2025.12.25
カテゴリ: Topics
ルイ・ヴィトン 第2回ウォッチ プライズ、独立系クリエイターと審査員が集う2026年パリ授賞式と注目作を紹介
トレンドとしての時計ではなく、自分の時間そのものをどう表現するかという視点で選ぶ人が増えています。そんななかで、ルイ・ヴィトンが開催する「ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズ」は、独立系ウォッチメーカーの感性と技術に光を当てる存在として注目を集めています。ムーブメントの構造やコンプリケーションの複雑さはもちろん、そこに宿るストーリーや詩的なムードまで含めて、自分らしい一本を探したくなるラインナップです。2026年3月、パリでの授賞式に向けて発表されたファイナリストたちの作品は、ファッションとしての時計選びに新しい視点を添えてくれます。

2026年3月24日(火)に開催される第2回「ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズ」の授賞式に向けて、同プライズのファイナリストと最終審査員が公式に発表されます。この発表は、独立系ウォッチメーカーの創造性をたたえる国際的な舞台が、いよいよ最終章へ向かう節目となるタイミングです。

ルイ・ヴィトンは、第2回「ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズ」において、ファイナリスト5名と最終審査員5名を選出し、その顔ぶれを明らかにしました。メゾンのウォッチ部門ディレクター ジャン・アルノーは、このプライズの創設以来、独立系ウォッチメーカーが見せるエネルギーや革新性に対する敬意が一段と高まっていると語ります。卓越した技術と、既存の常識に挑み続ける大胆な発想を両立させるアルチザンたちが、真に独創的なウォッチを生み出し、その存在が時計表現の可能性を押し広げているという認識です。また、今年のファイナリストを称えるにあたり、この取り組みを支える時計業界全体からの厚いサポート、そして世界中から集結した専門家委員会のメンバーの尽力に対して、深い感謝のコメントを寄せています。未来への期待が一層ふくらむなか、プライズの行方に注目が集まります。
2025-2026年度の「ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ」には、世界各地から多くの応募が寄せられました。その中からまず20名のセミファイナリストが選ばれ、時計愛好家や業界関係者、コレクターなど、国際的な視点を持つ65名の専門家委員会によって審査が行われました。候補となる作品は、デザイン、クリエイティビティ、イノベーション、クラフツマンシップ、そして技術的な複雑性という5つの基準に基づき、多角的に評価されています。審査のプロセスそのものが、コンテンポラリーな時計づくりに求められる価値観を可視化している点もこのプライズの特徴です。
最優秀賞の受賞者は、授賞式当日の夜に開催される特別で格式高い祝賀セレモニーの席上で発表されます。受賞者には150,000ユーロの助成金が授与されるほか、メゾンのウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」とルイ・ヴィトンの専門家チームによる1年間のメンターシップが提供されます。このメンターシップは、受賞者それぞれの創作プロジェクトが持つビジョンや課題に合わせて組まれるもので、独立したクリエイターが次のステージへ進むための心強い後押しとなるプログラムです。
2025-2026年度の「ルイ·ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズ」のファイナリスト5名は、以下の通りです(アルファベット順)。
Finalist 2025-2026
Daizoh Makihara Watchcraft Japan
Daizoh Makihara Watchcraft Japan – 牧原大造 – 「Beauty Of Nature」
2017年創業の独立系ウォッチメーカー
「Beauty Of Nature」は、自動で開閉する花弁のメカニズムを備え、2つの時間表示が連動して動作するユニークな腕時計です。10時位置に配された24時間表示と、2時位置の12時間表示はそれぞれ独自の周期で回転し、設定された間隔に合わせて花弁が閉じる構造になっています。手巻きムーブメントDM 02には、122年間で1日の誤差という高い精度を備えたパーペチュアル・ムーンフェイズ機構が組み込まれ、機能面でも高度なこだわりが息づいています。文字盤は、日本の伝統的なカットガラス技法「江戸切子」を腕時計として世界で初めて採用し、「メジロと桜」の情景を繊細に表現。ケース両面には手彫りによる麻の葉模様が刻まれています。ホワイトゴールド製ケースは直径42 mm、25石のムーブメントは毎時18,000振動で駆動し、装飾性と技術性が調和した一本として仕上げられています。
「ウォッチメイキングを学ぶ学生として、私は自分のビジョンを反映したウォッチを創りたい、そして日本と伝統工芸の架け橋になりたいと気付いたのです」。

Finalist 2025-2026
ファム·アル·ハット
ファム·アル·ハット – シンヤン·ダイ– 「Möbius」
2024年創業の独立系ウォッチメーカー
「Möbius」は、これまでに考案された中でも屈指のコンパクトさを誇る二軸トゥールビヨンを搭載した機械式手巻きウォッチです。名の通り、その構造の核となる無限のループを思わせる発想から名付けられ、逆説的な面白さと詩的なムードが共存しています。片側にはメビウス形状のトゥールビヨンケージが二軸で回転し、反対側には伝統的な文字盤の代わりに、ダブルレトログラード表示とジャンピングアワー機構を組み合わせた独創的な時間表示を採用しています。この組み合わせは機械式時計として初めての試みです。42.2 mm × 24.3 mmという控えめなサイズでありながら、ラグを排したシルエットは仕上げに200時間を超える手作業を要し、凝縮された存在感を放ちます。
「何年にもわたってヨーロッパで学び、働き、ウォッチメイキングにおける数々の奇跡を目の当たりにしたのち、私は自らの手で何かを創造したいという使命を感じました。ファム·アル·ハットは、伝統と未来の架け橋になります」。
Finalist 2025-2026
ハゼマン&モナン
ハゼマン&モナン - ヴィクトル·モナン&アレクサンドル·ハゼマン - 「School Watch」
2024年創業の独立ウォッチメーカー
2人のウォッチメーカーが出会ったモルトーの時計製造学校へのオマージュとして生まれたこのモデルは、「Hazemann & Monnin School Watch」を現代的な視点で再解釈した一本です。39.5 mmケースの内部には、既存の構造に頼らず、アイデアから製造、仕上げに至るまで自社で開発したHM01キャリバーを搭載しています。キャリバーの特徴となるのは、完璧に同期する2つの希少な複雑機構で、毎正時に時を告げるパッシングストライクと、瞬時に切り替わるジャンピングアワー表示が一体となることで、精緻でありながら舞うように詩的な動きを繰り広げます。時を刻むメカニズムそのものが、一つの小さなシアターのような表現となっています。
「ハゼマン&モナンは、真の複雑機構を備えたウォッチを創造したいという願いによって結ばれた、長年にわたる友情と高級時計製造への共通の情熱から生まれました」。
Finalist 2025-2026
レデラー
レデラー – ベルナルド·レデラー – 「CIC 39 mm Racing Green」
1985年創業の独立ウォッチメーカー
レデラーの「CIC 39 mm Racing Green」は、腕時計として初めてフル機能のデュアル・デテント脱進機を備えたモデルです。ツイン脱進機を搭載したムーブメントにデュアル・ルモントワール デガリテを組み合わせることで、常に一定のエネルギー伝達を追求しています。透明なケースバックからは、212個の部品で構成されたムーブメントが見え、二重の歯車列とコンスタントフォース機構の動きが明快に示されます。一方で、サンドブラスト加工によるマットなダイアルは、特許取得済みの脱進機構や逆進秒針付きの層状サブダイアルを際立たせ、足し算と引き算のバランスが心地よい表情をつくります。直径39 mmのケースは厚さ10.75 mmで、COSC認定ムーブメントはその98%を自社製造とするこだわりが貫かれています。
「レデラーは、機械式時計機構を理解し完成させるための、静謐かつ飽くなき追求から生まれ、ウォッチメイキングの真髄に宿る技の美しさを伝えます」。
Finalist 2025-2026
クワイエットクラブ
クワイエットクラブ– 関 法史 - 「Fading Hours」
2024年創業の独立系ウォッチメーカー
東京で構想され、手作業で組み上げられた腕時計「Fading Hours」は、ほぼすべてのパーツを自社で製作した機械式ムーブメントを採用し、ダイアルそのものを叩くことで音を奏でる垂直ハンマー付きアラームを備えています。この種のアラームとしては初の構造で、オブジェのような発想と実用的な機能が共存しています。アラームの操作は、すべての機能を制御するモノプッシャーで行い、アラーム時刻の設定は回転ベゼルで調整する仕様です。アラーム機能を使わない時には、アラーム専用の時針と分針が、現在時刻を示す針の裏側にそっと隠れる仕掛けになっています。直径40 mmのチタンケースはラグ幅44 mm、厚さはわずか12 mmで、手巻きムーブメントは50時間のパワーリザーブを備え、日常使いにも寄り添うスペックです。
「ウォッチメイキングの伝統は、優れたクラフツマンシップのみならず、発明の精神、すなわち、日常のニーズに応える新しい機構を生み出すことにもあると信じています」。
2026年3月24日(火)、パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンにおいて、5名のファイナリストが自らのタイムピース・プロジェクトを、5名で構成される審査員団の前でプレゼンテーションします。それぞれのクリエイターが作品に込めた技術的挑戦と物語を直接語る場となり、ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ第2回の最優秀賞が、この一夜を通じて選ばれていきます。

審査員団について
2025-2026年度の「ルイ·ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズ」の5名の審査員は、専門家委員会の業界関係者によって選任されました。審査員は以下の通り(アルファベット順):
審査委員長:キャロル·フォレスティエ-カザピ 「タグ·ホイヤー」のオート オルロジュリーおよびムーブメント戦略ディレクター
ジャーナリスト:フランク·ヘーレン 「Monochrome Watches」の創設者兼編集長
マチュー·エジ:「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」のアーティスティック·ディレクター
ウォッチ愛好家 フランソワ-ザビエル·オヴァーステイク:「Equation du Temps」の創設者兼編集者
カリ·ヴティライネン:マスター·ウォッチメーカー、アトリエ「ヴティライネン」のオーナー
All photos courtesy of LOUIS VUITTON
詳細は、ルイ·ヴィトン ウォッチ プライズ 公式サイトlouisvuittonwatchprize.comをご覧ください。
【Editor's View】
ルイ・ヴィトンが主宰する「ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ フォー インディペンデント クリエイティブズ」は、受賞者への助成金という枠を超え、独立系時計師の視点や物語をメゾンの世界観とつなげるプラットフォームとして機能しているように感じられます。背景にある「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」は、スイス・メイランに構える先進的なウォッチメイキングアトリエで、クラフツマンシップとテクノロジーを同じテーブルに並べることで、新しいタイムピースを生み出してきました。その環境で行われる1年間のメンターシップは、ファイナリストたちにとって、自分の美意識を守りながら表現の幅を広げるための創造的な対話の場として作用していきそうです。ファッションとして時計を選ぶ読者にとっても、モードとオートオルロジュリーが交差するこのプロジェクトは、ルイ・ヴィトンというメゾンが時間の分野でどのように未来を構想しているのかを読み解く鍵となり、一本の時計に込められた価値をじっくり味わうきっかけを与えてくれます。
BRAND SEARCH
CATEGORY
ABOUT
「BRANDJOY.JP」はラグジュアリーブランドなどの最新動向に関連するニュースをセレクトしてお届けしています。新作やコレクションを中心に、新規オープン、ビジネス・業界情報をまとめてチェック。


