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ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」、9人のアーティストが描くデジタルアートプロジェクト全容

ヴァレンティノ ガラヴァーニ「ドゥ ヴェイン」は、バッグというプロダクトの枠から一歩踏み出し、デジタルアートのキャンバスとして再び注目を集めています。メゾン ヴァレンティノが立ち上げた今回のプロジェクトでは、世界各地のアーティストが参加し、それぞれの手法で「ドゥ ヴェイン」を物語の中心に据えました。AIや映像、デジタルコラージュが織りなす世界には、バッグを持つという行為そのものをアップデートする視点が潜んでいます。タイムラインで見つけたルックに心惹かれたとき、その裏側にあるクリエイションのストーリーまで味わいたくなる人にこそ、じっくり追いかけたいプロジェクトです。

ヴァレンティノ ガラヴァーニ「ドゥ ヴェイン」、9人のアーティストが描くデジタルアートプロジェクト全容

メゾン ヴァレンティノ(Maison Valentino)は、ヴァレンティノ ガラヴァーニ「ドゥ ヴェイン(DeVain)」バッグに光を当てたデジタルクリエイティブプロジェクトを発表します。世界各地で活躍する9人の国際的なアーティストを招き、それぞれの視点からバッグを再解釈するこの試みは、メゾンが育んできたコードをデジタルのフィールドへと解き放つものです。ファッションとアート、テクノロジーが交差する場として構想されたプロジェクトは、ヴァレンティノの世界観をオンライン上で体感したい人に向けられた新しい表現のプラットフォームとも言えます。

「ドゥ ヴェイン」は、9つのビジュアルストーリーの中心に据えられた存在として登場します。デジタルメディアという芸術表現を通じて、そのバッグは現代的なクリエイティビティを映し出す起点となり、多様な視点から再考された形で提示されます。異なる分野やバックグラウンドを持つ才能が集まり、各自の感性で生み出した作品が重なり合うことで、多面的でコンテンポラリーなビジュアルプロジェクトが立ち上がります。スクリーン越しに触れるヴァレンティノの世界が、従来のキャンペーンとは異なるアートピースのような存在として受け取れる構成です。

プロジェクトの第1章では、参加する9人のクリエイターのうち5人の作品が公開されます。名を連ねるのは、トーマス・アルドルフ(Thomas Albdorf)、エンター・ザ・ボイド(Enter The Void)、ポール・オクタヴィウス(Paul Octavious)、アルベルト・プラネヤ(Albert Planella)、ティナ・トナ(Tina Tona)の5名です。異なるバックグラウンドを持つ彼らが「ドゥ ヴェイン」に向ける視線は、それぞれの美意識を通してメゾンのアイコンを映し出し、デジタル上で共有される新しい物語として展開されます。どの作品からも、ヴァレンティノという名前が持つ情緒を、今の時代にふさわしい形でアップデートしようとする姿勢が感じられます。
 
残る4人のアーティストによる作品は12月初旬に発表が予定されており、そこでこのプロジェクトをかたどるデジタルコンステレーションが完成します。それぞれのクリエイターは、「ドゥ ヴェイン」バッグを自由な創造性と個性の象徴として捉え、実験精神と想像力を掛け合わせながら独自のビジュアルストーリーを構築します。ひとつのバッグを起点に、多方向へ広がっていくイメージの連なりがオンライン上に現れ、ヴァレンティノの世界が星座のように立ち上がっていくプロセスを追うことができる構成になっています。

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト トーマス・アルドルフ(Thomas Albdorf)
トーマス・アルドルフ(Thomas Albdorf)

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト トーマス・アルドルフ(Thomas Albdorf)
トーマス・アルドルフ(Thomas Albdorf)


トーマス・アルドルフ(Thomas Albdorf)は、鏡面を用いたスタジオセットを舞台に、「ドゥ ヴェイン」バッグを撮影したビデオシリーズを制作します。映り込みや反射を取り入れた構図の中で、バッグは幾重にも姿を変えながら現れ、対称性とテクスチャーのコントラストが画面に独特のリズムを生み出します。現実のフォルムと幻想的な像が交差するその世界観の中で、「ドゥ ヴェイン」は増殖し、変容する彫刻作品のような存在へと引き上げられます。バッグを単なるアイテムではなく、アートオブジェとして見たい人に、デジタル表現ならではの視覚体験を提案するアプローチです。

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト エンター・ザ・ボイド(Enter The Void)
エンター・ザ・ボイド(Enter The Void)

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト エンター・ザ・ボイド(Enter The Void)
エンター・ザ・ボイド(Enter The Void)


エンター・ザ・ボイド(Enter The Void)は、夢の中をさまよっているかのような超現実的な世界を描き出します。魚とバッグが同じ空間で息づく、水中に沈んだ砂漠のホテルという舞台が登場し、視覚や時間の感覚がほどけていくようなビジュアルを構築します。この不思議なシーンの中で、重力や上下の感覚があいまいになり、「ドゥ ヴェイン」バッグは日常のルールから解き放たれた存在として浮かび上がります。ファッションアイテムを身近なプロダクトではなく、物語の登場人物としてとらえ直すような世界観が、オンラインの画面越しにも余韻を残す表現です。

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト ポール・オクタヴィウス(Paul Octavious)
ポール・オクタヴィウス(Paul Octavious)


ポール・オクタヴィウス(Paul Octavious)は、16世紀の美術からインスピレーションを得たデジタル作品の中に「ドゥ ヴェイン」バッグを取り込み、古典的な肖像画を現代の視点で再解釈します。重厚な光と陰影を思わせる構図にバッグが置かれることで、歴史的な表現とコンテンポラリーなアクセサリーが同じフレームの中で共存するビジュアルが生まれます。彼の手にかかると、静止した肖像の世界はスクリーン上でゆるやかに動き出し、静かな一枚のイメージが没入感のある体験へと変わります。クラシックな美学が好きな人にも、デジタルアートに惹かれる人にも届く、時代を横断したアプローチです。

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト アルベルト・プラネヤ(Albert Planella) 
アルベルト・プラネヤ(Albert Planella) 

アルベルト・プラネヤ(Albert Planella) 
アルベルト・プラネヤ(Albert Planella) 


アルベルト・プラネヤ(Albert Planella)は、人工知能と映画のような映像表現を掛け合わせ、意識が覚醒と夢のあいだを漂っているような物語を描きます。彼のビジョンの中で、「ドゥ ヴェイン」バッグは形を変え続ける存在として描かれ、現実的なフォルムから抽象的なシルエットへと揺れ動きながら、見ている側の感情を静かに揺さぶります。AIによって生成されたイメージが連なり、時間の感覚が少しずつ曖昧になっていく映像は、テクノロジーを冷たさではなく詩情のある表現として捉えた試みと言えます。デジタルツールを使うからこそ描ける感覚のニュアンスに、「ドゥ ヴェイン」というバッグの新たな一面が映し出されています。

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト ティナ・トナ(Tina Tona)
ティナ・トナ(Tina Tona)

 ヴァレンティノ ガラヴァーニ 「ドゥ ヴェイン」デジタルアートプロジェクト 参加アーティスト ティナ・トナ(Tina Tona)
ティナ・トナ(Tina Tona)


ティナ・トナ(Tina Tona)は、マルチメディアコラージュとデジタルアニメーションを組み合わせ、「ドゥ ヴェイン」バッグを躍動感のある構成で描き出します。重なり合うイメージやテクスチャー、リズムを刻むような色彩が画面いっぱいに広がり、混沌と精密さが同居するビジュアルが生まれます。断片的なモチーフが連続する中でバッグが繰り返し登場し、見るたびに異なる側面が目に入るような多層的な表現になっています。音楽を聴くような感覚でビジュアルを楽しめる構成は、フィードをスクロールする手を止めて何度も見返したくなるリズム感を備えています。

このプロジェクトを通じて、メゾン ヴァレンティノは、人間の創造性とデジタル領域での実験的な試みとのあいだで続いてきた対話をさらに広げています。ファッションキャンペーンの枠組みを越え、芸術的なコラボレーションを現代性を映し出す表現として位置付け直すことで、ブランドが大切にしてきた価値観を新しいメディアに翻訳している印象です。アーティストたちの視点を通して見つめ直された「ドゥ ヴェイン」バッグは、単に持つだけではない楽しみ方を示し、オンライン上でヴァレンティノの世界観に触れるきっかけを増やしています。

エンター・ザ・ボイド、ポール・オクタヴィウス、アルベルト・プラネヤによる映像および画像は、AIを用いて生成された作品です。特にエンター・ザ・ボイドが手掛けた全ての画像については、起用されたモデルおよび関わるすべての才能に対して十分な情報を共有したうえで同意を得ており、その承諾に基づいて使用されています。テクノロジーを活用しながらも、関わる人々を尊重する姿勢を明示することで、メゾンとクリエイターたちは、これからのデジタルクリエイションのあり方についても一つの指針を提示しているように感じられます。

#ValentinoGaravani

#DeVainBag

【Editor's View】
ヴァレンティノ ガラヴァーニ「ドゥ ヴェイン」をめぐるこのデジタルプロジェクトは、バッグを購入する前後の体験そのものを豊かにする試みとしても興味深い位置付けにあります。9人のアーティストが描く世界に触れることで、「ドゥ ヴェイン」はワードローブに加える一品であると同時に、オンライン上でたどるストーリーの中心としても存在するようになります。AIや映像、アニメーションが組み合わさった表現は、若い世代のデジタルネイティブな感覚とも親和性が高く、メゾン ヴァレンティノのコードを次の世代へ受け渡す架け橋の役割も果たしているように映ります。ファッションを身につける行為に加えて、その背景にあるビジュアルナラティブを楽しむことが当たり前になりつつある今、「ドゥ ヴェイン」は物としての魅力に加え、オンラインで追いかける物語まで含めて愛でたくなる存在として記憶に残るはずです。

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