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フェンディが新たに示すハイジュエリーのかたち、「オー ダルティフィス」誕生

水が彫刻されるという発想があるとすれば、それをジュエリーで体現したのがフェンディの「オー ダルティフィス」かもしれません。2025年、創業100周年の節目に生まれたこのコレクションは、ローマの噴水文化や前衛映画の詩情を引き継ぎながら、ラグジュアリーの新たな輪郭を描いています。構築的でありながらも流動的、色彩に富みながらも静謐。装うという行為を詩的体験にまで昇華させるその造形は、ファッションの枠を超えてアートの領域へと踏み込むもの。感度の高い現代女性にとって、それは“自己表現”を託すための唯一無二のアーカイブとなるでしょう。

フェンディ100周年記念ジュエリーが体現する、流動と光彩の美学

フェンディ(FENDI)は、2025年6月下旬にパリにて、ジュエリー アーティスティック ディレクターを務めるデルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)の手による新作ハイジュエリー「オー ダルティフィス(Eaux d'Artifice)」パリュールを発表しました。このコレクションは、ブランドがファッションだけでなくハイジュエリーという高度な美意識の領域においても、自らの芸術的DNAを深く掘り下げていることを証明するものです。デレトレズのヴィジョンは、アートとジュエリー、そして建築的象徴性が交錯する詩的な構造をもって、今の時代にふさわしい贅沢のかたちを描き出しています。装飾としてのジュエリーを超え、身体にまとう彫刻とも言える存在感を放つこの作品群は、感性の鋭い女性たちに新たな“纏うアート”の価値を提案するでしょう。

フェンディが新たに示すラグジュアリーのかたち、「オー ダルティフィス」誕生ブランド創立100周年を迎える節目にあたり、フェンディはローマという都市に込められた記憶と思想に深く向き合いました。古代の文明が形づくった噴水と水路のネットワーク、つまり都市の生命線ともいえるインフラが、このコレクションの出発点です。デルフィナ・デレトレズは、ローマの地下水道網から引かれた水が街や郊外の庭園を潤す営みにインスピレーションを得て、歴史と自然が調和する風景をジュエリーとして再構築しました。例えば、トレビの泉の荘厳さやティヴォリのヴィッラ・デステに見られるニンファエウムの幻想的な美を、造形に昇華させています。単なる記念コレクションにとどまらず、ローマという都市が持つ文化的記憶と、フェンディが継承してきた美意識とを繋ぐ試みがここに息づいています。

フェンディ100周年記念ジュエリーが体現する、流動と光彩の美学「オー ダルティフィス」には、3種類のパリュールと3点のカクテルリング、さらに100周年を象徴するネックレスという、合計7点から成る中心的ピースが展開されます。いずれもパリのハイジュエリーアトリエにて熟練の職人によって制作されたもので、厳選された宝石やダイヤモンドによるモノクロームの輝きが特徴です。その無彩色でありながらも複層的な表現は、静かに語りかけるような奥行きをもたらし、視覚的にも触覚的にも豊かな印象を与えます。建築的な構造美と繊細な装飾性が同居するその造形は、フェンディが培ってきたファッションの構築美と呼応し、ジュエリーであってジュエリーにとどまらない力強い造形言語を放っています。

芸術と建築が融合する、フェンディの2025年ハイジュエリーが紡ぐ“水の記譜法”コレクション名の由来である「オー ダルティフィス」は、1954年にケネス・アンガーが制作した同名の短編映像作品にインスピレーションを得ています。デルフィナはこの作品と対話を交わすように、イタリアの古典美とアメリカの前衛芸術とのあいだに、ある種の緊張感を構築しています。アンガーの映画は、ヴィッラ・デステの噴水を舞台に夜間撮影されており、その水が放つ光や動き、ミューズの存在感が幻想的な世界を描き出しています。デレトレズはこの映像美をジュエリーの構成要素として取り入れ、柔らかく流れるようなフォルムと幾何学的で壮麗な構造を重ね、フェンディならではの神秘的かつ建築的なフェミニニティを象徴化しています。つまりこのジュエリーは、古典と現代、流動性と構造、感覚と理性とを横断する、フェンディならではの哲学の結晶です。

フェンディが発表した2025年新作ハイジュエリー「オー ダルティフィス」全体として、このコレクションが描くのは、水の持つ変幻自在な性質そのものです。透明なブルーからはじまり、黄昏の空に染まる色彩、祝祭の高揚を表す花火の光彩、草花の咲き誇り、そして苔むす石の陰影まで、水という自然のエレメントが持つ表情が、宝石の色と輝きによって物語られています。素材には、モザンビーク産ルビーやコロンビア産エメラルドをはじめとする、鮮烈な色調と個性を持ったジェムストーンが選ばれており、それらが描き出すのは、まるでローマの庭園に溶け込む四季の移ろいです。ここで表現されているのは、単なる自然の模倣ではなく、記憶に残る風景を再構築する詩的アプローチ。伝統を受け継ぎながらも、揺るぎない新しさを提示するフェンディの姿勢は、アートを愛する成熟した世代の女性たちに響く静かな強さを秘めています。

フェンディが100周年記念に放つ「オー ダルティフィス」は、都市と水と記憶が交差する珠玉のコレクションこの壮麗なコレクションを象徴する存在として登場するのが、「フェンディ オー ダルティフィス」100周年記念ネックレスです。シンメトリーの美を極めたスケード構造の中央には、20.25カラットという圧倒的な存在感を持つファンシーヴィヴィッド・イエローダイヤモンドが鎮座。そのクッションカットは視線を吸い込むような深みを持ち、周囲にはラウンドカットとバゲットカットのホワイトダイヤモンドが、水の落下を連想させるアーチ状に配置されています。さらに100石のペアシェイプ・イエローダイヤモンドが、デコルテにきらめく光のシャワーを描き、フェンディが歩んだ100年を、まるで宝石に託した詩として結晶化させています。これは記念品であると同時に、ブランドの哲学と技術を凝縮した彫刻作品でもあります。

フェンディが放つ“水のジュエリー”、100年の記憶を繊細に刻む「オー ダルティフィス」「チェント(Chento)」セットは、シンメトリーのさらなる探求から生まれたコレクションであり、しなやかさと構築性が絶妙なバランスで共存しています。ブルーのクッションカットサファイアがペアで用いられ、その深い輝きは水面に浮かぶ油膜のように、妖艶なニュアンスを加えています。ネックレスとブレスレットには、ホワイトダイヤモンドがバゲットカットとラウンドカットで配置され、ダイナミックなドロップモチーフが連なります。波紋のように揺らぐイヤリングには着脱式の“翼”が付き、耳元を取り囲むイヤーカフは、空中に凍結された水の粒子のように構成され、ジュエリーが持つ彫刻性と詩情の双方を体現しています。着用することで生まれる動きまでもデザインの一部として取り込むこのシリーズは、身体そのものを演出する芸術といえるでしょう。

建築と詩情が交差する、フェンディ「オー ダルティフィス」ハイジュエリーの真髄「オバート(Ovato)」セットでは、透明度の高いクッションカットのサンタマリアアクアマリンが、印象的な青緑色を湛えながら存在感を放ちます。ブレスレットとカクテルリングに用いられたこの宝石は、フェンディの象徴「FF」ロゴをかたどったチェーンとともに、ホワイトダイヤモンドとパライバトルマリンによるパヴェセッティングで囲まれています。そこには、噴水が見せる水の揺らぎや繰り返す跳ね返りの動きが反映され、見る者に水の呼吸を想起させるリズムが刻まれています。このジュエリーは、色彩と構造によって静謐なエネルギーを描き出す、ミニマルでありながら情感あふれる仕上がりです。

フェンディ新作ハイジュエリー「オー ダルティフィス」、水と記憶の交差点を描く「フォルトゥナ(Fortuna)」ネックレスは、ルビーとダイヤモンドによる螺旋的な構成が特徴で、装飾の動きに物語性を吹き込むような造形となっています。右肩から首元を囲むように16個のクッションカットルビーが配置され、その流れは噴水の吐水口から放たれる水流のような躍動感を表現。ペアで構成されたイヤーカフには、耳のカーブに沿って4つのルビーが配され、ダイヤモンドのパヴェが重なることで永続的な水の流れの印象を残します。さらに、3層構造のルビーリングは、巻きつくようなデザインに加えて、中央のバンドが着脱可能となっており、シーンに応じた装いの変化を可能にします。これはまさに、構築的ジュエリーが持つ“変化する彫刻”という現代的視点を提示している好例です。

時間と感情をまとうジュエリー、フェンディが描いた“動く彫刻”という美の提案コレクターズリングの3部作は、ローマの夕暮れに浮かぶ噴水のプールにきらめく光彩をモチーフに構成されています。「アルバ(Alba)」では、クッションカットのオレンジトパーズがピンクサファイアとオレンジガーネットに囲まれ、華やかさと奥行きを兼ね備えた色彩が躍動。「カルミナ(Carmina)」は、片側に配されたピンクスピネルがバランスに緊張感を与え、あえて不均一な設計により視覚的リズムを強調しています。そして「エスペリディ(Esperidi)」は、太陽を思わせるイエローサファイアがホワイトとイエローダイヤモンドに縁取られ、明度と輝度のバランスで造形美を際立たせています。3点ともに「FF」ロゴをベースとした渦巻き構造が採用されており、ブランドのアイデンティティと現代彫刻的アプローチが見事に融合しています。

ローマの噴水が語る物語、フェンディ100周年の輝きを刻むハイジュエリー誕生




          

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