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ルイ・ヴィトン 歴史的建築に息吹を与えたモンテナポレオーネ店、ミラノの中心に再誕


長期にわたる修復プロジェクトを経て、ルイ・ヴィトンはミラノの象徴的なモンテナポレオーネ通り2番地に位置する旗艦店を、3年の歳月をかけてついにリニューアルオープンしました。今回の再オープンでは、建物全体のリノベーションに加えて店舗の建築も根本から見直され、まったく新しい姿へと刷新されています。さらに、ダ・ヴィットリオ・レストラン(Da Vittorio Restaurant)グループとの協業により、「ダ・ヴィットリオ・カフェ ルイ・ヴィトン(Da Vittorio Café Louis Vuitton)」、そしてメゾン初のイタリア国内レストランコンセプト「DaV by ダ・ヴィットリオ ルイ・ヴィトン(DaV by Da Vittorio Louis Vuitton)」の2店舗が店内に誕生しました。

2025年4月4日に新装オープンしたこのルイ・ヴィトン モンテナポレオーネ通り店は、ミラノを訪れる旅行者だけでなく、地域に暮らす人々にとっても魅力的な訪問先となる存在です。文化を尊重し継承していく姿勢を体現することで、ルイ・ヴィトンはメゾンとしての文化的な地位をより一層確かなものにしています。

ルイ·ヴィトンとミラノ:伝統と革命

ミラノの中心、モンテナポレオーネ通りにおいて、ルイ・ヴィトンは街の歴史や伝統、そしてロンバルディア州の建築遺産に対する深い敬意を示しています。メゾンがミラノに進出して以来、フランスのサヴォアフェール(匠の技)が持つ洗練された美意識は、イタリアならではの高品質なクラフツマンシップや地域特有のテイストと絶妙に調和し、その融合から生まれる創造性が、いまなおラグジュアリー業界全体のインスピレーション源となり続けています。

新たに生まれ変わったモンテナポレオーネ通り店の空間におけるあらゆる細部が、ルイ・ヴィトンとイタリアの間に築かれた深い絆を物語っています。

ルイ·ヴィトン – ミラノの拠点

通りの入り口にたたずむ後期新古典主義建築の名残をとどめるパラッツォ・タヴェルナは、イオニア式の柱と彫刻を特徴とする印象的なファサードが際立ちます。この建物は、建築家フェルディナンド・アルベルトッリ(Ferdinando Albertolli)によって1835年に設計され、当時の貴族の暮らしぶりを今に伝えています。現在では、世界的なファッションの都ミラノを象徴する建造物のひとつとして、その存在感を放ち続けています。

重厚な歴史の趣を色濃く残すメインエントランスには、構造装飾によって縁取られたアーチ型の扉が設けられています。ミラノの伝統的な建築様式に沿って温かみのある落ち着いたトーンで仕上げられた扉をくぐると、より高くなった天井が広がる開放的な空間が現れます。店舗の中心には、典型的なミラノの邸宅建築に見られる中庭が配置され、その周囲を取り囲む長いバルコニーには植栽が優雅に垂れ下がっています。さらに、天井部分にはガラス製の天窓が施され、時間帯によって変化する光の角度とジャスミンの葉が交差し、まるで絵画のような幻想的な情景が描き出されています。

建築全体の監修を担ったのは建築家ピーター・マリノです。改装後の店舗は、以前と比べて床面積がおよそ2倍に拡張され、使用される素材からディテールに至るまで、洗練された美が隅々にまで感じられる空間に仕上がっています。使用されたすべての石材は、ロンバルディア州内の工房で加工されたものであり、ジャッロ・ディ・シエナ(Giallo di Siena)をはじめとするこの地方伝統の石材15種類が用いられ、地元の素材と技術への敬意が込められています。

2階に続く階段には、ピエロ・ポルタルッピ(Piero Portaluppi)が設計したネッキ・カンピリオ邸(Villa Necchi Campiglio)から着想を得た要素が取り入れられています。ポルタルッピが好んで使用していた暗めの色調にちなんで、3つの階段が連なる吹き抜け空間には、熟練の職人によって漆塗りされた羊皮紙が貼られました。ルイ・ヴィトンではこの伝統的な技法を現代的に再解釈し、より多くの自然光を取り入れながら、アイコニックなダミエ・モチーフにインスパイアされた市松模様をデザインに取り入れています。吊り下げ構造や要石を受けるハーフアーチのディテールに至るまで、階段の随所にはミラノ建築へのこだわりが表現され、パラッツォ・バガッティ・ヴァルセッキ(Palazzo Bagatti Valsecchi)の壮麗な大階段を想起させる構造美が感じられます。

2階にはシューズ専用のエリアが設けられています。この空間の天井は、ミラノの伝統的なエントランスホールから着想を得て、スタッコと漆喰によって構成された直線的な意匠が採用されています。ウィメンズ プレタポルテのための部屋には、ポルタルッピが手掛けた別の建築であるカーザ・コルベッリーニ=ワッセルマン(Casa Corbellini-Wasserman)のデザインエッセンスが反映されています。加えて、アポイントメント制のプライベートサロンでは、アメリカ人アーティストのエリザベット・ガッドマン(Elisabett Gudmann)による、ホワイトからゴールドへとグラデーションを描く金属パネルが壁面を彩ります。

中央アトリウムから階段の吹き抜け空間に至るまで、店舗内のあらゆるエリアにはコンテンポラリーアートが惜しみなく展示されています。そこには、ミンモ・パランディーノ(Mimmo Paladino)、カルラ・アッカルディ(Carla Accardi)、ピーター・ハリー(Peter Halley)、アルフォンゾ・クレリチ(Alfonso Clerici)といった現代を代表するアーティストたちの作品が揃い、空間に芸術的な奥行きを加えています。

ミラノのギャラリーや一流ディーラーから厳選された家具も、空間全体を彩る重要な要素として取り揃えられています。これらはすべて、モダンなデザインを象徴するイタリアらしい佇まいを備え、スタイルと芸術性の双方を兼ね備えた逸品です。

展示されている家具は、歴史的な遺産としての価値を守るために丁寧に修復が施されました。特に注目すべきは、ルチアーノ・フリジェリオ(Luciano Frigerio)が手掛けたデスクや、ジオ・ポンティ(Gio Ponti)、イコ・パリージ(Ico Parisi)、オズヴァルド・ボルサーニ(Osvaldo Borsani)、アンジェロ・マンジャロッティ(Angelo Mangiarotti)らによる名作家具で、それぞれが独自の美意識と時代性を体現しています。

ルイ·ヴィトン – ホーム·コレクション

モンテナポレオーネ通り店の3階フロアでは、「ルイ・ヴィトン ホーム・コレクション」が展開されています。このスペースは、ルイ・ヴィトンとして初めて「デザイン」に特化したストア空間となっており、ミラノデザインウィークで初披露された「シグネチャー・コレクション」をはじめとする5つのカテゴリーのアイテムを、一堂に体験することができます。

店内の常設スペースで紹介されている「オブジェ・ノマド コレクション」では、テキスタイルやクッションといった装飾アイテムが並びます。また、エクセプショナル・ゲームズ専用の広いスペースには、テーブル・フットボール、カードテーブル、バックギャモン、チェス盤などが配置されています。さらに、創業者ルイ・ヴィトンの一族がかつて暮らしていたアニエールの歴史的邸宅(1892年)のダイニングルームを忠実に再現した「Art de la Table(食卓の芸術)」専用のスペースも設けられており、ヴィトン家の個人的なストーリーを感じ取ることができます。

ルイ·ヴィトン - メンズ·ウェア コレクションのスペース

中庭を囲む建物の中央へと戻ると、バルコニーの下に広がる植物の葉の陰に沿って、地階へと続く階段があります。この地下空間では、メンズ・ウェア コレクションが展開されています。改装工事の過程で、19世紀に建てられたパラッツォ・タヴェルナの基礎構造が発見され、交差ボールトや筒型ボールトなど、当時の建築様式が姿を現しました。これらの歴史的要素は、建物の価値を伝える重要な要素として、粘土レンガの修復と保護が行われ、視覚的にもそのまま残されています。

カフェ:ダ·ヴィットリオ·カフェ ルイ·ヴィトン

「ダ・ヴィットリオ・カフェ ルイ・ヴィトン」は、もともとパラッツォ・タヴェルナの中庭だった空間に位置しています。モンテナポレオーネ通りからのアプローチでは、手すりと柱が目印となりますが、店内のメインアトリウムからもアクセスが可能です。この中庭は、ミラノ中心部の建物では珍しい設計でありながら、むしろ郊外のブリアンツァ地方にある邸宅の中庭を思わせる趣があります。天井はガラス張りで覆われ、セシル・ビートン(Cecil Beaton)の古い写真を彷彿とさせるような「温室」が再現されています。床材にはホワイトからブラックへのグラデーションが美しい石材が使用されており、これはマーティン・クライン(Martin Kline)が手掛けたデザインを忠実に再現したアートとして空間を彩っています。

修復された壁面には、元来のアーチ構造がより奥行きをもって再現されています。室内に配されたすべての調度品は、ロンバルディア州の工房で製作されたものであり、テキスタイルに関しては、すべて手描きによる一点ものです。テーブルの間にはナチュラルな雰囲気が漂い、グリーンがふんだんに取り入れられた空間が広がっています。

スギノハカズラとシダ属のキアテア・クーペリが組み合わさった植栽は、通行する人々の動きに反応して、微かな風に揺れる軽やかな葉の動きが印象的です。ポルチコ(柱廊式玄関)の下にあるエントランスの両側には月桂樹の鉢植えが配置され、訪れる人のプライバシーをさりげなく守ります。パラッツォ・タヴェルナのポルチコ上部に立つユスラヤシ(キングパーム)は、この場所の新たな象徴として注目を集めています。店内やカフェに置かれている花瓶はすべてグリーンのテラコッタで作られた特注品であり、木々や花、観葉植物など店内に点在するすべての植栽は、ミラノの景観設計家マルコ・バイ(Marco Bay)が手掛けたものです。

ハイレベルなイタリアン·ガストロノミーの発信基地

「ダ・ヴィットリオ」レストラングループのシェフたちが食の監修を務めており、そのなかにはメゾンの長年の友人でもあるフランス人シェフ、アルノー・ドンケル(Arnaud Donckele)とマキシム・フレデリック(Maxime Frederic)も名を連ねています。両シェフと共に時を過ごしたことにより、現在では彼らもルイ・ヴィトンの美食コミュニティの一員となっています。こうしたシェフ同士の連携によって生まれたコラボレーションは、フランス料理と地元料理との境界を越える絶え間ない対話を促し、メゾンが大切にする価値観を料理という形で伝えています。

カフェで提供されるメニューは、「ラグジュアリー・スナッキング(豪華な間食)」という新たなスタイルを目指して構成されています。ボリューム感のある馴染み深い料理を基盤にしながらも、それに楽しさと洗練された感性を加えることで、食の新しい提案が生み出されています。使用される食材は旬のものを中心に厳選されており、地元や世界各国からの影響を受けて構築されたオリジナルの創作料理が、メニューの中心を成しています。

メニューの中でも特に注目を集めているのが、イタリア流のアレンジが施されたトースト・サンドイッチです。コンフィ、ドライ、フレッシュという3種類のトマトを組み合わせ、モッツァレッラとペストソースとともに、貝殻のようにふっくらと閉じられたトーストブレッドに贅沢に詰め込んでいます。そのほかにも、タラバガニのゴーフレットや、グラナチーズを削って仕上げたカルパッチョ・ビーフなど、独創性に満ちた料理が揃います。

卵を使った料理のバリエーションも豊かで、視覚にも味覚にも訴えかける4種類が提供されています。スクランブルエッグやウズラのポーチドエッグ、サーモン・エッグに加え、ポテトムース、サワークリーム、ソテーしたリンゴのコンポートを添えたキャビアの一皿も用意されています。デザートには、すでにルイ・ヴィトンを象徴する存在となったバニラを主役にした3種類(ブルーバニラ、マダガスカル産バニラ、メキシコ産バニラ)や、ヘーゼルナッツのアントルメ(ダークチョコレート仕様もあり)、トンカビーンズとバニラ風味の季節のフルーツを使ったシャルロットが並びます。さらに、フレッシュな茶葉から抽出した各種ハーブティーも、一日を通して楽しめるようになっています。

レストラン:DAV BY ダ·ヴィットリオ ルイ·ヴィトン

ミラノの人々にとっても特別な歴史を持つバグッタ通り1番地に、イタリアの料理と食文化を発信する拠点として新たなレストランが誕生しました。このレストラン「DaV by ダ・ヴィットリオ ルイ・ヴィトン」は、メゾンであるルイ・ヴィトンと、チェレア・ファミリーとのパートナーシップによって生まれた特別な場所です。

レストランの入り口は、建築家ポルタルッピがデザインしたもので、現代的かつ斬新な意匠に重厚な存在感が備わっています。あらゆる年代のお客様を迎え入れる力強さと歓びに満ちた色彩は、バグッタ通りの都会的で洗練された雰囲気に見事に溶け込んでいます。店内の壁面には、キャサリン・バーンハート(Katherine Bernhardt)によるピンクパンサーがピッツァを手にし、ナイキを身につけたユーモラスなアート作品が展示されており、空間には皮肉なニュアンスが漂います。カルロ・デ・カルリ(Carlo de Carli)のデザインによる椅子や、ルイ・ヴィトンの象徴的なレザーの質感を再現したイロコ材の羽目板など、あらゆる要素が洗練されたデザインとしてまとめられています。

イロコ材の羽目板に施された木目模様は、一本のトンネルのように連なっており、背後に設置された発光パネルからの光を透過させる仕掛けになっています。また、床には星をモチーフとした寄木細工のフローリングが広がり、この木材はすべてロンバルディア州の歴史ある建築から再利用されたものです。皿やグラス、カトラリーといったルイ・ヴィトンの「Art de la Table(食卓の芸術)」に属するアイテムは、新シリーズ「コンステレーション」のカラーであるオレンジとピンクの彩色が施され、食卓に色彩のアクセントを添えています。

旬の食材と絶対的なクオリティ:食の目的地

「カジュアル・ファインダイニング」というコンセプトのもと、2フロアにわたり48席を備えたこのレストランでは、ゲスト同士が互いの料理をシェアするスタイルが推奨されています。ヴェネツィアの伝統的な酒場「バーカロ」にインスパイアされたこのスタイルでは、アンティパストがテーブル中央に提供され、すべてイタリア料理のみで構成されています。ルイ・ヴィトンの世界観を映し出すそのメニューは、ミラノの郷土料理「オッソ・ブーコ」にサフラン風味のリゾットを添え、その黄色いライスをモノグラム・フラワーの形に成形するなど、随所に遊び心が光ります。野菜や果物にも同様の趣向が凝らされています。

レストランの現場で指揮を執るのはエドアルド・ティッツァニーニ(Edoardo Tizzanini)で、シェフたちは自己表現と実験精神を尊重されながら料理に取り組んでいます。ただし、メニューに関する最終的な判断はチェレア・ファミリーが責任を持って行っており、料理の品質と一貫性が保たれています。さらに、ダ・ヴィットリオのスタッフによる温かなホスピタリティは、チェレア・ファミリーが守り続けてきた伝統であり、ルイ・ヴィトンの洗練された美学と深く調和しています。

食材選びにおけるこだわりは、ダ・ヴィットリオの品質基準を象徴しています。例えば、使用されている白い卵は、日中は森で自由に過ごし、夜は外敵から守られた小屋で飼育される、放し飼いの雌鶏によって産まれたものです。ソースに使用されるナポリタン・パッケリ用のトマトは、プーリア産の鉢植え品種やビーフステーキトマト、ヴェスヴィオ産の黄色品種など、季節に応じて異なる品種が用いられます。バターは、ベルガモの山中にある山小屋で手作業により作られたものが採用されています。

素材への徹底したこだわりは、チェレア・ファミリーが創業当初から貫いてきた哲学にほかなりません。イタリアに数多く存在する物語の多くと同様に、すべては家族を起点とする旅路から始まり、今もなおその軌跡を刻み続けているのです。

イタリアの食文化が持つ信頼性、誠実さ、そしてシンプルさこそが、世界中の人々に愛され続けるラグジュアリーの究極の形です。これこそが、ルイ・ヴィトンがミラノ・モンテナポレオーネ通りに新たな旗艦店を構えるにあたり、真に求めていた価値そのものだと言えます。

住所:
LOUIS VUITTON
Via Montenapolone 2
20121 Milano Italy

営業時間 :
月曜-金曜 10:00-20:00
日曜 11:00-19:00

THE DA VITTORIO CAFÉ
LOUIS VUITTON
Via Montenapolone 2

営業時間 :
月曜-金曜 10:00-20:00
日曜 11:00-19:00

DAV BY DA VITTORIO
LOUIS VUITTON
Via Bagutta 1
営業時間 :

月曜-金曜 10:00-20:00
日曜 11:00-19:00

All photos courtesy of LOUIS VUITTON

詳細は、ルイ·ヴィトン 公式サイトhttps://www.louisvuitton.com をご覧ください。







       

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