかな光が吊り下げられています。さらに、ふっくらとしたフォルムのレザーベンチやブラックの鉄製マティーニ テーブル、焼木材のポディウムなど、ロエベらしいシグネチャーデザインの家具も配置され、空間にリズムを与えています。そこに、サステナビリティとイノベーションの探求から誕生したロエベ リクラフテッド コーヒーテーブルが新たに加わり、インテリアそのものがブランドの姿勢を語る要素として機能しています。

リクラフテッド コーヒーテーブルは、ロエベのアトリエで発生した余剰レザーの95%を再利用して制作された一点物です。本来なら役目を終えるはずだった素材に新しい命を吹き込み、その表情や色彩の奥行きが改めて際立つよう構成されています。テーブルの足元には、スペインで織り上げられた特注のカーペットが敷かれています。このカーペットは、イギリスのテキスタイルデザイナーであるジョン・アレンによる「Orkney Landscape Sunset」や「Autumn in Orkney」といった明るく抽象的なタペストリーを再解釈したデザインで、豊かな色とパターンがフロアにやわらかなリズムを与えています。素材へのまなざしと職人技、そして環境への配慮が一体となった空間演出と言えます。

ロエベ「カサロエベ銀座」オープン、ライトゴーストのハンモック フリップとアートに包まれる4フロアの新ストア

カサロエベ銀座では、世界中から集められたアート、クラフト、デザインの作品が全4フロアにわたって展示され、ロエベのコレクションがストア空間と溶け合うように配置されています。中でも目を引くのが、ロエベがミラノサローネ 2024で発表した2つのランプです。アンセア・ハミルトンによる「Kimono Lamp」は、漆塗りの木材と曇りガラスを組み合わせた、光をまとう衣服のような作品で、1階の空間に静かな存在感を放ちます。一方、ケリス・ウィン・エヴァンスによるネオン作品は4階の天井から吊り下げられ、店内からはもちろん、屋外の通りからも窓越しに眺めることができる構成です。銀座の街並みにアートの気配をにじませるインスタレーションとして機能しています。

そのほかにも、ルーシー・リー、エリオット・ホジキン、ヒルトン・ネル、オヴィデュ・マイテク、アルバート・ヨークといったアーティストたちの作品が各フロアに点在し、ストアを巡る時間を小さなギャラリー散策のような体験に変えています。日本人アーティストの作品も随所に配置されており、LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025 大賞受賞者の青木邦眞氏による歪像的な陶芸作品「Realm of Living Things 19」が2階の窓辺で存在感を放ちます。竹工芸家の松本破風氏によるレザー作品「Basket 6」は、伝統的な竹工芸の技と現代的な芸術性が交差する一点であり、浜名一憲氏による質感豊かなセラミックの壺は、金継ぎ師の黒田雪子氏とのコラボレーションによって制作されたものです。この壺には、日本の修復技術が受け継いできた精神が映し出され、ロエベがクラフト文化やアーティストとの対話を大切にしてきた姿勢が、視覚的に感じられる構成になっています。


カサロエベ銀座
東京都中央区銀座5-8-15
11:00 –20:00

 お問合せ先 
ロエベ ジャパン クライアントサービス
03-6215-6116
www.loewe.com


【Editor's View】
カサロエベ銀座は、ロエベのプロダクトを選ぶ楽しさと同時に、アートやクラフトへのまなざしを育てる場所として機能している点が印象的です。マディグリーンのタイルや多様な大理石、歴史を感じさせる真鍮、余剰レザーから生まれたリクラフテッド コーヒーテーブル、そして日本人アーティストの作品の数々が、銀座という街の記憶とブランドのクリエーションを立体的に結びつけています。ショッピングの途中でふと視線を留めたランプや陶芸作品が、自分の感性に新しい尺度を与えてくれるような体験は、20〜40代のファッション好きにとっても大きなインスピレーションになりそうです。ここで時間を過ごすことそのものが、装いだけでなく、日々の暮らし方やもの選びの基準を静かに更新していく行為として記憶に残るはずです。

BRAND SEARCH

CATEGORY

ABOUT

「BRANDJOY.JP」はラグジュアリーブランドなどの最新動向に関連するニュースをセレクトしてお届けしています。新作やコレクションを中心に、新規オープン、ビジネス・業界情報をまとめてチェック。

ARCHIVES



月間 TOP 10 ARTICLES

TOP