2026.07.08
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ティファニーが守り抜いた時計製造の至宝、歴史的「アストロノミカル クロック」がアメリカ独立宣言署名250周年を祝し公開
19世紀末、シカゴで開催されたコロンブス記念万国博覧会のために誕生し、その後長い眠りについていた伝説のタイムピースが、時を超えて再び輝きを放ちます。アメリカ独立宣言署名から250周年という歴史的な節目を迎え、ティファニーが満を持して公開するのは、天文学的現象を精緻に追跡する21もの複雑機構を搭載した「アストロノミカル クロック」です。この時計の心臓部には、アメリカの国家としての歩みを刻む唯一無二の機構が組み込まれており、まさに国の歴史を象徴する文化遺産と言えます。2025年にティファニーが再びこの傑作を取得し、ジュネーブの工房で約7か月をかけた修復を経て、ニューヨークのフラッグシップ ストア「ザ ランドマーク」にて一般公開が始まりました。

ティファニーは、アメリカ合衆国の独立宣言署名から250周年という偉大な記念年を祝し、1893年のシカゴ・コロンブス記念万国博覧会のために製作された歴史的価値の高い「アストロノミカル クロック」の全貌を明らかにしました。本機には天文学的な現象を捉える21もの複雑機構が統合されており、現代の時計製作においても類を見ない高度な技術が凝縮されています。中でも特筆すべきは、合衆国の独立以来の経過年数を表示する独創的な機能であり、2026年の節目に合わせて「250th」という特別な表示を実現しています。
本作は2025年にティファニーが取得した後、スイス・ジュネーブの自社時計製作工房において約7か月におよぶ徹底的な修復が行われました。歴史的な風合いを損なうことなく、機械式時計としての精緻な動作を現代に蘇らせるため、外観の仕上げと内部機構の両面で緻密な作業が積み重ねられています。2026年7月3日のお披露目以降、この傑作はニューヨーク5番街727番地に位置するフラッグシップ ストア「ザ ランドマーク」において一般公開され、時代を超えてその技巧を披露しています。
ルイ15世様式を纏ったケースは高さ約2.5メートルに及び、随所に優美なフローラルモチーフの彫刻と精巧なマルケトリー(象嵌細工)が施されています。正面に配された13枚の銀製文字盤は、カリフォルニア産のマザー オブ パールを嵌め込んだフレームに収められ、格調高い雰囲気を演出。かつてニューヨークのユニオン スクエアにあった店舗の4階工房にて、マスタークロックメーカーであったジョセフ・リンダウアーの指揮下、完成まで2年以上の歳月を費やして製作された、まさにブランドの技術と情熱を象徴する作品です。
ティファニーの時計製造の原点は、1847年にクロックおよびウォッチの販売を開始した時代にまで遡ります。1868年にはジュネーブへ進出し、組立工房を設立。その後1874年には中心部にマニュファクチュールを設立するなど、大西洋を挟んだ両岸で革新的な機構の開発に力を注いできました。こうした歴史的歩みは、同社のデザインとクラフトマンシップ、そして技術的挑戦への絶え間ない探求心を裏付けるものであり、現在へ続くレガシーの礎となっています。
今回の修復と公開は、ブランドが単なるジュエラーを超え、時計製造における重要なプレイヤーであったことを知らしめる機会でもあります。歴史的な文化遺産を自ら保護し、本来の輝きを取り戻させることは、過去を讃えるとともに、その情熱を未来へと繋ぐティファニーの使命です。コレクターや歴史家にとっても貴重なこの作品は、かつての職人たちが抱いた理想の結晶として、いま再び見る者を圧倒しています。天体の複雑な運行をひとつのタイムピースで再現する本作は、他の追随を許さない特別な存在です。365日の暦表示から、日常の24時間表示、さらには天文学的な現象を直接的に追跡する特殊な機構までが有機的に統合されており、多様な時間の概念をひとつの時計に融合させるという、当時としては極めて挑戦的な試みが行われています。
テクニカル インフォメーション
正面に配された13枚の文字盤には、それぞれ異なる天文学的・時間的情報が表示されています。上部には空の背景とともに太陽と月の見かけ上の位置が示され、その下には潮の満ち引きを示す海面が表現されました。右側の文字盤は永久カレンダーとして黄道十二宮、月、日付、曜日、うるう年、西暦を網羅。左側の文字盤は24分割されたディスクによって、グリニッジ基準の経度表示や世界の主要31都市の昼夜判別を可能にするなど、当時の科学技術の粋が凝縮されています。
複雑機構
ウェストミンスター カリヨン
時計正面からは見えない機構で、時刻と15分ごとの経過をチャイムで知らせます。
標準時表示
永久カレンダー
曜日、日付、月の長短、年、うるう年を表示し、黄道十二宮も示します。
時・分表示
現地時間、グリニッジ標準時、ワシントンD.C.時間を表示します。
ワールドタイム
世界31都市の現地時間を同時に表示します。
太陽・月表示
・太陽の見かけ上の位置
・日の出時刻
・日の入り時刻
・月の見かけ上の位置
・月相
・潮汐(海の上に位置する水平線によって表現)
歴史表示
アメリカ独立
1776年からの経過年数を表示します。
ユリウス周期
1583年に導入された、長期的な天体周期の計算を簡易化するための連続した年数表示を行う、希少な天文表示です。
天文表示
均時差
24時間制の日常時間と、実際の太陽時との差を示します。
太陽周期
曜日の配列を決定するために用いられる28年周期の中で、その年がどの位置にあるかを示します
太陽の赤緯
太陽光線と地球の赤道面との角度を示します。地球の地軸の傾きにより一年を通じて変化し、夏至に最大、冬至に最小となります。
月の赤緯
天の赤道に対する月の位置を示します。月の傾いた軌道によって変化し、空における月の高さに影響します。
黄金数
19年のメトン周期において、新月の日付を示すために暦で用いられる数字の列です。
エパクト
1月1日時点における教会暦上の月齢を示し、主に復活祭の日付を決定するために用いられます。太陽年と太陰年の長さの違いにより、エパクトは年ごとに変化します。
主日文字
特定の日付の曜日を決定し、任意の年の教会暦を作成する際に間接的に用いられる希少な複雑機構です。
最後の3つの複雑機構は、単独でも極めて希少であり、組み合わせることでさらに唯一無二の機能を発揮します。太陽周期、主日文字、そして黄金数から導き出されるエパクトを用いることで、春分後の教会暦上の満月を算出し、その満月の後に訪れる最初の日曜日を復活祭として定めます。
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
www.tiffany.co.jp
【Editor's View】
19世紀末、万博の舞台で世界中の人々を驚愕させたであろうこの「アストロノミカル クロック」を、現代のフラッグシップに展示するという決断は、ティファニーがいかに自らの歴史を重んじているかを物語っています。単なる展示品としてではなく、完全に修復され、今も正確に時を刻む「動く文化遺産」として蘇らせた点は、非常に価値が高いと言えるでしょう。当時の職人たちが「時間」を単なる数字としてではなく、地球の自転や天体の運行といった宇宙的なスケールで捉えようとした知的好奇心が、この時計には溢れています。ジョセフ・リンダウアーという天才的なマスタークロックメーカーの存在と、1874年にジュネーブにマニュファクチュールを構えていたという事実は、ティファニーがかつていかに時計製造に対して本気であったかを改めて認識させてくれます。「ザ ランドマーク」という現代の象徴的な場所で、この130年前の傑作が再び時を刻む様子は、まさにブランドの過去と未来を繋ぐ架け橋です。
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