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ルイ・ヴィトン 37mmの「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」、ギョーシェ装飾とローズゴールドローターが導くコンテンポラリーな手元

ドレスウォッチを選ぶとき、今の気分に寄り添うのは「軽やかさ」と「ディテールの深さ」を同時に感じさせてくれる一本だと感じます。ルイ・ヴィトンの「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」は、そのバランス感覚を体現したタイムピースです。ケース側面からダイアルのプレートにまで続くギョーシェ装飾は、ジュエリーのような陰影をまといながら、見る角度によって表情を変えていきます。一方で内部には、自社開発のキャリバーLFT MA01.01が収められ、透明な石やサンドブラスト仕上げのブリッジが現代的な静けさを添えます。37mm径というコンパクトなサイズとスリムな厚みは、シャツのカフスの下からさりげなく覗く手元を想像させ、ラグジュアリーと実用性の間にある「ちょうどいい」ウォッチを探している人にこそ手に取ってほしい一本です。

ルイ・ヴィトン「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」、ギョーシェ装飾と自社ムーブメントが融合した新世代タンブール

©Chelsie Craig

ルイ・ヴィトンは、伝統的な手動旋盤によって彫り出されるギョーシェ装飾に光を当てる新作タイムピースを発表し、ウォッチメイキングにおける装飾表現とサヴォアフェールの世界を、これまで以上に繊細かつ深い領域へと押し広げます。精緻なパターンを生み出す職人の手仕事を前面に据えることで、ムーブメントやケース構造だけでなく、ダイアルそのものを芸術的な舞台としてとらえ直すアプローチが鮮明になっています。

37mmの「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」、ギョーシェ装飾とローズゴールドローターが導くコンテンポラリーな手元
©Piotr Stoklosa


LVMHウォッチウィーク2025で初めて披露された「タンブール コンバージェンス」コレクションは、そのデビューからちょうど1年を迎え、新たな第3章として「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」を迎えることになりました。ジュネーブに構えるウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が、製造から組立て、最終的な仕上げに至るまで一貫して手がけるこのモデルは、メティエダールを表現するためのキャンバスとしての役割をさらに強化しています。本コレクションを象徴する、ダイアル全面を覆うプレシャスなプレートという発想も、「ギョーシェ」においていっそう掘り下げられています。

型破りな時刻表示

2025年に発表された「タンブール コンバージェンス」コレクションは、ルイ・ヴィトンにとってウォッチメイキングの歴史に新たな節目を刻む存在になりました。その名称に込められた「コンバージェンス」という言葉は、ジュネーブの「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」内に集う多様なアトリエの感性をひとつの美意識へと集約させる試みを象徴しています。先行して登場した2つのモデルには、メゾンの時計史において先駆的な位置付けとなるキャリバーLFT MA01.01を搭載。このムーブメントは、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が構想段階から開発までを完全に担った初の自動巻きキャリバーであり、ハイエンドウォッチメイキングへの本格的なコミットメントを示すものです。

「タンブール コンバージェンス」のデザインコードは、時間の流れと異なる要素同士が混ざり合うイメージを起点に構築され、非常に視覚的でダイナミックな時刻表示を採用しています。文字盤上には2つのディスクが回転し、それぞれに配された数字がスカラップ状の縁をもつアーチ型の窓に現れるという独自の構造です。その下で、彫りを施したダイヤモンド形のマーカーが数字を指し示すことで、複雑なメカニズムを背景に持ちながらも、直感的に時間を読み取ることができる表示レイアウトが完成しています。

このコレクションには、ルイ・ヴィトンのヘリテージからのインスピレーションも色濃く息づいています。特にダイアル上のウィンドウのシルエットは、アニエールにあるヴィトン家の邸宅の室内意匠を思い起こさせるものです。このディテールが、文字盤における時刻表示の枠をかたどると同時に、過去と現在が一体となる瞬間を象徴し、伝統を大切にしながらも常に未来を見つめるルイ・ヴィトンの姿勢を静かに物語ります。コンバージェンス、すなわち融合というコンセプトは、発想のレベルでも、メカニズムの構成においても、さらには外観の美意識においてもコレクション全体に浸透しており、「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」はそのテーマを新しいかたちで体現したモデルと言えます。

卓越した手仕事の証

手動旋盤で刻まれた2種類のギョーシェ装飾を組み合わせた「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」は、ルイ・ヴィトンがウォッチメイキングのメティエダールの領域で技術を磨き続けていくという意志を、具体的な造形として示すタイムピースです。ローズゴールド製のケース上面には、光の輪が幾重にも広がるような同心円状の波紋が彫り込まれ、そこに重ねられたプレシャスなプレートが、立体的な陰影を強く印象づけます。さらに、文字盤中央部では、時刻表示窓から外側へ向かって連なる波打つ放射状のラインが視線を導き、わずかにドーム型のシルエットを描くケースに、奥行きと豊かな質感を添えています。

中央に施されたギョーシェ模様は、時刻表示窓のフォルムに込められたオリジナルのデザインコンセプトを視覚化したものです。雲の切れ間から差し込む光が、輪郭を金色に縁取る様子をイメージしており、ウィンドウの外縁に施されたメタライズド仕上げと、サファイアクリスタルのエッジで起こる光の屈折が、その印象をいっそう強めています。そこから放射状に伸びていくギョーシェのラインが、この情緒豊かな装飾に奥行きを与え、タイムピース全体を包み込むような輝きの表情を生み出しています。

精緻を極めるギョーシェ加工

「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」の文字盤を彩るギョーシェ彫りは、近年メゾンが力を注いできた極めて緻密で専門性の高いクラフツマンシップの到達点として位置づけられます。この装飾表現を実現するために、メティエダールの技術を集約する拠点である「ラ・ファブリク・デ・ザール」では、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて製造されたアンティークの専用機械を修復するプロジェクトを継続的に実施しました。1台ごとに約1年をかけて蘇らせたこれらの機械が、現在のギョーシェ装飾の精度と表現力を支える礎となっています。

職人たちは、この復元された機械を扱いながら、複数の感覚を同時に研ぎ澄ますことが求められる高度な作業に取り組みます。まず視覚を頼りに金属の表面を細部まで観察し、刻まれていく線のわずかな変化を見逃さないようにしながら、切削刃がゴールドの地金にどれだけの深さで入り込んでいるかを常に確認します。同時に、指先に伝わる振動のニュアンスから工具と素材の状態を読み取る触覚も重要な指標となり、旋盤越しに伝わるかすかな手応えを手がかりに、ひとつひとつの模様が思い描いたギョーシェパターン通りに刻まれているかを確かめていきます。

曲面へのギョーシェ加工となると、こうした繊細な感覚のコントロールは一層重要になります。「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」では、このチャレンジングな工程が複数の段階で行われています。わずかにドーム状のプロポーションを持つローズゴールド製ケースでは、工具を複雑な立体的輪郭に沿って正確に動かす必要があり、表面が高低差を見せる箇所でも、幾何学的なパターンの一貫性を崩さないことが不可欠です。そのためギョーシェ職人は、切削時の圧力と深さを刻一刻と調整し続けなければなりません。わずかなズレが生じれば模様全体の調和が損なわれてしまうため、素材への理解と機械に対する親密な感覚、そして長時間にわたる集中力が求められます。こうした資質は「ラ・ファブリク・デ・ザール」のアトリエで日々培われ、磨き上げられています。

表現の調和

このウォッチに見られる二重のギョーシェ模様は、2台の異なる手動操作旋盤によって生み出されます。ひとつは1850年製のローズエンジンで、伝統的なロゼットが装着された機械です。これを用いることで、ケース外周部に沿って同心円状に広がる波紋のようなパターンが描き出されます。1回の旋盤操作で、クラシックなギョーシェ彫りならではのやわらかさと、澄んだ線の表情が立ち上がるのが特徴です。

もう一方で活躍するのが、1935年製の直線エンジンです。この機械は、ウォッチ中央部の模様を含む直線的なモチーフの表現を担います。「ラ・ファブリク・デ・ザール」のチームは、この直線エンジンのために専用のカムを開発し、放射状のラインに滑らかな起伏を与えることに成功しました。ルイ・ヴィトンの職人が自らに課している厳格な基準をクリアするだけでなく、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」のアーティスティック・ディレクターであるマチュー・エジの求める表現レベルに到達するため、6ヶ月にわたる開発期間中に20回を超える試作が重ねられています。線と光のバランスが理想的な形に落ち着くまで、細やかな調整が続けられました。

2種類の技法をひとつのダイアル上で心地よく響き合うようにまとめ上げるまでには、数ヶ月におよぶ検証と改善のプロセスが必要でした。さらに「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」におけるエングレービングの深さは、従来のダイアルギョーシェと比較して約3倍に達しています。プレートの最終的な手作業による研磨は、すべてのギョーシェ彫りが完了した後に行われるため、職人は線の輪郭を失わないよう、通常よりも深く刻むことが求められます。その結果として、ひと筋ひと筋のエッジが際立ち、コントラストに富んだパターンと、文字盤全体の質感の豊かさが強調されています。

「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」1本の制作に必要なエングレービング作業だけで、およそ16時間が費やされます。そのあいだギョーシェ職人は、高い精度を保ちながら集中状態を切らさずに作業を続けなければなりません。このウォッチにおける装飾表現は、着色などに頼らず、ゴールド素材そのものの持つ輝きと質感から生み出されている点も特徴です。表面に広がる波紋や、中心から外側へ伸びる放射状のライン、光を映し返す数々の面は、長い年月をかけて受け継がれてきた知識と経験がかたちになったものとして、タイムピースに独自の存在感を与えています。

最後のギョーシェのラインが刻まれる頃、ケースは装飾のための面としての役割を超えた存在へと変化します。彫り込みによって生まれた陰影と光の軌跡が、メゾンが大切にしてきたメティエダールを、現代のウォッチメイキングにしっかりと組み込もうとする強い意志を物語るためのキャンバスになっていくのです。その姿は、単に美しいケースをつくることにとどまらず、クラフツマンシップをタイムピースの核に据えたいというルイ・ヴィトンの情熱の証だと感じられます。

37mmの「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」、ギョーシェ装飾とローズゴールドローターが導くコンテンポラリーな手元
©Piotr Stoklosa

ルイ・ヴィトンのタイムピース「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」、メティエダールとLFT MA01.01が描く精度と美の均衡
©LOUIS VUITTON


優美なフォルム

「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」を内側から支えるのは、自動巻きキャリバーLFT MA01.01です。このムーブメントが外観と中身の両方に通底しているキーワードは、精度と均衡です。可変慣性ブロック付きの4 Hz(28,800回 / 時)フリースプラングテンプを採用することで、クロノメーターとしてふさわしい安定した時刻精度を発揮します。45時間のパワーリザーブは、18Kローズゴールド製ローターが腕の動きに合わせて効率的にゼンマイを巻き上げることで常に補われます。ローターの重さや輪郭は、日常的な装着シーンを想定しながら最適な巻き上げ効率を引き出せるよう綿密に調整されており、機能面でも美しさとバランスを追求した構成になっています。

ムーブメントに目を向けると、サンドブラスト仕上げのブリッジとマイクロサンドブラストを施したエッジが、静かな質感をまとった面として現れます。そこに、V字型の切り込みを入れたローズゴールド製ローターの外縁部や、ポリッシュで磨き上げられたベベルが重なり、光を受けるたびに異なる表情を見せます。ギョーシェで飾られた外観が華やかなオーラを放つ一方で、ムーブメント側は緻密で節度ある仕上げが施されており、このコントラストがウォッチ全体の印象を引き締めています。

ムーブメントにセットされた石は、伝統的なルビーレッドではなく透明な色味が選ばれています。この選択は、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が打ち出すコンテンポラリーなシグネチャーをさりげなく表現するものです。細部のディテールに至るまで従来の前提を見直し、「エスカル」や「タンブール」コレクションに搭載されたキャリバーLFT023から受け継がれるデザインコードも取り入れることで、メゾンのムーブメント全体に共通するさりげない連続性が生まれています。機構ごとに個性を持たせながらも、裏側から覗いたときにひとつの家族としてつながって見える世界観が整えられている点も、ウォッチラバーにとって魅力的なポイントです。

こうして完成したムーブメントを包み込むのが、ルイ・ヴィトンを象徴するフォルムを洗練させた「タンブール コンバージェンス」のケースです。直径37 mm、厚さ8 mmという控えめなサイズ感が採用され、柔らかくカーブを描く側面は、自然な変曲点に向かってなだらかに細くなっていきます。この造形によって、手首に乗せたときのフィット感が高まり、見た目にもスリムでエレガントな印象が際立ちます。再構築されたラグは、現行の「タンブール」コレクションとの明確な差異を生み出す要素であり、ポリッシュ仕上げの表面と、中空構造にマイクロサンドブラスト加工を施した側面の対比が、ケース全体にめぐる光の動きを豊かにしています。

サヴォアフェールとモダニティの融合

「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」は、ルイ・ヴィトンがウォッチメイキングの世界で追求し続ける精神をそのまま映したようなタイムピースです。メティエダールによる装飾表現と、現代のエンジニアリング、そしてジュネーブの「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」のアトリエが育んできた独自の美意識がひとつに重なり合っています。長い時間をかけて築かれた伝統が造形のベースを形づくりながらも、その価値は常に革新的な解釈によって更新されており、このウォッチはまさにそのバランスが結晶したオブジェと言えます。

ルイ・ヴィトンが装飾的なクラフツマンシップの習得と発展を推し進め、本格的なマニュファクチュールとしての可能性を高めていくなかで、「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」はその実力を示す存在であると同時に、これからの歩みへの静かな宣言でもあります。ギョーシェ、ムーブメント、ケースシルエットが交差するこのモデルは、今この瞬間の芸術的な出会いを捉えたクリエイションであり、同時にルイ・ヴィトンのウォッチメイキングがどの方向へ進んでいくのかを示す指標のような役割も担っています。

ルイ・ヴィトン「タンブール コンバージェンス」第3章、ギョーシェ装飾とモダンなケースシルエットが出会うギョーシェモデル
©LOUIS VUITTON


「タンブール オトマティック コンバージェンス ギョーシェ」
W9PG21
価格:8,965,000円(税込)

ケース:
• 18Kローズゴールド
• ケース径:37 mm
• 厚さ:8 mm
• 手作業によるミラーポリッシュ仕上げとギョーシェ仕上げを施したケース、
 外側にミラーポリッシュ仕上げと内側にサンドブラスト仕上げを施したラグ、
 サテン仕上げのケースサイド、ポリッシュ仕上げのリューズ
• 反射防止コーティングされたサファイアクリスタル
• スケルトンケースバック
• 防水:30 m

時分ディスク:
• 4Nメッキ処理を施した手作業によるサテン仕上げの真鍮製ディスク
• 転写プリントされたブルーの数字とインデックス

ムーブメント:
• キャリバーLFT MA01.01:自動巻き機械式ムーブメント
• 機能:連続回転移動式の時、分
• 18Kピンクゴールド製のローター
• 部品数:201(時分ディスク含む)
• パワーリザーブ:45時間
• 振動数:28,800回 / 時
• 石数:26

ストラップ:
• ブルーカーフレザー、ブラックカーフレザーライニング

バックル:
• 「LOUIS VUITTON」のシグネチャーが刻印された18Kローズゴールド製のピンバックル

詳細は、ルイ·ヴィトン 公式サイトhttps://www.louisvuitton.com をご覧ください。



【Editor's View】
ルイ・ヴィトンの「タンブール コンバージェンス ギョーシェ」は、ハイウォッチメイキングの世界で語られる技術的なストーリーと、ファッションとして楽しみたい手元のニュアンスが、美しく交差したタイムピースだと感じます。ギョーシェで刻まれたケースは、光の当たり方で表情を変えながら、ジュエリーのブレスレットにも通じる陰影を生み、シャツの袖口やニットのリブからのぞくたびにスタイル全体に奥行きを与えてくれます。一方で37 mmという程よいサイズとスリムなプロポーション、自社製ムーブメントの安定した精度が、日常使いへのハードルを下げてくれるのも魅力です。クラシックなドレスウォッチとスポーティなラグジュアリーウォッチの間を行き来するような感覚で、オンのシーンにも週末のシンプルな装いにも自然になじむ一本として、手元に個性を宿したい人の心を引き寄せるタイムピースになりそうです。

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