2025.10.02
カテゴリ: 新作
フランク ミュラー の新作ヴァンガード スリム スフマート登場、「時の感情」を具現化
時計を選ぶとき、私たちはしばしば精度とデザインを天秤にかけます。しかし、フランク ミュラーの「ヴァンガード スリム スフマート」は、その二項対立を溶かせる提案を提示します。ルネサンス期の技法“スフマート”の哲学を文字盤へと採り込むことで、刻むだけの時間ではなく、揺らぎをともなう時間を指に宿すような佇まいを実現。中心から外周へ淡く滲む色彩、光と影のグラデーション、それらが時という抽象に深みを与えます。薄型ケースに抑えられたフォルムは、装いの日常性にも対応し、知性とぬくもりを同時に求める大人の腕元を彩る選択肢になるでしょう。
時計愛好家に向けて、フランク ミュラーは「ヴァンガード スリム スフマート」を発表しました。この新作には、ルネサンスの巨匠ダ・ヴィンチが展開した“スフマート”という絵画技法の思考が刻まれています。もともと輪郭を曖昧にするこの技法は、時を単なる計測対象とするのではなく、内省や感覚と重ね合わせる哲学でもあります。
スフマートとは単なる画法を超え、自然と人の心を問う挑戦でした。ダ・ヴィンチは「自然には明確な線はない」と論じ、光と影を層で重ねて輪郭を曖昧に表現しました。その方法は、輪郭線を排しながら対象を描き出すことで、見る者の感性に委ねる余白を残します。モナ・リザの微笑みに漂う揺らぎは、彼の思考の最上の結晶でもあります。
「時の哲学者」フランク ミュラーが描く、スフマート
ヴァンガード スリム スフマートでは、その思想を文字盤に応用しました。中心から徐々に色彩を淡く広げ、明確な境界を排したグラデーションで時間の流れを描きます。輪郭のない表情は、時が移ろうものだという本質を表し、使い手の気分や視点によって変化する佇まいを与えています。
「ヴァンガード」シリーズは、名前そのものが革新性を掲げています。眼前の計測器として時計を扱うのではなく、人生の地図なき航海を共に歩む羅針盤として位置づけています。その思想は、このスリム スフマートにも刻まれており、装飾以上の物語性を宿しています。
このモデルでは、ヴァンガードの革新性を受け継ぎつつ、ケース厚を約3ミリ抑える設計を実現しました。薄型化によってエレガントな印象を引き締め、知性と品格を併せ持つ大人の佇まいを演出します。重厚さに頼らず、軽やかさの中に存在感を取り込んだバランス感覚が差別化ポイントです。
・Vanguard V41サイズ(41mm × 50mm):厚さ 約12.4mm
・Vanguard Slim V41サイズ(41mm × 50mm):厚さ 約 9.5mmテーマである「時の感情」を具現化するため、フランク ミュラーは伝統技法を現代にアップデートした文字盤製法を採用しています。複数の工程を重ね、時間の揺らぎを色彩で綴る設計が、この時計の核心です。
最初の工程は放射状のヘアライン仕上げです。光の当たり方に合わせて、文字盤がまるで時間を放射するような視覚効果を生み出します。線ではなく光の陰影で構成することで、時間を感じさせる起点を作ります。
次に、スフマート彩色という技法で文字盤に色を「吹き込む」作業が行われます。文字盤を回転させながら外周からエナメル塗料を吹き付け、中心に近づくほど淡い色合いになるよう幾層にも重ねます。手仕事と時間を共に積むことで、感情的な深みを伴うグラデーションが生まれます。
その後の焼成と研磨では、塗装層が宝石のような艶と立体感を得ます。さらに、12時側と6時側に向かって緩やかにカーブするフォルムが光を複雑に反射させ、文字盤に奥行きを与えます。こうして出来上がるスリム スフマートの文字盤は、職人の手業で時の移ろいを色彩表現として佇ませています。
モナ・リザの微笑みが見る者や光の状態によって印象を変えるように、時間もまた観る状況や心情によって感覚が変動します。「ヴァンガード スリム スフマート」は、その揺らぎや余白を表層に取り込み、色のグラデーションを時の感情として映し出す時計です。精度の追求を超えて、時間の曖昧な側面と感性を融合させる試みに読者は惹かれるでしょう。
ヴァンガード スリム スフマート
自動巻き、18Kピンクゴールド
縦:50.00mm×横:41.00mm
カーフ×ラバーストラップ
3,740,000円(税込)
自動巻き、18Kピンクゴールド
縦:52.30mm×横:42.50mm
カーフ×ラバーストラップ
3,850,000円(税込)
お問い合わせ先:
フランク ミュラー ウォッチランド東京
03-3549-1949
https://franckmuller-japan.com/
【Editor's View】
淡く滲む文字盤表現は、コーディネートの引き算を試みたい人に調和を与え、薄型ケースは重ね着や袖口との協調性を強めます。さらに、時間を「感情」として感じる体験は、アートと実用性の狭間を往復したい読者にとって新鮮な選択肢です。工業技術と詩的表現を融合する一本として、このモデルは未来の時計観にひとつの指標を示すかもしれません。
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