2025.04.25
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ブルガリ 環境と教育に根ざす新戦略、世界最大級ジュエリー拠点の進化
メイド イン イタリーという価値観に捧げる敬意
ブルガリは、イタリアが誇る金細工の街ヴァレンツァにおいて、サステナビリティ、伝統技術(サヴォアフェール)の継承、そして革新を柱とする独自のエコシステムを大規模に拡張しました。このプロジェクトは2029年までに生産能力を倍増させるという目標のもと進められており、2017年時点と比較してその規模は4倍に拡大されます。また、世代を超えて受け継がれる職人技術への投資を強化し、ブルガリ初となる教育機関「ラ スクオラ ブルガリ」を創設。従業員のみならず、外部から学生を受け入れる体制も整えています。
今回ブルガリがヴァレンツァにて新たに完成させたジュエリーマニュファクチュアリング施設は、単一ブランドによる制作拠点としては世界最大級の規模を誇ります。この施設は、建築設計だけでなく運営面においてもサステナビリティの理念を反映させた模範的な空間となっています。約19,000平方メートルの拡張により、総面積は33,000平方メートルに達しました。「マニファットゥーラ ブルガリ」と名付けられたこの施設では、2029年までに500人以上の新規職人を雇用予定であり、現在および将来のクラフツマンたちに持続的な機会を提供し、メイド イン イタリーの精緻な技術と芸術的精神を継承していきます。
この大規模プロジェクトの中核を成すのがサステナビリティへの取り組みです。施設の拡張部分では再生可能エネルギーの全面的な活用により、実質的なカーボンニュートラルを実現しています。さらに、敷地内には新たに設けられたトレーニング施設「ラ スクオラ ブルガリ」があり、同スクールは従業員以外の一般も受け入れるブルガリ初の教育拠点となります。2017年から稼働している既存の「ブルガリ アカデミー」と連携し、新規採用職人への技術指導を専門的に行います。
「マニファットゥーラ ブルガリ」は、革新、サステナビリティ、そして職人技の伝承というメゾンの信念と、メイド イン イタリーが誇る卓越性をひとつに結集した、他に類のない包括的なエコシステムとして確立されています。
ブルガリ グループのCEO、ジャン-クリストフ・ババンは、「マニファットゥーラ ブルガリ ヴァレンツァは、環境配慮、知識の継承、そして従業員の福祉を融合した生産拠点として、ブランドのビジョンを象徴する存在です」と語ります。今回の完工はブルガリの統合体制における一つの節目であり、制作工程すべてをひとつの施設内で管理・監督することで、継続的な進化と向上を可能にする仕組みを整えました。30を超える国籍を持つ職人が集まるこの施設では、文化を超えた交流が生まれ、それぞれが卓越性を目指す情熱を共有しています。このように、優れた人材と真摯な取り組みが生み出す相乗効果は、互いの成長と貢献によって高め合う、ラグジュアリーへの包括的な姿勢を体現しています。

拡張により生まれ変わった「マニファットゥーラ ブルガリ」
2017年のオープンから8年を経て、拡張計画が発表されてからわずか2年半の間に、マニファットゥーラ ブルガリの従業員数は650人から1,100人へと大幅に増加しました。今後も2029年までに1,600人以上の雇用を目指しており、同時に生産能力も倍増させる計画です。今回の拡張では、2017年に完成した既存施設に隣接して2棟の新たな建物が建設され、ひとつはジュエリー制作専用の建物、もうひとつは「ラ スクオラ ブルガリ」を擁する教育施設として設けられました。これらの建物は外部に設けられた吊り橋で既存施設とつながっており、そのうち1,000平方メートルは教育機関専用として使用される予定です。ブルガリが掲げるクラフツマンシップの継承と卓越性への強い信念が、この設計にも色濃く反映されています。
今回の拡張計画は、原材料の調達から最終的な製品の完成までを一貫して管理するブルガリの垂直統合戦略を具現化するものです。制作の全工程を一拠点で統括することで、技術の伝承をさらに強固なものとし、同時にこの地に根差したジュエリーアートの伝統を未来へと繋げる重要なステップとなります。ハイジュエリーブランドとしてブルガリが担ってきた役割と責任が、このプロジェクトにおいてさらに明確に示されています。
拡張を支えるサステナブルなアプローチ
新たに完成した施設は、サステナブルな設計理念のもとに構築されており、エネルギー効率を最大限に高める工夫が随所に施されています。周辺環境と生物多様性への影響を最小限に抑えるとともに、環境負荷を削減することを目指しています。今回の拡張には、施設のエネルギー需要の約半分をまかなう高効率なシステムが導入されており、残るエネルギーはすべて再生可能資源から供給されています。例えば、深さ200メートルに達する100本の地熱プローブを用いて、冷暖房用におよそ800kWhの熱エネルギーを供給する地熱フィールドが新設されており、全体のカーボンフットプリントを抑制するための先進的な取り組みが反映された施設構成となっています。
再生可能エネルギーの活用は地下にとどまらず、空の領域にも拡大しています。中央の建物の屋上および駐車場エリアには、4,100枚を超えるソーラーパネルが設置されており、積極的に太陽光発電を取り入れています。また、空気処理ユニットによる環境制御や、プラスチック使用を避ける方針、水資源の管理に至るまで、作業環境全体が環境への負荷を最小限に抑えながら最大限の効率性を実現するよう設計されています。


新たに拡張された施設は、既存施設と同様に自然環境と調和するよう設計されており、使用されている建材には革新的な技術と環境負荷の少ない素材が選ばれています。その成果として、この施設はグリーンビルディング認証制度であるLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)のGOLD認証を取得しました。これは、2017年に開業した既存施設と同様に、建築物の持続可能性に対する国際的に最も厳しい評価基準のひとつとされています。
「マニファットゥーラ ブルガリ」では、企業としての社会的責任を果たす姿勢をさらに強化し、環境保全や原材料の流通管理においても新たなスタンダードを構築しています。2022年1月以降、ブルガリはすべてのジュエリー制作において、RJC(責任あるジュエリー協議会)の定めるCoC認証を受けたゴールドのみを使用しています。この基準の完全な遵守により、ブルガリは業界で初めて全製品に認証済みゴールドのみを使用するジュエリーブランドとなりました。
さらにブルガリは、敷地内だけにとどまらない環境への配慮として、地域社会と協力した植林プロジェクトを展開しています。ポー・オルバ川公園管理局との連携のもと、敷地外の8,000平方メートルのエリアに在来種の樹木を植える取り組みを実施。また、従業員や地域住民の憩いの場となる空間を整備するほか、約100万匹のミツバチを育てるための10基の巣箱を設置するプロジェクトも、地元の養蜂家と連携して進められています。
マニファットゥーラ ブルガリでは、素材の調達から職場の安全管理、環境への配慮に至るまで、RJCやISOなど国際的に認められた基準に基づく認証を取得し、高水準を維持しています。これに加え、従業員の健康と働きやすさを重視したウェルビーイングプログラムも導入されており、健康診断の提供や子ども向けサマーキャンプ、企業内コンシェルジュの設置、環境に優しい移動手段を促す施策など、多角的な取り組みを通じて、実務的および環境的メリットを両立しています。
伝統とこれから
このたびの拡張により、ブルガリ初となる一般向け教育施設「ラ スクオラ ブルガリ」が施設内に開設されます。このセンターでは、金細工技術や顕微鏡を用いた宝石のセッティングといった高度な専門知識を学べるプログラムが提供されます。教育カリキュラムは、イタリア・マルチャニーゼにある著名な金細工師育成機関TADS(タリ デザイン スクール)と提携して開発され、卓越したジュエリー製作に必要なスキルを一から学ぶことが可能です。伝統的技法を継承しつつ、最先端の技術と融合させた学びの場を提供します。
この教育センターは、ジュエリーの製作現場に併設された初の学校であり、既存施設と新設建物の間に設置されています。この配置は、過去の知識と未来の職人とをつなぐ象徴的な橋渡しとも言える存在です。一方、社内教育機関である「ブルガリ アカデミー」は、新入職人向けに特化した専門技術プログラムを展開し、ブランドの精緻なクラフツマンシップを体現するスキル習得に特化しています。ブルガリはこの両校の相互作用によって、金細工の伝統を未来へと継承し続ける取り組みを強化しています。
ブルガリのジュエリー事業本部マネージング ディレクターであるコリンヌ・ル・フォル氏は、次のように述べています。「ブルガリの根幹をなす伝統工芸の保護と発展は、ブランドのアイデンティティを守るために欠かせない要素です。『ラ スクオラ ブルガリ』では、学生たちが熟練した職人や学術的な専門家、業界で実績を積んだプロフェッショナルから直接指導を受けることができます。このプログラムはイタリア教育省の認定を受け、ヨーロッパ基準に準拠しており、若き才能にブルガリの世界で専門性を高める機会を提供します。2017年設立の『ブルガリ アカデミー』とともに、この新たな教育戦略は、メイド イン イタリーの創造力と芸術性に対する象徴的な投資となっています」。
お問い合わせ先:ブルガリ・ジャパン
0120-030-142
https://www.bulgari.com/ja-jp/
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