2026.06.23
カテゴリ: コレクション
マックスマーラ 創業75周年を彩るリゾートコレクション、機能美と躍動感が交差する最新提案
創業から75年という時間は、多くのブランドにとって振り返りの契機となります。しかしマックスマーラが2027年リゾートコレクション「Kinetic Chic」で示したのは、過去を称えるためだけの記念的な姿勢ではありませんでした。ブランドが積み重ねてきた価値観を現在の視点で更新し、その先の時代へと接続する試みです。上海・龍美術館という印象的な空間で展開されたルックの数々には、実用性への誠実なまなざしと、都市を軽やかに行き交う女性たちへの理解が息づいています。歴史を背負いながら前進すること。その難題に対するマックスマーラなりの回答が、このコレクションには凝縮されていました。
「ニューヨークは眠らない街と言われるが、上海は座ることすらない街だ。」パトリシア・マークス『ザ・ニューヨーカー』誌 ライター/ユーモリスト
創業75周年という節目にマックスマーラが選んだ舞台は、上海・龍美術館(Long Museum)の壮大なアーチ空間でした。ここで披露された2027年リゾートコレクション「Kinetic Chic」は、過去の功績を振り返る記念企画ではありません。受け継がれてきたブランドのヘリテージを見つめ直しながら、その価値を未来へと接続する意思を示したコレクションとして位置づけられています。
これまでのコレクションでは特定のミューズを軸に物語が描かれてきましたが、今回は異なるアプローチが採用されました。主役となるのは“Remarkable Max Mara Woman”という存在です。さまざまな女性像が重なり合うことで、誰もが内に秘めるヒロインの輪郭が浮かび上がります。ブランドの歴史に刻まれた数々の要素を再訪し、それらを新たな視点で組み立て直すことで、「マックスマーラとは何か」という本質的なテーマへと向かっています。
長年にわたりバウハウスへ関心を寄せてきた背景には、マックスマーラの価値観そのものが映し出されています。機能性と普遍性、そして統合されたデザインが生み出す自然体の美しさ。そこには、装うことを複雑な作業にしないという思想があります。創業者アキーレ・マラモッティが語った「日常を特別なものへ変える」という考え方も、この精神と重なります。実用性と豊かな質感を両立した今回のコレクションは、動きのあるフォルムや明晰なラインによって現代性を際立たせており、ブランドの原点がいまなお有効であることを力強く示しています。
アーカイブに残されたグラフィカルな意匠は、現代的な感覚をまとって再登場します。ストライプやキュービックパターンが、キャメル、コニャック、カーキ、シャンパン、ブラック、ホワイト、そしてブランドを象徴するレッドによる配色に躍動感を添えました。さらに鮮やかなアクセントカラーやパイエットの輝きは、ミニマルなニットの背面といった意外性のある場所に潜みます。細部に視線を向けるたび異なる表情が現れ、コレクション全体に軽快なリズムが生まれています。
シルエットには明確なコントラストが用意されています。コートはたっぷりとした分量感で身体を包み込み、ジャケットはショート丈のボクシーなフォルム、あるいは精緻なテーラリングによって表情を変えます。スカートは膝上で揺れる柔らかなボリュームタイプと、端正なミモレ丈の両軸で展開。さらにサイドにパッチポケットを備えたクロップド丈のフラットフロントパンツが加わり、足元ではアンクルストラップ付きヒールシューズの存在感が際立ちます。
世界各地で共有されるファッションの語彙を持ちながらも、このコレクションには開催地である上海への敬意が丁寧に織り込まれています。ストレッチメリノウールによるチャイナドレス、キルティングシルクジャケット、そしてチャイナボタン(盤扣)をあしらったポプリンシャツなどがその象徴です。異なる文化的背景を自然に交差させる手法は、マックスマーラが国際的なブランドとして培ってきた柔軟さを感じさせます。
「マックスマーラとは何か」という問いを追いかける先で浮かび上がるのが、「ファッショナブル」と「タイムレス」をどう両立させるのかというテーマです。その答えは、ブランドが培ってきた知的なデザインアプローチに見出せます。しかし理論だけでは説明しきれない魅力が存在することも確かです。75年にわたり多くの女性に選ばれ続けてきた背景には、時代ごとの空気を取り込みながらも自分らしさを失わない表現力があります。その積み重ねへの敬意が、「Kinetic Chic」全体を貫いていました。
#MaxMara #MaxMara75 #MaxMaraResort27
Hair:Damien Boissinot
Make up:Fulvia Farolfi
Nails:Li Na - Aaron
Music:Johnny Dynell
【Editor's View】
75周年という節目のコレクションでは、過去の象徴的な要素を並べる手法が選ばれることも少なくありません。しかしマックスマーラは、アーカイブを引用するだけでなく、それらを現代の都市生活に結び付ける作業に重きを置きました。特に印象的なのは、機能性を犠牲にせず視覚的な豊かさを成立させている点です。大胆なコート、意外性のある装飾、上海文化への繊細な参照が一体となり、ブランドの歴史と現在が同じ座標で語られています。「Kinetic Chic」は記念コレクションという枠を超え、マックスマーラが次の時代に何を提示するのかを明確に示した内容でした。
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