2026.01.21
カテゴリ: コレクション
エトロ 2026/27秋冬メンズコレクション、クラシシズムと遊び心で描くアニマルスピリット
エトロのメンズコレクションは、時代の流れに寄り添いながらも、いつもどこか物語の余白を残してくれます。2026/27秋冬シーズンのテーマに浮かび上がるのは、人間の顔や仕草の奥にひそむ動物的な気配。そのイメージを引き出すように、ペイズリーやベルベット、羽毛のような装いがレイヤーを重ね、ムーグ・シンセサイザーが響く会場で〈アニメン〉が躍動します。クラシカルなムードと遊び心を同時に楽しみたい人にとって、このコレクションはワードローブに新しい視点をもたらすガイドのような存在になりそうです。

時代や世紀をまたぎ発展してきた人類ですが、その奥深くに宿る本質的な精神には、いまもどこか動物的な衝動が顔をのぞかせています。表情やしぐさ、佇まい、そして性格や個性までもが、見る側の心に多様な動物のイメージを呼び起こすという発想は、エトロにとって長く大切にされてきた人間観です。この視点は、1997年に発表された印象的なフォトグラフィックキャンペーン以来、メゾンを象徴するイコノグラフィーの一部として受け継がれ、ブランドコードの核となる要素へと育まれてきました。
マルコ・デ・ヴィンチェンツォは、そうしたエトロ独自の視座を改めて掘り起こし、2026/27秋冬メンズコレクションでアップデートして提示します。クラシシズムが持つ端正さと、思わず心がほぐれる遊び心、本能に近い感覚と冷静な理性という相反するように見える要素の間を軽やかに行き来する男性像を描き出し、そこにエトロのメゾンが変わらず保ち続ける軸と、常に新たな組み合わせを探し続けるクリエイティブの姿勢が立ち上がっています。そのバランス感覚が、日常のスタイルにも取り入れやすい、現代的なエレガンスとして響いてきます。
ムーグ・シンセサイザーの先駆者として知られるウェンディ・カーロスの音楽が空間を満たし、好奇心をかき立てるヴンダーカンマー(驚異の部屋)のような会場で、2026年秋冬コレクションを体現する〈アニメン〉たちが姿を現します。この演出によって、エトロ特有のファンタジックなムードと知的な実験精神が視覚と聴覚の両面から呼び起こされ、メゾンが長年築いてきた世界観が今季ならではの形で再解釈されています。音楽と空間、衣服が一体となることで、ルック一体一体が小さな物語の断片のように感じられる構成になっています。


ベルベットに描き出されたペイズリーモチーフ、シーンを選ばず軽やかに羽織ることができるローブやパジャマ、縁にフェザーをあしらった端正なスーツなど、テクスチャーの豊かさが今季のエトロを象徴しています。ダークブラウンやフォレストグリーン、オーガニックなニュートラルカラーに、くすみを帯びた赤を差し込んだカラーパレットは、落ち着きの中に奥行きのある表情を生み出します。動物の顔は、目の詰まった包み込むようなニットにピクセルジャカードとして登場したり、流れるようなシルクシャツに配されたペイズリーの雫の中にひそんでいたりと、さりげない仕掛けとして潜ませられています。見るたびに新しい発見が生まれるようなディテールは、服との距離を親密なものへと近づけてくれます。
ペイズリーはニットやシャツの域を超え、トラウザーズやスカーフ、ローブコートへとダイナミックに広がっていきます。ウエストにゆるく結ばれたセーターがレイヤードのリズムをつくり、ソフトで容量のあるバッグや、深くかぶるキャップがスタイル全体のムードを整えています。こうした小物づかいによって、エトロらしい柄の存在感を保ちながらも、肩の力を抜いたリラックスした空気が生まれ、日常の中でも自然体で楽しめるメンズスタイルが提案されています。柄を主役にしつつも装い全体を調和させるバランスは、参考にしたくなるポイントです。


このコレクションで描かれるのは、衣服をリヴァリー(制服)や羽毛のようなものとしてとらえる発想です。ただし〈アニメン〉にとってその装いは、他の動物が生まれながらにして与えられる体毛とは異なり、自ら選び取り、自由に変化させることのできる表現手段として位置づけられています。豊かな動きを生むシルエットや素材感は、視覚だけでなく触覚にも訴えかけながら、見る人やまとう人を終わりのない旅へ誘います。シーンや気分によってスタイルを自在に変えたいとき、このコレクションの服は、自身の内面に潜むアニマルスピリットをささやかに外側へ映し出す手段になってくれそうです。
#EtroFW26
【Editor's View】
エトロの2026/27秋冬メンズコレクションは、人間の顔つきや仕草の中に見え隠れする動物的な気配を改めてすくい上げ、〈アニメン〉という存在に託して現代のワードローブへと翻訳した提案といえます。ヴンダーカンマーのような空間演出や、ムーグ・シンセサイザーの音楽、ペイズリーと動物の顔を重ねたテキスタイルワークによって、服は機能だけでなく心象風景をまとう器として立ち上がっています。ローブやパジャマ風のアイテムにフェザー付きのスーツ、ソフトなバッグやキャップを合わせるスタイリングは、きちんとした場にも日常のシーンにも寄り添いながら、自分の中の理性と本能のバランスを遊ぶような楽しみ方を提案しています。エトロというメゾンが持つアートとクラフトの感覚を、今の気分で味わいたい人にふさわしいコレクションです。
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