2025.10.03
カテゴリ: コレクション
MCMが描く動きの芸術、新たなクリエーションがミラノに登場
時にファッションは、思想や文化の深層と対話するための装置となります。今回MCMがミラノファッションウィークで発表した2026年春夏コレクションは、まさにそんな哲学的アプローチの一例でした。テコンドーの持つ精神性、敬意、制御、調和をベースに据え、動きそのものをラグジュアリーへと昇華させたこの発表は、ブランドが迎える50周年に向けた力強いステートメントでもあります。視覚・空間・身体のあらゆるレベルで展開されたプレゼンテーションは、静かな躍動感に満ちていました。
MCMは、2026年に迎えるブランド創立50周年を前に、新たなビジョンを明確に提示しました。今回のミラノファッションウィークでは、テコンドーの哲学、動きと調和の美学にインスパイアされたコレクションを披露。「制御」「敬意」「流れ」といった武道の精神を、デザインや演出に溶け込ませた本発表は、会場となったCasa degli Artistiを物語の空間へと変化させ、MCMのラグジュアリー観を再定義する試みとして注目を集めました。
今季のクリエーションは、MCMが根幹に据えるクラフツマンシップと革新性を出発点に、武道の持つ均衡感と、宇宙的ともいえる想像力の融合に挑戦しています。テコンドーの規律と、メゾンの創造性との重なりから生まれたこのコレクションは、“自由”と“変容”をキーワードに構成されており、チーフ・ブランド・オフィサーであるダーク・ショーンベルガーが手がけた唯一無二の世界観が貫かれています。
鮮やかなブルーのテコンドーの結びを構造に取り入れたミニドレス。
ベスト、シャツ、プリーツバルーントラウザーで構成された“禅”の精神を感じさせるユニフォーム。
キルティングのボンバージャケットにシャープなショルダーと絞られたウエストを合わせたルック。
武道の帯を縫い合わせて仕立てた白いボクシージャケット。
師範の威厳を漂わせるダブルブレストブレザーは武道の結びで留め、ワイドトラウザーと組み合わせて流麗さを強調。
ダーク・ショーンベルガー は次のように語ります。
「再びミラノに戻り、“動き”をテーマにしたコレクションを発表できることに大きな意味を感じています」とショーンベルガー氏は語ります。「今回取り上げた“動き”とは、身体の運動性だけでなく、文化的背景や感情の変化まで含むもの。テコンドーの規律や流れから着想を得て、私たちは“動きがどのようにアイデンティティを形づくるか”を問いかけました」。その探求の成果として、すべてのピースにはバランスと敬意、そしてダイナミズムが込められています。
会場に選ばれたCasa degli Artistiは、「MCM: THE ART OF MOTION」というコンセプトのもと、体験型のインスタレーションと多層的なストーリーテリングによって、まるで“デザイン道場”のような空間に生まれ変わりました。中心には、Capsa StudioとのコラボレーションによるテコンドーをテーマにしたAIホログラムが登場し、ブランドの革新性を象徴的に表現。さらに、2026年春夏コレクションから厳選されたレザーグッズも展示され、MCMが進む次なる章の幕開けを静かに物語っていました。
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メール:
contact.jp@mcmworldwide.com
ウェブサイト:
www.mcmworldwide.com
公式SNS:
@MCMWORLDWIDE
【Editor's View】
MCMが描いた今回のビジョンは、ブランド創立50周年という節目にふさわしく、過去の蓄積と未来への可能性を繋ぐ濃密な表現でした。とりわけ注目したいのは、「動き」をキーワードにしながらも、それを単なる身体的要素にとどめず、文化や思想のレイヤーへと拡張した点です。クラシックなラグジュアリーの枠組みを超え、精神性と機能性を併せ持つプロダクトとして昇華させたこのアプローチは、ラグジュアリーファッションの進化の方向性を改めて示しているように感じられます。未来の都市生活者に向けて、躍動感と静けさを同時に宿したこのコレクションは、まさに“今”と“これから”を繋ぐ鍵となるでしょう。
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