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【ブランド解説】ディオール編

●フランスを代表する世界的なファッションブランド

 名だたるデザイナーが携わってきたフランスを代表する世界的なファッションブランド。「モードの王」の異名を持つクリスチャン・ディオールの成功への軌跡を歴史を紐解きながら振り返ってみたい。

 フランスはノルマンディー地方の裕福な実業家の家に生まれたクリスチャン・ディオールは、大学卒業後に画廊を開設するが1930年代の恐慌の煽りを受けて職を失ってしまう。この時に友人からデッサンを習い、帽子のデッサンが好評を博したことを機に服飾デザイナーを志し、ロゲール・ピゲに見込まれてモード界に入ったのが1938年のこと。そして1946年、40歳の時に当時「コットン王」と呼ばれていたマルセル・ブサックの援助を受け、パリ・モンテニュー通り30番地に「クリスチャン・ディオール・オートクチュール・メゾン」をオープンして長年の夢を叶える。その際にディオールがブサックに会いに行く途中で道に落ちていた星型をしていた馬車の部品に躓き、それを拾ってポケットに入れたままメゾン設立の夢を語ったことから星がディオールのラッキーモチーフになったと言われている。1947年のデビューコレクションでコロール(花冠)ラインを発表し話題をさらう。丸みを帯びた肩と胸、細くくびれたウエスト、布を贅沢にペチコートで膨らませたラインが足元まで伸びるロングスカートドレスは、女性らしさを引き出す華麗なスタイルを表現するものでモード界の歴史を変えるほどの衝撃的なデビューとなった。雑誌「ハーパース・バザー」の編集長がディオールの作品を“ニュールック”と表現したことから更なる注目を集め、48年のジグザグライン、50年にバーティカルライン、51年はオーバルライン、52年にシニュアスライン、53年にはチューリップライン、それ以降もHラインにAライン、アローラインなど次々と新しいシルエットを提案して50年代ファッションをリードするとともに「モードの王」としてパリ・オートクチュール界の頂点に君臨していた。

 また1948年に香水部門の「パルファン・クリスチャン・ディオール」を設立し、アメリカに「クリスチャン・ディオール・ニューヨーク」という別会社を作って他ブランドに先駆けてライセンス生産を開始している。ストッキングから始まりネクタイ、下着、アクセサリーへと拡大していき80年代後半には200を超えるライセンスを抱えていた。さらにディオールがデザインしたドレスをオートクチュールだけでなくプレタポルテとしてアメリカで製造・販売を開始するなど、ファッションを芸術だけでなくビジネスとしても成功させている。

 1957年に53歳の若さで他界したクリスチャン・ディオールの後継者として選ばれたのは若干21歳のイヴ・サンローラン。確立されたメゾンの高度な技術に独創性を加えるなどして支持を得るがアルジェリア戦争に徴兵されたため、1960年からマルク・ボアンがデザインを担当。その後も1989年からジャンフランコ・フェレ、1997年からはジョン・ガリアーノがデザイナーとして活躍し、2012年からはラフ・シモンズがアーティスティック・ディレクターに就任。この錚々たる顔ぶれのデザイナー達によってディオールの伝統的な上品で繊細な女性らしいシルエットにモダンの要素を盛り込まれ、新たにトレンドセッターとして生まれ変わっている。一見すると順風満帆に思えるが、この間も決して思い通りではなく70年代から経営危機に陥り事業縮小を余儀なくされた。しかし、1984年にベルナール・アルノーが経営を引き継ぐことでブランドを再興させる。現在もディオールはフランスを代表するラグジュアリーブランドでありウェアからバッグや小物、アクセサリー、コスメティックまで展開して多くのファンに愛されている。

ディオール公式サイト https://www.dior.com/ja_jp

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