2026.09.13
カテゴリ: 新作
ルイ・ヴィトン「タンブール スピン·タイム」、24タイムゾーンとトゥールビヨンを備えた新作を発表
旅のためのトランクから始まったルイ・ヴィトンの時間表現が、12個のキューブを回転させる「スピン·タイム」によって、さらに独創的な姿へ進化しています。2025年の限定エディションを経て、今回その機構が定番コレクションへ加わり、オーストラリア産オパール、シグネチャーブルー、ワールドタイム、フライング トゥールビヨンなど、5つの個性が揃いました。旅先で異なる都市の昼夜を知るための機構から、ケース内部を漂うような表示まで、移動そのものを時計の構造へ置き換えたラインナップです。

「タンブール スピン·タイム」:ルイ·ヴィトンが描く、大胆でタイムレスな色彩の魅力
ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングを象徴するコレクションのひとつ、「タンブール」。独自のドラム型ケースが生む力強い存在感に加え、文字盤上で時を立体的に示す「スピン·タイム」が、このシリーズならではの個性を形づくっています。日常の時間にも旅先で過ごす時間にも寄り添いながら、メゾンの「旅の真髄(こころ)」を機械式時計の表現へ落とし込んできました。
ルイ・ヴィトンのウォッチ部門ディレクター、ジャン·アルノーが語るように、「スピン·タイム」は旅との結び付き、大胆な表示機構、そしてそれを成立させる高度な自社技術がひとつになった、メゾンを象徴する時計です。2025年に発表された限定エディションを経て、今回はその物語を定番コレクションへ広げる5つの新作が登場します。それぞれに異なる色彩を与え、「スピン·タイム」の新たな章を描き出します。
旅の真髄(こころ)
ルイ・ヴィトンの時計づくりを理解するうえで欠かせないのが、創業以来続く「旅」との結び付きです。1854年に始まったメゾンの歴史では、トランクが遠洋客船や鉄道などさまざまな移動手段に対応し、世界を旅する人々のために発展してきました。「スピン·タイム」は、その思想を時計の表示機構そのものへ落とし込んだ複雑機構です。
着想が生まれたのは2007年。空港や鉄道駅に設置された機械式の出発案内板に着目した「ラ·ファブリク·デュ・タン」のミシェル·ナバスとエンリコ·バルバシーニは、そこから新しいジャンピングアワーを構想しました。表示を平面的に置くのではなく、立体的なキューブとして手元に展開することで、旅の起点となる出発案内の仕組みを、時計そのものの機構として表現したのです。
こうして生まれた「タンブール スピン·タイム」は、2009年に「ラ·ファブリク·デュ·タン」がルイ·ヴィトンのために開発した初のムーブメントとして発表されました。最大の特徴は、文字盤を取り囲む12個の回転キューブ。ジャンピングアワーの仕組みによって各キューブが時を示し、従来の針による時刻表示とは異なる立体的な読み方を実現しています。
この特許取得機構は、空港や駅の出発案内板を思わせる見た目だけでなく、「旅」というテーマを機能そのものへ組み込んだ点に意味があります。ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングにおいて「スピン·タイム」が独自の位置を築いた背景には、装飾として旅を表現するのではなく、機械的な仕組みから旅を連想させる発想があります。
すべてのはじまり
「スピン·タイム」の発展を支えたのが、2011年に「ラ·ファブリク·デュ·タン」がルイ·ヴィトン傘下に加わったことです。ジュネーブを拠点とする時計製造の基盤が整い、ムーブメント、ケース、ダイアルまでをひとつの体制で手がける現在の環境へつながりました。2019年には「スピン·タイム」誕生10周年を機に、「スピン·タイム エアー」が登場。ダイアルを大きく開け、キューブを宙に浮いているように見せることで、従来の立体表示をさらに印象的なものへ発展させました。
2025年には「タンブール タイコ スピン·タイム」とともに新世代へ移行し、新しいケースと自社製ムーブメントファミリーを軸とした6つの限定エディションを展開。さらに、この時点でケース、ダイアル、ムーブメントのすべてを「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」で構想から製造まで一貫して手がける体制が整いました。
旅のために生まれたウォッチ
現行の「タンブール」は、名前の由来となった日本の儀式用太鼓を思わせるドラム型ケースを受け継ぎながら、先代よりスリムな輪郭へと進化しています。ベゼルにはサンドブラスト仕上げを施し、その上に立体的なポリッシュ仕上げのレリーフレタリングを配置。ラグはひとつずつ別体パーツとして切削され、レーザーフロスト仕上げによる凹面と、サテン仕上げのケースミドルが対照的な表情をつくります。
ダイアルに記された「FAB. EN SUISSE」は、その時計が受け継ぐ製造背景を示すディテールです。さらに新しい自社製ムーブメントでは、マイクロサンドブラスト仕上げのブリッジ、ポリッシュ仕上げの面取り、18Kローズゴールド製ローター、無色透明のジュエルを採用。すべてのムーブメントにパスポートのスタンプのように刻まれる「LFT」のシールが、ジュネーブ州メイランにある「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」から生まれたことを物語ります。
定番コレクションに加わった5つの「スピン·タイム」
ホワイトゴールドの「タンブール スピン·タイム グリーン」
定番コレクションの新章を担う「タンブール スピン·タイム グリーン」は、深みのあるアーシーグリーンのダイアルを採用しています。サンレイ仕上げとサンドブラスト仕上げを組み合わせた表面は光の当たり方によって表情を変え、自然や冒険を連想させる色彩が「スピン·タイム」の旅の物語とも重なります。
時刻表示は12個の数字入りキューブによるジャンピングアワー方式。毎正時になるとキューブが順に回転し、明るい面が現在の時刻を示す一方、それ以外は次の時を待つようにニュートラルな位置に留まります。39.5mmのケースは日常から旅先まで幅広い場面に合わせやすく、100m防水も備えています。立体的な表示機構を備えながら、日常的な着用を意識したサイズと仕様にまとめられています。
グリーンのダイアルと呼応するラバーストラップには、キルティング仕上げを施し、ローズゴールド製ローターにも用いられる「V」モチーフをあしらっています。表側の意匠だけでなく、ケースバックの向こう側に見えるムーブメントまで同じデザイン言語でつなげることで、時計全体に統一感を持たせています。
39.5mmケースでは初めてサファイアクリスタルのケースバックを採用し、自社製キャリバーST13.01を直接鑑賞できる構造に。フリースプラング式テンプや18Kローズゴールド製ローターに加え、マイクロサンドブラスト仕上げのブリッジ、手作業による面取り、無色透明のジュエルまで、ムーブメントの細部を視認できます。機構を隠すのではなく、その構造と仕上げそのものを時計の表情として見せる設計が、このモデルの現代性を際立たせています。
ローズゴールドの「タンブール スピン·タイム オパール」
「タンブール スピン·タイム オパール」は、素材選びから「旅」の精神を表現したモデルです。「タンブール」では初となる18Kローズゴールド製ケースに合わせたのは、オーストラリア産オパールのダイアル。光の角度によってインディゴ、ティール、セルリアンブルーへと色調が移ろう石を、ダイアル中央だけでなく12個の「スピン·タイム」キューブの間にも配しました。自然が生み出す色彩の変化をそのまま手元に取り込むような構成で、見る位置によって異なる表情を見せるオパールは、旅によって世界の見え方が変わる感覚とも重なります。
厳しい品質基準と美的条件を満たす石だけが採用されるオパールは、調達の難しさでも知られる素材です。なかでもブルーのオーストラリア産オパールは、深い色と虹色の輝きが特徴で、さまざまな文化において変容を象徴してきました。ジュネーブ州メイランの「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」に集約された多様なサヴォアフェール(匠の技)が、その個性をダイアルへ落とし込んでいます。
「タンブール スピン·タイム オパール」の主役となるのは、光によって表情を変えるオーストラリア産オパールです。インディゴ、ティール、セルリアンブルーへと色調が移ろう石をダイアル中央だけでなく、12個の「スピン·タイム」キューブの間にも配し、時計そのものに自然の揺らぎを取り込みました。ケースには「タンブール」では初となる18Kローズゴールドを採用し、ブルーのラバーストラップと組み合わせることで、温かな金属色とオパールの虹色の輝きを引き立てています。
インデックスにはバゲットカットのダイヤモンド、ベゼルとラグにはバゲットカットのサファイアをセット。ジェムセッティングは「ラ·ファブリク·デュ·タン ルイ·ヴィトン」の自社専門職人が丸3日間をかけて仕上げています。ブルーのオパールを選んだ背景には、その深さと鮮やかな色彩の中に多彩な色を宿す特性があります。旅によって場所が変われば景色の見え方も変わるように、見る角度や光によって姿を変える石が「スピン·タイム」の思想と重なります。
ホワイトゴールドの「タンブール スピン·タイム エアー ブルー」
「タンブール スピン·タイム エアー」は、ルイ·ヴィトンを象徴するブルーをまとって定番コレクションに加わります。ここでは、文字盤を開放した「スピン·タイム エアー」の構造が、色彩だけでなく機械の見せ方そのものを特徴づけています。中央に配された自社製キャリバーST13.01が宙に浮かぶように見え、その周囲を12個のキューブが回転。
さらに数字ではなくキューブそのものを使って「LOUIS VUITTON」の文字を綴ることで、時刻表示にブランドのアイデンティティを重ねています。公式の製品情報でも、42.5mmのホワイトゴールドケースにST13.01を収め、明るいキューブが現在の時を示し、ホワイトゴールドの分針で分を読む構成が確認できます。
2025年に発表された「タンブール タイコ スピン·タイム」は、ルイ·ヴィトンにとって新しい段階の始まりでした。そして現在、「スピン·タイム」は限定モデルのためだけの機構から、メゾンのウォッチメイキングを継続的に象徴する定番コレクションへと展開されます。ジャン·アルノーが語るように、今回の5モデルは次のステップに位置づけられるものです。旅というメゾンの原点を機械式時計へ直接取り込んだ独創的な表示機構に加え、ケース、ダイアル、ムーブメントを含む自社のサヴォアフェールを背景に、デザインと技術の双方から「スピン·タイム」の存在感を定着させています。
「スピン·タイム エアー」の時刻表示は、複雑な構造を見せながらも読み取り方は明快です。12個のキューブのうち、現在時刻を示すものだけがホワイトの背景にシルバーの文字を配し、それ以外はディープブルーの背景にシルバーの文字を置いて、両者のコントラストで現在位置を明確にします。
キューブにはサテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせ、立体感を強調。さらに上部には、歴史あるルイ·ヴィトンのトランクに見られるリベットを想わせる小さなポリッシュ仕上げのスタッドを配置しています。18K ホワイトゴールド製42.5mmケースにはダイアルと同色のカーフレザーストラップを合わせ、機械的な構造を前面に出しながら全体を軽やかにまとめています。
ホワイトゴールドの「タンブール スピン·タイム エアー アンティポード ブルー」
「タンブール スピン·タイム エアー アンティポード」は、12個のキューブを使って24の主要タイムゾーンを同時に扱う、旅のための複雑機構です。ポイントは、ひとつのキューブに12時間の時差を持つ2都市を組み合わせること。ロサンゼルスとドバイ、ニューヨークとバンコク、パリとミッドウェー諸島といった対蹠地の関係にある都市をひとつずつ割り当てることで、限られた表示スペースから24都市の時間を読み取れる仕組みを構築しました。公式情報でも、キャリバーLFT ST12.01によって24のタイムゾーンを同時表示し、各キューブが12時間離れた2都市の昼夜を示す機構であることが確認できます。
このワールドタイム機構が目指したのは、正確な時刻を知ることだけではありません。旅先から離れた都市が昼なのか夜なのかを直感的に把握できるよう、各キューブの背景色で昼夜を示し、都市の組み合わせが昼夜の境目を迎えるたびにキューブが回転する仕組みを採用しています。
現地時間は、ルイ·ヴィトンのレザーグッズに見られるステッチを思わせるイエローのミニアチュールペイントによるポインターで表示。複雑な自社製キャリバーST12.01を搭載しながら、調整はリューズだけで完結します。42.5mmのホワイトゴールド製ケースとダイアルに色調を合わせたカーフレザーストラップまで含め、機構の複雑さと操作の簡潔さを両立させた設計です。
プラチナの「タンブール スピン·タイム エアー フライング トゥールビヨン サーモン」
「タンブール」の世界にサーモンカラーを持ち込むことで、ルイ·ヴィトンはオートオルロジュリーに受け継がれてきた古典的な美意識にも目を向けています。貴金属と組み合わせられてきたこの色調を、今回はプラチナケースのクールなグレーと調和するニュアンスとして採用。「ラ·ファブリク·デ·カドラン」との協働によって複数の候補を検討したうえで選び抜かれたサーモンカラーに、タンカラーのカーフレザーストラップを組み合わせています。温度を感じさせるダイアルカラーと冷静なプラチナのコントラストによって、伝統的な時計文化への敬意と、ルイ·ヴィトンらしい色彩感覚をひとつのモデルにまとめています。
さらに高度な機械技術へ踏み込んだのが、フローティングキューブによる「スピン·タイム エアー」と、中央のフライング トゥールビヨンを組み合わせたモデルです。自社製キャリバーLFT ST05.01の組み立てには50時間を要し、コレクション内の他のムーブメントと比べても2倍以上の時間が必要とされます。中央に配したトゥールビヨンケージはモノグラム·フラワーの形に仕立てられ、ケースやダイアルだけでなくムーブメントの内部にまでルイ·ヴィトンの意匠を浸透させています。
プラチナケースの加工と仕上げにも高い精度が求められ、18Kホワイトゴールドやローズゴールドのケースと比べて完成までにおよそ2倍の時間を要します。公式製品情報でも、LFT ST05.01が中央のフライング トゥールビヨンと「スピン·タイム エアー」を組み合わせた自動巻きムーブメントであることが確認されています。
旅立ちの時
5つの新作をひとつのコレクションとして結び付けるのが、「タンブール」ならではのケースと「スピン·タイム」という立体的な時刻表示です。力強いケースフォルムに12個の回転キューブを組み合わせることで、時間を針だけで読むという機械式時計の常識から距離を置きながら、旅というルイ·ヴィトンの原点を機構そのものへ落とし込んでいます。
グリーン、オパール、ブルー、ワールドタイム、フライング トゥールビヨンと、それぞれ異なる方向へ展開された5つのモデルに共通するのは、移動する人のための時計という発想です。「スピン·タイム」は、時刻を表示する機能と旅の物語を一体化させた、ルイ·ヴィトンを象徴する機械式ウォッチへと進化しています。
詳細は、ルイ·ヴィトン 公式サイトhttps://www.louisvuitton.com をご覧ください。
【Editor's View】
今回の5モデルを眺めると、「スピン·タイム」の面白さは同じ表示機構を繰り返すことではなく、ひとつの発想から異なる複雑機構と素材表現を展開しているところにあると感じます。自然の光を閉じ込めたオパール、ブランドカラーを前面に出したブルー、24タイムゾーンを扱うアンティポード、そしてフライング トゥールビヨンまで、方向性は大きく異なります。それでも12個のキューブを核とし、旅を機械式時計の構造へ置き換えるという思想は共通しています。とりわけ「アンティポード」は、複雑さを増やすほど操作を難しくするのではなく、地球の反対側にある2都市を一組にすることで表示を理解しやすくした点が印象的です。複雑機構を見せるための時計ではなく、複雑さを実用的な体験へ変換すること。その姿勢に、ルイ·ヴィトンのウォッチメイキングの個性が表れています。
BRAND SEARCH
CATEGORY
ABOUT
「BRANDJOY.JP」はラグジュアリーブランドなどの最新動向に関連するニュースをセレクトしてお届けしています。新作やコレクションを中心に、新規オープン、ビジネス・業界情報をまとめてチェック。


