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ヴァン クリーフ&アーペル ヘリテージの軌跡が輝く舞台「TEFAF 2025」に出展

ネックレス、1955年 プラチナ、ターコイズ、ダイヤモンド(ヘリテージ コレクション)


ヴァン クリーフ&アーペルは、オランダ・マーストリヒトにて開催されるアートとアンティークの祭典「TEFAF(The European Fine Art Foundation)」に過去12年間継続して参加してきました。この見本市は国際的なアートシーンにおける最高峰のイベントのひとつとされ、世界中から愛好家やコレクター、公的・私的な文化機関の関係者が集う場としても広く知られています。

2025年3月13日から20日までの開催となった今回のTEFAFにおいて、ヴァン クリーフ&アーペルは、著名アーティストによる絵画や骨董品、装飾美術と並び、約30点のヘリテージ コレクションを出展しました。展示された作品は購入も可能で、いずれもメゾンの美学を象徴するものであり、ジュエリー制作の進化と20世紀装飾美術におけるヴァン クリーフ&アーペルの貢献を物語る内容となっています。

ヘリテージ コレクション

ヘリテージ コレクションは、1920年代から1990年代にかけて制作されたヴァン クリーフ&アーペルの歴代作品を集めたアンサンブルとして2007年に誕生しました。現在では、ジュエリーやハイジュエリー、希少なオブジェを含む約150点を揃えており、すべて購入可能です。これらはメゾンが所有する展示専用のパトリモニー コレクションとは異なる性質を持ち、後者は世界各地での展覧会出品のために保存・管理されています。

「TEFAFのような格式あるイベントへの参加は、ヴァン クリーフ&アーペルが長年追求してきた芸術的アプローチの延長線にあります。メゾンのジュエリーは、ジャンルを越えた美術作品との対話を通じて、20世紀における連続的な芸術の潮流を映し出し、同時にそのクリエイティビティを証明する存在でもあるのです」とメゾンは語ります。

アレクサンドリーヌ・マヴィエル=ソネ

ヴァン クリーフ&アーペル パトリモニー&エキシビション ディレクター

「今回TEFAFで展示されたヘリテージ コレクションの数々は、1920年代から1990年代にかけて展開されてきたメゾンのスタイルの変遷を辿るものであり、ヴァン クリーフ&アーペルの創造性の広がりに光を当てるものです。セレクションには、貴石やオーナメンタルストーン、パールを用いた作品も含まれ、素材への深い美学と職人技が時代を超えて息づいていることを示しています」

ナターシャ・ヴァシルチコフ

インターナショナル ヘリテージ リテール 開発ディレクター

すべてのヘリテージ コレクション作品は、追加される前にヴァン クリーフ&アーペルの専門家による厳密な調査と検査を受けています。アトリエでは職人が状態や素材の確認を行い、必要に応じてサヴォアフェールに則った修復作業が実施されます。一方、ヘリテージ部門のバイヤーは、パトリモニー部門の協力のもと、顧客記録、会計簿、保存されているデザイン画を含むアーカイブ全体を徹底的に検証し、真正性を確保した上で作品をコレクションに加え、販売可能な状態に仕上げています。

ハイライト

ネックレス、1955年

プラチナ、ターコイズ、ダイヤモンド(ヘリテージ コレクション)


1906年に創業したヴァン クリーフ&アーペルは、18世紀ジュエリー制作の芸術性が再評価されていた時代背景のもとで誕生しました。創業当初からメゾンは、当時広がっていた歴史主義的な美意識に呼応する作品を発表し、とりわけ1950年代にはそのテーマに定期的に立ち返る姿勢が見られました。

このネックレスは、そうした芸術的伝統がヴァン クリーフ&アーペルの創作に及ぼした影響を体現する一例です。下部にはダイヤモンドで形作られた花綱飾りが連なり、その間にはサイズの異なる7石のターコイズ カボションが交互に配されています。最も大きな中央のターコイズ ペンダントを軸にして、左右の構成が美しく調和しています。こうしたデザインは、18世紀に流行した「デイジー」と呼ばれるリングの形式を想起させ、小さなダイヤモンドが中央の石を囲む様式が特徴でした。

1955年に制作された本作は、古典的な作品の引用にとどまらず、現代的な感性を加えた表現を追求しています。メゾンは伝統的に用いられていたファセット加工のストーンに代わり、ターコイズ カボションを採用することで、その滑らかな曲線と鮮やかな色彩の調和によって、作品全体に軽やかでモダンな印象を与えています。

マルグリット クリップ、1964年

イエローゴールド、ホワイトゴールド、ローズゴールド、エメラルド、ダイヤモンド(ヘリテージ コレクション)


創業以来、ヴァン クリーフ&アーペルは自然界、とりわけ植物を主要なインスピレーション源のひとつとして創作活動を続けてきました。アーカイブに残る記録からも、1907年にはすでにデイジーモチーフの作品が登場しており、それ以降もメゾンの歴史を通じて、様々なかたちで繰り返し再解釈され続けています。

1964年に制作されたこのクリップは、自然主義の理念に基づき、花の形状を極めて忠実に再現しています。幾重にも重ねられた繊細な花びらは、そよ風に舞うような軽やかさを湛えており、巧みに施されたレイヤリングによって立体感と空気感を兼ね備えた仕上がりとなっています。その形状のひとつひとつが調和することで、リアリズムと詩的な美を同時に表現しています。

この作品において見られる構成は、ヴァン クリーフ&アーペルのヘリテージに根ざした創造性の延長線上にありつつも、素材の選択においては1960年代らしいスタイルが際立っています。ダイヤモンドのセッティングには、従来のホワイトゴールドやプラチナに代わり、より暖かみと鮮やかさを備えたイエローゴールドが用いられています。中心にあしらわれた7石のエメラルドは、雄しべのような印象を生み、当時の昼用・夜用ジュエリーにおける素材使いの慣習を優雅に逸脱する提案となっています。

ブレスレットに形を変えるアンジュー ネックレス、1973年

イエローゴールド、パール、ダイヤモンド(ヘリテージ コレクション)


1970年代を象徴するデザインとして位置づけられるこちらのネックレスは、イエローゴールドの台座にダイヤモンドをセッティングし、オープンワークによる繊細なメッシュ構造を採用しています。中央には、大粒のパールが等間隔に配され、作品に立体的な厚みとリズムをもたらしています。重厚さを感じさせながらも、オープンワークがもたらす軽やかさが絶妙なバランスを構成しています。

このネックレスのデザインと構造には、メゾンのアーカイブに残された複数のデッサンが存在しており、それらにもイエローゴールド、ダイヤモンド、パールの組み合わせが描かれています。さらに、この作品は高度な技術を駆使した独創的なメカニズムによって、2本のブレスレットへと分割して装着できる仕様となっており、メゾンの技術的革新が随所に表れています。


オルセー ブレスレット、1994年

プラチナ、イエローゴールド、トラディショナル ミステリーセット ルビー、ダイヤモンド(ヘリテージ コレクション)


ミニマルな美学が際立つ「オルセー ブレスレット」は、端正なバングル型で構成され、対称的に配置された控えめなモチーフが整然と並びます。内側にはパヴェダイヤモンドが敷き詰められ、外側のグラフィカルなラインと響き合うように設計されています。ダイヤモンドとカラーストーンのコンビネーションは1990年代を象徴するスタイルでありながら、そこに込められたサヴォアフェールは、まさにメゾンの歴史に根ざしたものです。

1933年に特許を取得した「ミステリーセット」は、以後、ヴァン クリーフ&アーペルのデザインにおける象徴的な技法のひとつとなりました。セッティングの土台が外から見えないよう工夫されたこの技術によって、宝石の色と輝きはより深く、神秘的なものとして引き出されます。本作では、ルビーのトラディショナル ミステリーセットとブリリアントカット ダイヤモンドが対比を成し、さらにダイヤモンドの配置がクロスステッチを思わせる構図となっています。これはクチュールから着想を得たものであり、メゾンが大切にするもう一つのインスピレーション源です。異なる時代の技術とスタイルが織り重なるこの作品は、ヴァン クリーフ&アーペルが培ってきた伝統を背景に、多様な要素を洗練されたかたちで結びつけてきた歴史を象徴しています。

ヴァン クリーフ&アーペルの歩み

ヴァンドーム広場のヴァン クリーフ&アーペル ファサード、1906年頃(ヴァン クリーフ&アーペル アーカイブス)


ヴァン クリーフ&アーペルの物語は、1895年にアルフレッド・ヴァン クリーフとエステル・アーペル(エスター)が結婚したことから始まりました。1906年には、パリ・ヴァンドーム広場22番地にてメゾンが創業し、以降その比類なき創造性と職人技によって、世界的な名声を築き上げてきました。自然、クチュール、ダンス、そして想像の世界からインスピレーションを受けた数々の作品は、時を超えて人々を美と調和の宇宙へと誘い続けています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       

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