2026.02.03
カテゴリ: コレクション
ディオール 2026年春夏オートクチュール、ガリアーノへのオマージュとマグダレン・オドゥンドに呼応する新たなフォルム
シーズンごとに更新されるランウェイの光景は、今のムードを映し出す鏡でありながら、時に過去と未来をつなぐ静かなアーカイブのようにも感じられます。ディオールの2026年春夏オートクチュール コレクションは、まさにそんな「時間の層」を見せる試みです。ジョナサン・アンダーソンが提示するのは、自然のモチーフや芸術作品が密やかに息づく「驚異の部屋」を思わせる世界観。そこに、メゾンの歴史に刻まれたクリエイターたちの記憶が重なり合い、新しいフォルムの言語として再構築されていきます。クラフツマンシップと詩情が交差するこのコレクションは、服という枠を超えて、装う人の美意識そのものに静かな問いを投げかける存在になりそうです。

ジョナサン・アンダーソンによる2026年春夏オートクチュール コレクションは、「ヴンダーカンマー(驚異の部屋)」というコンセプトを軸に構築されています。かつて希少な標本や工芸品が集められた部屋のように、このコレクションの世界では、ひとりの持ち主の個人的なよろこびのために、美術館に並ぶような作品と自然の驚異が並置されます。オートクチュールを身にまとう体験そのものを、秘めやかなコレクションルームを訪れる行為になぞらえるような発想が、全体の物語を導いています。
ここでは、自然と技巧が出会い、時間を重ねたものが新しい表現を迎え入れる関係性が描かれます。ジョン・ガリアーノがかつてディオールのクリエイティブ ディレクターを務めていた時代から続く絆として、アンダーソンに贈られた摘みたてのシクラメンの花束が登場し、それがクリエイションの継続性を象徴する詩的なバトンとなります。この花束は、陶芸家マグダレン・オドゥンドの擬人的な作品と呼応する存在としても捉えられ、人と自然、オブジェと身体の境界を問い直します。ラインは構造的なフォルムに沿いながらしなやかに流れ、時に身体をやわらかく包み込み、曲線を際立たせることで動きを強調します。こうして生まれる新しいフォルムの文法は、ディオールの基盤と深く共鳴しつつ、その語彙を豊かに拡張していく試みとして映ります。
ジョナサン・アンダーソンによる2026年春夏オートクチュール コレクションは、パリにて1月26日に発表されました。コレクションの舞台となったロダン美術館では、1月27日(火)から2月1日(日)までの期間、「Grammar of Forms(フォルムの文法)」展を開催しました。この特別展では、アンダーソンがディオールで初めて手掛けたオートクチュール コレクションが展示され、ランウェイでの一瞬の体験をあらためて鑑賞できる場が用意されました。服をアートピースのように向き合うことで、素材の選び方やフォルムの構築、動きの軌跡といったディテールに目を向ける時間が生まれ、メゾンの新たな章の幕開けをじっくりと味わえる機会になりました。

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【お問合せ先】
クリスチャン ディオール
TEL:0120-02-1947
https://x.gd/DYzir
【Editor's View】
ジョナサン・アンダーソンによるディオールの2026年春夏オートクチュールは、歴代クリエイターの記憶と現代的な感覚が、静かに交差する場を提示しているように感じられます。ヴンダーカンマーというモチーフは、服そのものだけでなく、装う人が大切に集めてきた感情や記憶までも収納する場所としてのクチュールを想像させます。ガリアーノから贈られたシクラメンやマグダレン・オドゥンドの作品に託されたイメージは、過去のアーカイブを引用するだけにとどまらず、身体の動きや曲線を通して現在のフォルムへと変換されていきます。パリのロダン美術館で開催される「Grammar of Forms」展は、そうしたプロセスをじっくりと追体験できる場として、コレクションをより立体的に味わうきっかけになるはずです。オートクチュールを遠い世界のものとしてではなく、感性の延長として捉え直す視点を提案している点に、このシーズンの面白さがあります。
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