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【ブランド解説】パテックフィリップ編

●スイスでも別格的な存在として知られる老舗名門ブランド

 世界最高の時計を作ることを目指し、時計を芸術の域にまで高めたパテックフィリップ。スイスでも別格的な存在として知られる老舗名門ブランドが具現化した最高峰ウォッチを歴史と共に振り返ってみたい。

 ポーランドからの亡命貴族アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックは新天地となるスイスのジュネーブで時計産業の活況を目の当たりにし、時計師のフランソワ・チャペックと共に1839年、「パテック・チャペック社」という時計会社を創立。そして1844年のパリ万博でリューズ巻き上げ方式のポケットウォッチを出品していたジャン-アンドリアン・フィリップと出会い、チャペックの後任として迎え入れる。それまでのフィリップは様々な画期的なアイデアを持ちながらも、それを形に出来ずにいた不遇の天才時計師と言われていたがパテックと製作を行うことにより才能が一気に開花し、1845年にはミニットリピーター付きの懐中時計を開発。1851年に正式な事業パートナーとなり社名も二人の名前を冠した「Patec&Philippe Cie」に変更。ちなみにチャペックは1845年に離脱している。1851年に開催されたロンドン万博では出展した懐中時計が金賞を受賞し、ヴィクトリア女王からもオーダーされたと言う。さらにパテックフィリップの気品を重んじた優美なデザインの懐中時計の愛用者にはキュリー婦人やアインシュタイン、音楽家のワグナーや作家のトルストイといった名だたる科学者や一流の芸術家たちの名前が挙げられる。

現在の腕時計では一般的に使われているゼンマイの巻き上げとリューズで行う針合わせ(時刻合わせ)機構の発明者であるフィリップは、時計を飛躍的に進化させ次々と傑作を世に送り出す。1868年にスイスで初めて腕時計を製作し、1889年には懐中時計用パーペチュアルカレンダー機構で特許を取得。20世紀に入り生産の中心が腕時計へと切り替わりってもスプリットセコンド・クロノグラフやパーペチュアルカレンダーを搭載したモデルをいち早く発表している。そんな中で特筆すべきが、今日ではモダンでクラシカルなドレスウォッチの定番として人気を博しているカラトラバの初代モデル誕生で1932年のこと。シンプルな機能美を追求してラウンドケースが採用され、文字盤も立体的なバーインデックスと太いドーフィン針を組み合わせた簡素なものだからこそ、時刻を知らせる最も重要な機能に特化している。細部まで緻密に計算され高い完成度を誇っていたカラトラバのデザインは、戦後になって様々な時計メーカーの紳士用ドレスウォッチに影響を与えている。自身にとってもブランドを代表する不朽の名作であり、今なおオリジナルデザイン踏襲するべく現代モデルが作り続けられている。また1933年には24もの機能が搭載された最も複雑な懐中時計となるグレーブス・ウォッチを製作。これは1989年に創業150周年を記念して手掛けた33の機構を搭載するキャリバー89が誕生するまでの86年に渡って世界一の複雑時計として存在していた。いずれにせよパテックフィリップの伝統的な時計技術の集大成と言えよう。

 パテックフィリップが優れている点は徹底した品質管理にもあり、2009年からはジュネーブ・シールをより厳格化した自社規準の「パテックフィリップ・シール」を設けて精度や仕上げ、アフターサービスに至るまで徹底したチェックを行っており、100年以上前のモデルであっても修理すると公言している。パテックフィリップが時計史に残した功績は計り知れず、今なおジュネーブ屈指の老舗にして名実共に世界最高のスイス高級時計と評されるのは、惜しみなく時間を費やして丹念な手作業によって完成する精度、芸術的なまでの高い品質ゆえ。時計コレクターが最終的に行き着くブランドとも言われる所以が良く分かる。

パテックフィリップ公式サイト https://www.patek.com/ja/

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