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フェラガモ 1920年代の解放を現代に紡ぐ、2026年秋冬コレクションの全貌を公開

ファッションとは、時に時空を超えた対話であり、過去の記憶を現代の肌感覚へと翻訳する作業でもあります。フェラガモが今シーズン提示したのは、創業期である1920年代の熱狂と、海を渡り新天地を目指した人々の力強いエナジーが溶け合う、極めて私的で叙情的な物語。クリエイティブ・ディレクター、マクシミリアン・デイヴィスは、メゾンのアーカイヴを単に踏襲するのではなく、彼自身のルーツとサルヴァトーレ・フェラガモの歩みを重ね合わせ、未知なる航路を切り拓きました。歴史の重層的な美しさを纏いながら、現代的なシャープさを失わないそのクリエイションは、私たちに装うことの真の意味を問いかけてくるようです。

メゾンに脈々と流れる独自の対話を通して、マクシミリアン・デイヴィスは今季、フェラガモの黎明期である1920年代への探求をさらに深めました。2026年秋冬コレクションがスポットを当てるのは、既存の階級やアイデンティティが揺らぎ、鮮やかな解放が生まれる社交場、スピークイージーの世界。夜の帳が下りる頃、その秘密めいた空間へ集った多様な人々が織りなす情景が、デザインのインスピレーション源となっています。

新たな地を求めて海へと漕ぎ出した船乗りたちの装いは、今シーズンの美学を形作る要となっています。「サルヴァトーレの渡米と帰国、そして私の家族がカリブから英国へ移住した経験は、新しい始まりを求めたという点で深く繋がっています」とデイヴィスは振り返ります。こうした歴史的背景を持つ船員服は、フォルムを解体しボタンの位置をずらすといった大胆なアプローチにより、現代的なステータスを纏う一着へと再構築されました。シアリングのフードが目を惹くワークウェア風パーカや、繊細なシフォンを重ねた構築的なノーティカルニットは、機能美と詩的な感性が融合した、今の気分に寄り添う仕上がりと感じられます。

ワークウェアの力強さと並走するように、当時の夜を彩ったイブニングウェアの官能的な空気感も色濃く反映されています。箔加工が施されたベルベットラメや、フローラルジャカードを纏ったスリップドレスは、纏う人の所作を優雅に引き立てるでしょう。また、クチュールを思わせる繭のようなアウターウェアやボリューム感のあるドレープは、スピークイージーの自由な精神を現代に蘇らせています。実用性とドレスアップの要素が自然に溶け合う構成は、多忙な日常と華やかな社交を往来する現代の人々にとって、心強い伴走者となりそうです。

キュビズムやシュルレアリスムのアートを思わせる色彩設計は、まるで歴史という名の霞を通したような、奥行きのある陰影を湛えています。ガーメントダイを施したオーガニックコットンやエアロスプレーで加工されたキルティングレザーは、時間の経過を視覚化したような深みのあるトーンが魅力。「かつての鮮やかさを今の視点で翻訳することを目指した」というデイヴィスの言葉通り、磨き上げられたガンチーニの輝きが、過去と未来を繋ぐ洗練されたアクセントとして機能しています。

サルヴァトーレ・フェラガモが1950年代に確立した革新的な技巧は、今シーズンのフットウェアにも息づいています。足を包み込むシェルソールの構造を応用し、ウェッジヒールと融合させた曲線的なサンダルは、歩く姿そのものを美しく整える要となるでしょう。また、1954年のアーカイヴに着想を得たポインテッドスティレットやスリングバックには、船員服を思わせるカラーブロックや煌びやかな装飾が施され、足元にモダンなリズムを刻みます。

メンズの足元を彩るのは、フォーマルな伝統を現代的なプロポーションで鮮やかにアップデートしたオックスフォードシューズです。細身のシルエットやエプロンステッチが施されたトゥは、クラシックでありながら極めて現代的な表情を見せてくれます。さらに、象徴的なハグクロージャーを備えたモンクストラップやミニマルなブーティの展開は、洗練されたビジネススタイルを求める方にとって、ワードローブに欠かせない主力となるに違いありません。

装いの完成度を高めるアクセサリーラインには、新型のスリムなバッグが3サイズで加わりました。ガンチーニのプレートが端正な表情を添えるこの新作は、日常のあらゆるシーンをスマートに演出します。また、横長のシルエットが特徴的なイーストウエスト型のハグバッグからも新たなカラーが登場。メゾンの個性が凝縮されたこれらのアイテムは、手に取るたびに自信を与えてくれる、時代を超えた名品へと成長しそうです。

男性たちの実用性を考慮したラインナップでは、機能的なポケットを備えたクロスボディバッグや、精緻な編み込みカーフレザーが美しいハグポーチが目を惹きます。こうしたディテールへのこだわりは、単なる利便性を超え、所有する喜びを感じさせるもの。クラフトマンシップへの深い敬意が感じられるバッグたちは、アクティブに活躍する現代の男性にとって、日々の装いを格上げする頼れる味方になるでしょう。

 
【Youtube:フェラガモ 2026年秋冬の投稿が表示されます】


【Editor's View】
今シーズンのフェラガモが描いたのは、記憶と革新が静かに共鳴する、極めて成熟した世界観です。マクシミリアン・デイヴィスがメゾンの創業者と自身のルーツを重ね合わせた背景を知ると、一見シャープなピースの一つひとつに、温かな人間味や旅情が宿っていることに気づかされます。特に、船員服という実用的なモチーフを、シアリングやニードルパンチといった高度な素材使いでエディトリアルな一着へと昇華させた手腕は見事。歴史の霞を感じさせるエアロスプレーの色彩や、アーカイヴを現代的に解釈したフットウェアのフォルムは、トレンドを追うだけではない、自分自身のスタイルを確立したいと願う大人たちの感性に深く寄り添うはずです。過去を慈しみながら未来を見据えるその姿勢が、今を生きる私たちのワードローブに新たな品格をもたらしてくれるでしょう。

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