2026.10.05
カテゴリ: コレクション
ディオール 2027年ウィメンズ サマー、レースとオーガンザが描く軽やかなシルエットに新たな息吹
服は、風を受けた瞬間から新しい表情を見せる。そんな発想を起点に、ジョナサン・アンダーソンがディオール2027年ウィメンズ サマー コレクションを描きました。舞台となったのはパリのチュイルリー庭園。レースやシルクモスリン、オーガンザを重ね、テーラリングの構築性をほどくことで、透明と不透明のあいだを揺れる軽やかなシルエットを創出しています。花のようなフォルムや玉虫色の輝き、クロップドシルエットといった前シーズンの要素は夏の空気へと置き換えられ、ロングスカーフやカスケードイヤリングが非対称のリズムを加えました。アーカイブを礎にしながら、服が動く瞬間までデザインへ取り込んだ新たなディオールです。

2026年9月29日、ジョナサン・アンダーソンによるディオールの2027年ウィメンズ サマー コレクションがパリで発表されました。チュイルリー庭園のル・バッサン・オクタゴナルを舞台に披露された今季のテーマは、卓越した技術によって生み出される「軽やかさ」。テーラリングを意味する「タイユール」は、柔らかく流れる「フルー」の感覚へと変化し、レース、シルクモスリン、オーガンザをまるで空気そのものを含んだ素材のように扱っています。透けるものと透けないものが連続するように構成され、光を通す質感と構築的な仕立てが一着の中で交差。服の輪郭を固定するのではなく、着る人の動きや風までシルエットの一部として捉えたコレクションです。
前シーズンに提示されたアイデアも、そのまま繰り返すのではなくサマーシーズンの感覚へ置き換えられました。花を思わせるフォルムとボリューム、玉虫色の輝き、クロップドシルエットといった2026-2027年秋冬 コレクションの要素に、より軽やかな素材と揺らぎのある構造を重ねています。レースやシルクモスリンの繊細さは身体の動きに呼応し、オーガンザの透明感は光の当たり方によって異なる表情を生み出します。そこに漂うのは、暖かなそよ風が服を通り抜けるような感覚。重さを感じさせないシルエットが歩くたびに変化し、夏という季節そのものをワードローブへ取り込んでいます。
非対称性は、今季のコレクション全体を横断する重要な要素です。肩へ無造作に掛けたようなロングスカーフが片側へ流れる一方、耳もとではビジューをあしらったカスケードイヤリングが重みを持って揺れ、左右のバランスに意図的なずれを生み出しています。均整の取れた美しさだけを追求せず、片側へ寄ったボリュームや長さの違いを取り込むことで、服とアクセサリーに動きが生まれる仕組みです。軽い素材を中心とするワードローブの中に、イヤリングの重量感やスカーフの長いラインを置くことで、繊細さだけでは終わらない視覚的なコントラストも際立っています。
2027年サマー メンズ コレクションで提示された要素も、ウィメンズのワードローブへ異なる表情で引き継がれています。透け感のあるスーツは構築的なテーラリングを軽やかに見せ、メタリックな5ポケットパンツは光を受けるたびに表情を変える素材感を加えています。さらに、ブラックのトロンプルイユによるスカーフモチーフを刺繍で表現し、実際の布を結んだような視覚効果を服へ取り込みました。メンズとウィメンズの境界をそのままなぞるのではなく、それぞれのコレクションで示されたコードを行き来させながら、新しいシルエットやディテールへ変換している点も今季の特徴です。
ディオール初期のシルエットを出発点にしながら、アクセサリーにも軽やかな変化が加えられています。ジュエリーは身体に合わせて調整できるデザインを取り入れ、固定された装飾ではなく、身につけ方によって表情を変えられる仕上がりに。シューズではスクエアトゥのブロックヒールに花の写真をプリントし、グラフィカルな表現を足もとへ移しました。「ディオール ボウ」サンダルには新たな解釈が加えられ、メゾンを象徴するリボンの要素を軽快なシルエットへ展開。さらに、「ディオール シガール」シューズでは花びらを思わせるソールが用いられ、自然を想起させるモチーフを構造そのものへ取り込んでいます。
バッグにも、柔らかな素材と新しいプロポーションが広がります。「ディオール ダブル」と「ディオール イニシャル」ホーボーには新作が加わり、しなやかなレザーを用いたコンパクトなシルエットがラインナップ。さらに、バイカーから着想を得た新作バッグには、ジッパー付きポケットフラップ、カナージュステッチ、メタルの「D.I.O.R.」ハードウェアを組み合わせました。機能を想起させるディテールにメゾンのアイコニックなコードを重ね、複数のカラーバリエーションで展開。硬質なイメージを持つバイカースタイルを、しなやかなレザーとコンパクトなフォルムによって新しいバッグの表情へ置き換えています。
小物やバッグの細部にも、自然や異文化へのまなざしが織り込まれています。シルバー仕上げのミノディエールは、中国で手の上を転がして楽しむ文玩胡桃をかたどったデザイン。今回のショーでは、この胡桃が招待状としてゲストへ贈られました。一方、メッシュバッグは、フリンジを施したシルクスカーフや、シルクモスリンにあしらった透け感のあるジョーゼットの花びらを加えて自由にカスタマイズできる仕様に。ドレスに使われた素材や花のモチーフをバッグへ連動させることで、ウェアとアクセサリーの境界を曖昧にしています。こうした細やかな仕事を可能にするのがディオールのアトリエであり、複雑な技術を用いながら、仕上がりには軽やかな動きを残す。その両立が今季のクリエイションを特徴づけています。
*「タイユール」はメゾンのテイラリングアトリエ、「フルー」はより柔らかい素材を扱うアトリエを指します。
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【お問合せ先】
クリスチャン ディオール
TEL:0120-02-1947
https://x.gd/zwHkC
【Editor's View】
ジョナサン・アンダーソンによる今回のディオールで印象的なのは、「軽やかさ」を単なる素材の印象に終わらせず、仕立て、シルエット、アクセサリーの動きまで含めたデザインの原理として扱っている点です。ディオールの服にはもともと、身体のラインを意識した構築的なシルエットという強い個性があります。そこへ風を含むようなレースやオーガンザ、シルクモスリンを重ねることで、メゾンが培ってきた造形を柔らかな方向へ開いています。また、非対称性をスカーフやイヤリングだけに限定せず、異なるボリュームや透明度の組み合わせへ広げていることも特徴です。均整の取れた美しさから少し距離を置き、服が動くことで初めて完成する形を提示する。アーカイブへの敬意を保ちながら、着用する瞬間の身体性を前面へ押し出したところに、今季のディオールならではの更新が表れています。
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