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ブレゲ「マリーン 5517」と「マリーン 5527」、航海の意匠を現代へつなぐ新たな表情

精密時計の歴史をひもとけば、ブレゲと海との関係はデザインの着想源という言葉だけでは語りきれません。航海のための計器として培われた精度と信頼性は、現在の「マリーン」にも受け継がれています。今回の「マリーン 5517」と「マリーン クロノグラフ 5527」では、波や舵、海上信号旗といったモチーフが、針やリューズガード、ムーブメントのローターへ巧みに姿を変えました。さらに手彫りギヨシェを施したゴールド製ダイヤルが、機能性を備えたケースに奥行きのある表情を添えています。歴史と職人技、現代的なスポーティネスが重なった、ブレゲらしいマリンウォッチです。

【Youtube:ブレゲの投稿が表示されます】


「マリーン」コレクションの起源

ブレゲの「マリーン」を語るとき、まず触れておきたいのが、航海用精密時計に注いだアブラアン-ルイ・ブレゲの探究です。18世紀末、彼は当時の航海に不可欠だった精度、信頼性、視認性を備えたマリーン・クロノメーターを手がけました。その歩みは1814年の経度局への加入へとつながり、翌1815年にはルイ18世からフランス王立海軍の時計師に任命されます。科学的な精密機器としての時計を追求した姿勢が、ブレゲの海洋時計に対する評価を確かなものにした歴史的な転機でした。

ブレゲ 船上でのクロノメーターの設置を描いた、A.-L.ブレゲによるスケッチ
船上でのクロノメーターの設置を描いた、A.-L.ブレゲによるスケッチ


その信頼性は、実際の航海の現場でも示されています。たとえばNo.3502はルイ・ル・ゴアラン・ド・トロムランによる太平洋探検に携えられ、No.3588は1824年から1826年にかけて世界一周を果たしたアシアント・ド・ブーゲンヴィルの航海に同行しました。さらに1840年には、ブレゲの計器がジュール・デュモン・デュルヴィルの南極探検に携わっています。こうした実績を積み重ねてきたことで、ブレゲの海洋時計は、航海の精度を支えるための実用的な計器として歴史に刻まれていきました。

ブレゲ マリーン・クロノメーター No.3196 (1822年納品)
マリーン・クロノメーター No.3196 (1822年納品)


現在の「マリーン」は、こうした海との結びつきを現代の腕時計へ落とし込むコレクションです。航海に求められた性能や堅牢性を背景にしながら、ケースや文字盤、細部の意匠には海を想起させるデザインコードが取り入れられています。実用性だけを前面に出すのではなく、美しさとの調和を図ることで、ブレゲが長く培ってきた航海時計の精神を、現代のライフスタイルに寄り添うかたちへと置き換えている点が特徴です。

マリーン 5517

ブレゲ マリーン 5517
マリーン 5517


その中で「マリーン 5517」が見せるのは、機能を絞り込むことで際立つ端正な表情です。3針による時刻表示を軸にした構成に、新たなモデルでは日付表示を6時位置へ移動。文字盤の中心を基準に各表示が整然と配置されることで、左右だけでなく上下のバランスにも目が行き届いた、よりシンメトリックなレイアウトに仕上げられています。必要な情報を明快に読み取れる構成だからこそ、ケースや針、文字盤の仕上げそのものにも視線が集まります。

目を引くのは、文字盤を覆う装飾ではなく、表面そのものに刻まれた手彫りギヨシェです。採用された「ケ・ド・ロルロージュ」モチーフは、メゾン創業250周年を機に登場したもの。アブラアン-ルイ・ブレゲが工房を構え、マリン・クロノメーターを含む時計を製作していたシテ島の象徴的な場所に由来します。シテ島とサン=ルイ島の輪郭をもとにしながら、波の動きも思わせる線が文字盤に細やかなリズムを生み出します。ゴールドの地板へ職人が手作業でギヨシェを施した後、さらに加工を加えることで、光の当たり方に応じて異なる表情を見せる仕上がりです。

そこへラッカーを重ねることで、彫り込まれたパターンに色の深みと立体感が加わります。今回の展開では、ホワイトゴールドモデルにアイスブルー、ローズゴールドモデルにブラック、チタンモデルには繊細なブルーを採用。それぞれ異なる色調がケース素材と呼応し、同じ意匠でありながら個性の異なる文字盤を形づくっています。12時位置にはゴールド製のアプライドのブレゲロゴを配置し、精緻なギヨシェの上にメゾンの象徴を端正に浮かび上がらせています。

海とのつながりは、象徴的なディテールにも宿ります。「マリーン 5517」には、ブレゲ数字とメゾンを象徴する「アップル」型のブレゲ針を採用。クラシカルな意匠を備えながら、その先端に視線を向けると海上で用いられる国際信号旗「ブラボー(Bravo)」に由来する「B」の形が現れます。さらに、リューズガードには波の動きを思わせるフォルムを取り入れ、航海というコレクションの背景を細部から伝えています。

ブレゲ マリーン 5517
マリーン 5517


文字盤だけでなく、時計を裏返したときにも海の物語が続きます。サファイアクリスタルのケースバックから見えるのは、船の舵を思わせるゴールド製ローター。複数の仕上げ技法を組み合わせて丹念に仕上げられたローターが、ムーブメントの内部にまで航海のイメージを広げています。装着時のスタイルにも統一感を持たせるため、各モデルには「ケ・ド・ロルロージュ」のギヨシェを想起させるパターンを施したラバーストラップと、メタルブレスレットを用意しています。

マリーン クロノグラフ 5527

ブレゲ マリーン クロノグラフ 5527
マリーン クロノグラフ 5527


「マリーン クロノグラフ 5527」では、より躍動的なキャラクターをフライバック・クロノグラフによって表現しています。クロノグラフで計測する経過秒は大型のセンター針が担い、3時位置と9時位置に配されたカウンターが、それぞれクロノグラフの分とスモールセコンドを表示。複数の情報をダイヤル上に配置しながらも、表示の役割を明確にすることで読み取りやすさを保っています。3針モデルとは異なるスポーティな表情を備えつつ、文字盤全体には端正なまとまりが感じられます。

「マリーン 5517」と共通するのが、ゴールド製ダイヤルを舞台にした手彫りギヨシェです。繊細な「ケ・ド・ロルロージュ」モチーフを刻んだ表面には、モデルによってブルーやグレーの色調を組み合わせ、ゴールドの質感とのコントラストを際立たせています。新しい「マリーン クロノグラフ 5527」では、日付表示を6時位置へ移したことで、クロノグラフのカウンターを含むダイヤル全体の配置にも整ったリズムが生まれました。12時位置にはアプライドのゴールド製ブレゲロゴを配し、実用機能の中へメゾンの個性を端正に組み込んでいます。

ブレゲ マリーン クロノグラフ 5527
マリーン クロノグラフ 5527


航海を思わせる意匠は、二つのモデルをつなぐ共通言語として機能しています。「マリーン 5517」の秒針と「マリーン クロノグラフ 5527」の大型センター・クロノグラフ針には、ともに海上信号旗「ブラボー(Bravo)」の「B」を取り入れました。リューズガードは波を、ケースバックから姿を見せるゴールド製ローターは船の舵をイメージしたものです。さらにストラップには、ダイヤルに刻まれた「ケ・ド・ロルロージュ」モチーフを呼応させたラバーストラップを用意し、メタルブレスレットも選択肢に加えています。表側から内部機構、そして装着時のディテールまで、海とのつながりが一貫して感じられる仕上がりです。


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ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211
ブレゲ ブティック伊勢丹新宿店 03-3352-1111 大代表
ブレゲ ブティック日本橋三越本店 03-6665-0143
ブレゲ ブティック阪急うめだ本店 06-6313-7863

https://www.breguet.com/jp



【Editor's View】
今回の「マリーン」で魅力的なのは、海を連想させる装飾を表面的に加えるのではなく、時計の構造そのものへ航海のイメージを組み込んでいる点です。とりわけ「ブラボー(Bravo)」の「B」を針の先端へ取り入れる手法は、ブレゲという名前を象徴する造形と海洋文化をひとつのディテールに重ねたもの。さらに波を表すリューズガード、舵を思わせるローター、地図や水の流れを想起させる「ケ・ド・ロルロージュ」のギヨシェが、それぞれ異なる場所で同じ物語をつないでいます。「マリーン 5517」の静かな端正さと「マリーン クロノグラフ 5527」の動きを感じさせる構成は性格こそ異なりますが、どちらもブレゲの海洋時計の歴史を現代的な造形へ置き換えるという軸は共通しています。クラシカルな意匠とスポーティな実用性を対立させず、ケースから文字盤、ムーブメントまで一貫したデザインとしてまとめているところに、このコレクションならではの完成度があります。

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