2026.09.01
カテゴリ: 新作
カルティエの新作「ミスト ドゥ カルティエ」、神秘的なフォルムに宿るジュエリーウォッチの新たな美学
腕時計を、時間を示す道具ではなく身につける彫刻として捉えたなら、その造形にはもっと自由な可能性が生まれます。カルティエの「ミスト ドゥ カルティエ」は、まさにそんな発想を形にしたジュエリーウォッチです。真珠を連ねたようなパーツ、クラスプを見せない伸縮性のあるブレスレット、ドーム型のガラス。その内側では、オニキスの枠とパヴェセッティングのダイアルが、幾何学的なインデックスと呼応します。さらにブラックラッカーのラインを重ねることで、ダイヤモンドの輝きに深いコントラストを生み出しました。1930年代から続くカルティエのジュエリーウォッチの精神を受け継ぎながら、石留めやラッカーといった高度な技術を一つの立体構造へまとめた、神秘性を帯びたタイムピースです。

神秘と戯れる
カルティエが新たに示す「ミスト ドゥ カルティエ」は、ジュエリーとウォッチメイキングを一つの造形へ融合させたクリエイションです。時計を構成するケースやダイアルだけでなく、ブレスレットのラインやモチーフの細工、素材の表情までを総合的にデザインすることで、身につける彫刻ともいうべきフォルムを形づくりました。ジュエラーとして培われた造形感覚と、ウォッチメイキングによる精密な技術。その二つを交差させることで、カルティエが創業以来育んできたジュエリーと時計の密接な関係を、現代的なジュエリーウォッチとして表現しています。
カルティエは時計製造において、既存のコードをそのまま守るのではなく、フォルムの可能性を広げる創造性を重ねてきました。その姿勢は、「カルティエ リーブル」「リフレクション ドゥ カルティエ」「トレサージュ ドゥ カルティエ」など、ジュエリーと時計の境界を自由に行き来するコレクションにも表れています。「ミスト ドゥ カルティエ」もその流れに位置する一本です。特に、時計を身につけるという機能と、ジュエリーを纏うという感覚を切り離さず、フォルムそのものを作品として成立させている点に、カルティエ独自のウォッチメイキングの考え方が凝縮されています。
「ミスト ドゥ カルティエ」の造形には、1930年代初頭からクリエイティブディレクターとして活躍したジャンヌ・トゥーサンの時代に育まれたジュエリーウォッチの精神が息づいています。ボリュームを持たせた彫刻的なフォルムと華やかさを備えながら、造形の細部には繊細さを残しました。とりわけ印象的なのは、クラスプを見せない構造と、パールを連ねたように見えるブレスレット。曲線を繰り返すパーツが手首へ連続していくことで、時計というよりもタリスマンを思わせる神秘的な存在感を生み出しています。身につけた瞬間に完成するこの立体的なデザインは、カルティエが長く追求してきたジュエリーと時計の融合を象徴するものです。
意外性に満ちたインスピレーション
独特のフォルムをさらに際立たせるのが、幾何学的なモチーフと素材のコントラストです。交互に繰り返される曲線と、ドーム型のガラスがつくる柔らかな膨らみに対して、ダイアルを囲むオニキスの枠は明確な輪郭を描きます。そこへパヴェセッティングの輝きと、トライアングルインデックスによるグラフィカルな幾何学を組み合わせ、丸みと直線を一つの視覚表現にまとめました。さらにブラックラッカーの斑点を取り入れることでシンメトリーを強調し、ダイヤモンドの光を引き締めています。柔らかな曲線、漆黒のラッカー、透明感のあるストーンという異なる要素を重ねることで、見る角度によって印象が変わる奥行きを生み出しています。
その複雑な立体感を支えるのが、カルティエのサヴォアフェールです。ブレスレットにはビーズセッティングを採用し、サイズの異なるストーンを組み合わせることで、均一な輝きではなく奥行きとボリュームを表現しています。石留めだけでも30時間を要する緻密な工程に加え、ダイヤモンドと対照をなすブラックラッカーのラインは、スイスのメゾンデメティエダールの職人が一つずつ手作業で仕上げます。ラッカーとパヴェセッティングを配した伸縮性のあるブレスレットは、複数のパーツを連結しながら滑らかに手首へ馴染む構造です。その柔軟性を実現するまでにも長期的な研究と開発が重ねられ、装飾と着用感の両方を一つの設計へ落とし込んでいます。
ジュエリー細工からラッカー技術まで
同じデザインをさらに強く光で満たしたモデルも登場します。ダイヤモンドを全面的に敷き詰めたモノクロームの表現によって、ケースとブレスレットの曲線はより鮮明になり、角度が変わるたびに異なる輝きを見せます。ストーンそのもののきらめきだけでなく、立体的なボリュームが光を反射することで、フォルムの陰影まで浮かび上がる構成です。装飾を加えるほど形が埋もれるのではなく、むしろ曲線の輪郭が際立つよう設計されているため、華やかさと繊細さが同時に感じられます。お守りを思わせる「ミスト ドゥ カルティエ」の神秘的な性格を、光の量そのものでさらに強調したクリエイションです。
至高の輝き
「ミスト ドゥ カルティエ」は、ジュエリーとしての存在感と、日々身につけるウォッチとしての身体性を結びつけています。伸縮性を備えたインターチェンジャブルのブレスレットは、複雑な装飾を施しながらも手首に滑るように馴染み、独創的なフォルムを実用的な装着感へつなげます。時計の造形だけを見れば大胆なボリュームを持つ一方、曲線を連ねた構造によって身体との距離を柔らかく保つのが特徴です。ジュエリー、機械、素材、職人技という異なる領域を一つの作品へ統合することで、「ミスト ドゥ カルティエ」はカルティエが長く育ててきたジュエリーウォッチの美学を、彫刻的かつ現代的な姿へと導いています。
イエローゴールド
クォーツムーブメント
サイズ:19.7 x 15.4mm、厚さ:9.9mm
日常生活防水
ケースとブレスレットにブリリアントカットダイヤモンド634個(6.13cts)とブラックラッカーダイアルにスノーセッティングのブリリアントカットパヴェダイヤモンド47個(0.35ct)とオニキスのライン
\26,268,000(参考価格)
※9月1日発売予定
ホワイトゴールド
クォーツムーブメント
サイズ:19.7 x 15.4mm、厚さ:9.9mm
日常生活防水
ケースとブレスレットにブリリアントカットダイヤモンド986個(9.17cts)
ダイアルにスノーセッティングのブリリアントカットパヴェダイヤモンド45個C0.37ct)
\31,416,000(参考価格)
9月1日発売予定
お問い合わせ先:カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-1847-00
https://www.cartier.com/ja-jp
【Editor's View】
「ミスト ドゥ カルティエ」を見ていると、カルティエが考えるジュエリーウォッチは、時計へ宝石を足したものではないことが分かります。むしろケース、ブレスレット、ダイアル、素材、石留めの技術を最初から一つの立体作品として設計することで、時計そのものをジュエリーへ変換している。今回のモデルでは、パールのように連なる曲線パーツがその考え方を象徴しています。伸縮するブレスレットは装着性のための機構でありながら、その構造自体が最も強いデザイン要素にもなっています。そこへオニキス、ダイヤモンド、ブラックラッカーを重ねることで、柔らかな曲線とシャープな幾何学、光と影が同居する複雑な表情が生まれました。ジャンヌ・トゥーサンの時代から続くジュエリーウォッチの系譜を考えると、この新作は過去の様式を復刻するのではなく、カルティエが得意としてきた「フォルムをつくる」という発想を、現代のジュエリーウォッチへもう一度引き寄せたものといえます。
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