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【ブランド解説】オメガ編

●フロンティア・スピリッツに溢れた名機揃い

 深海や月面といった極地、五輪での公式時計など常に時代を切り拓く存在であり実現してきた名機。頂点を極めてもなお追求し時計業界を牽引し続けるオメガのイノベーションを探っていく。

  1848年に時計技師のルイ・ブランがスイスのラ・ショー・ド・フォンに設立した小さな時計組み立て工房が、数々の伝説を作り上げるオメガの始まり。オメガは時代の流れを読み、手作りだった機械式時計の生産工程に機械を導入することで生産の効率化を図り、1880年にムーブメントの細かなパーツからダイヤルやケースまでの設計・製造を自社で一貫して行うマニファクチュールに成長。1885年にはレバー脱進機を搭載したムーブ「ラブラドール」のヒットにより時計業界での確固たる地位を築くまでになる。その後も高い技術力により多くのムーブを開発し続け1894年、当時としては従来の常識を変えてしまうほど画期的な、微調整装置による高精度を実現したキャリバー19を発表。これは究極の時計という自負から、ギリシャ語の最後の文字で“究極”を意味する「Ω(オメガ)」とネーミングされ、ブランド名として採用されることになり、1903年には社名を「ルイ・ブラン&フレールSAオメガ時計会社」に変更している。ちなみに、このキャリバー19は1896年のスイス国際見本市で金賞を受賞したほか、数多くの栄誉に輝いており、このことからも如何に高精度で優秀であったかを窺い知る事ができる。1957年からはニューヨーク国際ダイヤモンド・アカデミー賞に3度輝き、1964年には時計ブランドとしては世界で初めてこの協会の正式会員に認定されている。1970年からはその年の最も優秀なデザインの時計に贈られるバーデン・バーデン市ゴールデン・ローズ賞を6度も受賞しており、デザインにおいても世界的に高く評価されていることを証明。これによってメカニズム的にもデザインにおいても全ての面で完成度が高く、自他共に認める傑作として、一流時計ブランドとして知名度を上げている。

 20世紀を迎える頃には世界トップクラスの時計ブランドとして成長していたオメガだが、その後の躍進からも目が離せない。軍用時計の開発により更に技術力に磨きを掛けたオメガは、1932年のロサンゼルス大会から一昨年のロンドン大会までオリンピックの公式時計を25回も担当している。1948年には後にジャック・マイヨールが101mの潜水記録達成時に使っていた腕時計として知られる“シーマスター”が、1957年にはシーマスターからの派生モデルとしてクロノグラフ“スピードマスター”が発表され、ここに今日に踏襲されるオメガの2大スポーツラインが誕生。特に名機として語り継がれるのはスピードマスターで1965年に過酷な選定テストで知られるNASA(アメリカ航空宇宙局)の公式時計として採用され、1969年には人類初の月面着陸を果たした時計として歴史に名が刻まれた。

さらに1952年に天文台が行う精度コンクールで何度も優秀な成績を収めた星座の意味を持つ“コンステレーション”を、1967年にはシーマスターからの派生として街・都会の意味を持つドレス系“デ・ヴィル”をリリース。そして1999年にコーアクシャル脱進機の実用化に成功して精度と耐久性が飛躍的に向上。2007年には30年振りの自社設計ムーブCal.8500にもコーアクシャル機構を搭載して話題を呼ぶ。数々の伝説を残しながらも更なるオメガ(究極)を目指して進化を続けている。現在はティソやラドーなどを傘下に抱えるスウォッチ・グループに属している。

オメガ公式サイト https://www.omegawatches.jp/ja/

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