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ルイ・ヴィトン 1,130ビッカースの硬度を備えた新作「タンブール コンバージェンス ミラースティール」、特殊硬化SSの鏡面仕上げの輝き

時計のケースに用いられる金属は、強度や耐食性だけでなく、仕上げによっても印象が大きく変わります。とりわけ鏡面仕上げは、金属の表面を滑らかに磨き上げることで光を映し出す一方、細かな傷が目立ちやすいという課題もあります。ルイ・ヴィトンが「タンブール コンバージェンス」の新作で取り組んだのは、この美しさと耐久性の両立です。素材そのものに特殊な硬化処理を施し、熟練職人が時間をかけて磨き上げることで、鏡のような光沢を長く保つケースを実現しました。独創的なギシェ表示と精緻な自社製ムーブメントを備えた、新たな時計製造のアプローチです。

ルイ・ヴィトン「タンブール コンバージェンス」に新作、特殊硬化ステンレススティールの鏡面仕上げが描く新たな輝き

©Ulysse Frechelin

時刻を小窓から読み取るというクラシカルな機構に、ルイ・ヴィトン独自の造形美を重ねた「タンブール コンバージェンス」。2025年に発表されたこのコレクションから、新たに「タンブール コンバージェンス ミラースティール」が登場しました。コレクションの出発点となったのは、「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」で構想から製作までを手掛けた、メゾン初の本格的なギシェウォッチです。「コンバージェンス」という名称には、時刻を示す独特の表示機構と、歴史的建造物から着想を得たデザインという、複数の意味が込められています。時と分は2枚の回転ディスクによって連続的に表示され、波型とアーチを組み合わせた小窓から読み取る仕組み。両ディスクの間に配した彫刻的なひし形が視線を導きます。針ではなく小窓を通して時刻を読む「モントル·ア·ギシェ」への敬意を、現代的な時計製造の技術で表現した一本です。

この時計の造形を語るうえで欠かせないのが、ルイ・ヴィトンの創業者一族が暮らしたアニエールの邸宅です。ダイアルの小窓を縁取る独特のフォルムには、邸宅の室内装飾に見られる意匠が取り入れられています。歴史的な建築の記憶を、時刻を読み取るための機能的なデザインへと置き換えた点に、このモデルならではの発想があります。過去の様式をそのまま再現するのではなく、現在の時計へと新たな意味を与えること。伝統を尊重しながらも、未来へ向けて表現を更新するメゾンの姿勢が、ギシェの造形にも表れています。

コレクションの初期に発表された3モデルは、素材と装飾技法の違いによって、それぞれ異なる個性を打ち出してきました。ローズゴールドのケース全体をポリッシュで磨き上げたモデル、プラチナのケースに795個のダイヤモンドをスノーセッティングしたモデル、そしてケース前面にギョーシェ装飾を施したローズゴールドモデルです。貴金属の質感や宝石のセッティング、手作業による装飾を通じて、ルイ・ヴィトンが培ってきた装飾技法の幅広さを示してきました。これらが職人の手仕事を前面に打ち出したのに対し、新作「ミラースティール」は、時計の外装を構成する素材そのものに焦点を当てています。新たな表現の主役となるのは、独自の硬化処理を施したステンレススティールです。

ケースに選ばれたのは、強靭さを備えた特殊なステンレススティール。素材の表面を全面にわたって鏡面仕上げにすることで、金属の硬質な性質と、鏡のように光を返す滑らかな表情をひとつにしています。ケース全体に広がるミラーポリッシュは、光の映り込みによって輪郭を際立たせると同時に、現代的なルイ・ヴィトンの時計製造を象徴する仕上がりです。素材の耐久性と鏡面の美しさを両立させた、新しい「タンブール コンバージェンス」の姿といえます。
1,130ビッカースの硬度を備えたルイ・ヴィトンの新作時計、タンブール コンバージェンス ミラースティール
©Piotr Stokłosa
ルイ・ヴィトンの時計製造技術が結実、タンブール コンバージェンスに耐久性と光沢を追求した新モデル
©Ulysse Frechelin

革新を生み出すクラフツマンシップ

この新作を特徴づけるのは、独創的なデザインと、日常的な着用を想定した快適性を両立させようとする設計思想です。手首に沿うケースは、表面に穏やかな丸みを持たせ、エッジも角を感じさせないよう滑らかに整えています。視覚的な美しさだけでなく、指先で触れたときにも心地よさを感じられるフォルムです。その装着感を保ちながら、日常使いで避けにくい擦れや傷への耐性を高めるため、ケースには特許取得済みの硬化処理を採用。これにより、ステンレススティールの表面硬度は通常の状態と比べて約6倍に向上しています。手首に自然になじむ造形と、長く美しい状態を保つための素材技術。その両面から、毎日身に着ける時計としての完成度を追求しています。

鏡面仕上げの時計は、表面に細かな傷が付くと光の反射が乱れ、外観にも変化が生じやすいものです。「タンブール コンバージェンス ミラースティール」では、ケースの硬度を高める処理によって、こうした微細な傷が目立ちにくくなるよう設計されています。表面に生じた小さな擦れも鏡面の光の中に自然となじみ、輝きを損ないにくいのが特徴です。ケースだけでなく、ラグやリューズにも高度なポリッシュ仕上げを施し、各部の耐久性と光沢を追求しています。

この仕上げを支えているのは、硬度と純度の両面にこだわった特殊グレードのステンレススティールです。その硬度は1,130ビッカース(HV)に達し、ハイテクセラミックにわずかに及ばない水準。さらに、医療用インプラントにも用いられるグレードであり、素材内部の微細なレベルに至るまで不純物が極めて少ないことも特徴です。高い化学的純度を持つ金属に独自の硬化処理を組み合わせることで、表面を曇りのない状態まで磨き上げることが可能になりました。こうして得られる鏡面の輝きは、一般的なポリッシュ仕上げのメタルウォッチと比べても、非常に長く保たれるといいます。素材の選定から表面処理、最終的な研磨に至るまで、細部を積み重ねることで生まれた光沢です。

硬化ステンレススティールの特性を最大限に生かすには、素材への深い理解と、それを自在に扱う加工技術が欠かせません。「タンブール コンバージェンス ミラースティール」のケース製造を担うのは、ルイ・ヴィトンのケース専門アトリエ「ラ·ファブリク·デ·ボワティエ」です。先端素材を扱う高度な技術と、長年培われてきた職人の経験を組み合わせ、通常とは異なる性質を持つ金属を、コレクション特有の柔らかな曲線や立体的なフォルムへと仕立てています。新しい素材を取り入れるだけでなく、メゾンが大切にしてきた手仕事の精度にまで結び付けている点が、このケース製造の特徴です。

硬度の高いステンレススティールは、成形や研磨の工程でも職人に高度な判断を求めます。そのため「タンブール コンバージェンス ミラースティール」のケースを仕上げるには、ローズゴールドモデルの最大3倍もの時間が必要です。研磨工具を当てたときの素材の反応を細やかに感じ取りながら、磨きすぎず、かといって仕上げを残しすぎない絶妙な加減を探っていきます。機械的な処理だけでは置き換えられない、経験に裏打ちされた感覚が重要になる工程です。加工の難しさを乗り越えたケースには、従来の「タンブール コンバージェンス」と同じく、細部まで手をかけた仕上げが貫かれています。

鏡面と繊細なマット質感を使い分けることで、硬化ステンレススティールの表情に奥行きを持たせました。ケース全体はミラーポリッシュで磨き上げる一方、中空構造のラグの内側や、時刻表示窓を取り囲む弧と円のラインにはサンドブラスト加工を施しています。滑らかな反射の中に異なる質感が加わることで、ギシェ表示の造形やケースの輪郭がより明瞭に浮かび上がります。直径37mm、厚さ8mmのケースは、日常のさまざまな場面での着用を想定した設計。先細りのリューズとラグが手首に沿うように形づくられ、丸みを帯びたフォルムとともに自然な装着感を支えます。金属の輝きを楽しむ外観と、手首へのなじみやすさを両立したデザインです。

日常をさらなる高みへ

外装に施された鏡面仕上げの内側には、ルイ・ヴィトンの時計製造を支える自社製ムーブメントが収められています。搭載するのは、自動巻きキャリバー LFT MA01.01。時刻表示のみを機能とするこのムーブメントは、「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」が構想から製造までを一貫して手掛けた初の自社製自動巻きキャリバーです。複雑な機構を加えるのではなく、時と分を表示する基本機能を精緻に仕上げることに主眼を置いています。時計の外側だけでなく、内部の機構にもメゾンの設計思想とものづくりへの姿勢が反映されています。

キャリバー LFT MA01.01は、コンパクトさと堅牢性、日常的な使用に求められる安定性を考慮して設計されています。毎時28,800回の振動数に相当する4 Hzで作動し、慣性調整ブロックを備えたフリースプラングテンプを採用。ゼンマイを巻き上げた状態から最大45時間のパワーリザーブを確保します。こうした機械的な仕様に加え、ムーブメントの構造や仕上げにも目を向けたいところです。ケースバックにはサファイアクリスタルを採用し、内部の機構を外側から鑑賞できる設計としました。時刻を刻むための精密な構造そのものが、時計の美しさを形づくる要素になっています。

「日常のなかに非凡さを見出す」という「タンブール コンバージェンス」の考え方を、新作「ミラースティール」は素材と仕上げの両面から表現しています。ステンレススティールのケースに、クラシックなラウンドフォルム、時と分だけを表示する機能。いずれも時計として親しみのある要素ですが、そこに特殊硬化処理による耐久性、職人の手作業で磨き上げたケース、独創的なギシェ表示を組み合わせました。さらに、これらを駆動するのが自社製キャリバー LFT MA01.01です。日常的な時計の姿を保ちながら、素材の性能や細部の仕上げ、時刻表示の仕組みに独自の技術を重ねることで、普段使いの中に特別な価値を生み出しています。

素材の研究、ケースの加工、ムーブメントの開発、そして最終的な手仕上げ。複数の専門領域が交わることで、「タンブール コンバージェンス ミラースティール」は完成します。一般的な時計素材として広く知られるステンレススティールを、高い表面硬度と鏡面の輝きを備えた素材へと発展させた点にも、ルイ・ヴィトンの挑戦が表れています。独創的なデザインを支えるのは、素材の可能性を見極める技術と、職人の手によって細部まで整えられた仕上げです。技術的な創意工夫と素材への探究、そして造形に対する確かな姿勢を重ねることで、メゾンは現代のファインウォッチメイキングにおける独自の表現をさらに広げています。

職人の手仕事に最大3倍の時間をかけて完成、ルイ・ヴィトンが挑んだタンブールのミラースティール
©Piotr Stokłosa
ルイ・ヴィトン「タンブール オトマティック コンバージェンス ミラースティール」
©LOUIS VUITTON



「タンブール オトマティック コンバージェンス ミラースティール」

W9ST11
価格:4,411,000円(税込)
ケース
• 手作業によるポリッシュ仕上げを施した硬化ステンレススティールケース、
外側に同じく手作業によるポリッシュ仕上げ、内側にサンド
ブラスト仕上げを施したラグ、ポリッシュ仕上げのリューズ
• ケース径:37 mm
• 厚さ:8 mm
• スケルトンケースバック
• 反射防止コーティングされたサファイアクリスタル
• 防水:30 m
時分ディスク
• ロジウムメッキのガルバニック処理を施した、手作業によるサテン仕上げの真鍮製ディスク
• 転写プリントされた黒の数字およびインデックス
ムーブメント
• キャリバーLFT MA01.01:自社製自動巻き機械式ムーブメント
• 機能:連続回転移動式の時、分
• 18Kピンクゴールド製のローター
• 部品数:201(時分ディスク含む)
• パワーリザーブ:45時間
• 振動数:28,800回 / 時
• 石数:2
ストラップ
• グレーのサフィアーノカーフレザー、ベージュカーフレザーライニング
バックル
• LOUIS VUITTONのシグネチャーが刻印された硬化ステンレススティール製のピンバックル

詳細は、ルイ·ヴィトン 公式サイトhttps://www.louisvuitton.com をご覧ください。




【Editor's View】
「タンブール コンバージェンス ミラースティール」を理解するうえでは、時計のケースとムーブメントを別々の要素として捉えるだけでなく、それぞれの専門技術がどのように結び付いているかを見ることが重要です。ルイ・ヴィトンの時計製造拠点「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」には、ムーブメントを手掛ける「ラ·ファブリク·デ·ムーブマン」、ケースを製造する「ラ·ファブリク·デ·ボワティエ」、ダイアルを製作する「ラ·ファブリク·デ·カドラン」など、部品ごとの専門領域が設けられています。公式情報でも、ケースには革新的な素材と高度な加工技術が必要とされ、ムーブメントには面取りやサテン仕上げ、ペルラージュなど、伝統的な装飾技法が受け継がれていることが紹介されています。今回のモデルでは、硬度を高めたステンレススティールを鏡面に磨き上げるケース製造の仕事と、時刻表示に特化した自社製キャリバーの開発が一つの時計の中で結実しました。時刻を小窓から読み取るギシェ表示は、古典的な時計様式を現代に再解釈したものですが、その機構を支えるのは現代の素材技術と精密な加工です。見た目の新しさだけではなく、素材の選定から仕上げまでを自らの専門領域で追求する体制こそ、このコレクションの背景にあるルイ・ヴィトンの時計製造の特徴といえます。

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