2025.03.08
カテゴリ: コレクション
エトロ 2025秋冬コレクション、神話と創造の起源を巡る幻想的な旅
古代エジプトのパピルス文書には、神ラーの涙が大地に落ち、それが蜂へと姿を変えたという神話が記されています。この蜂はあらゆる植物から蜜を集め、蜂蜜と蜜蝋を生み出しながら生命を広めたとされています。一方、ウィリアム・バロウズは「言語はウイルスである」と語り、また、人類の起源が異星人にあるという説も存在します。こうした伝承や仮説はいずれも、時代や文化を超えて共通する、人類の創造の源を探る試みであり、「今ここ」に至るまでの軌跡をひも解こうとするものです。
ランウェイの中央に浮かび上がる一本の線が、太古の起源から続く道を描き出します。アート・コレクティブ「ヌメロ・クロマティコ(Numero Cromatico)」が制作したこのカーテンには、まるでフィルターのように幻想的な世界が投影され、そこには神話に登場する生き物、すでに絶滅した獣、そして現存する動物たちが種の垣根を超えて共存し、進化の過程を象徴するかのような「動物寓話集(ベスティアリウム)」の光景が広がっています。今シーズン、マルコ・デ・ヴィンチェンツォは、生命がまだ形を成す前の原初の世界を彷徨いながら、素材そのものを基点にコレクションを構築。触覚に訴えかける、厚みのある質感が印象的なデザインへと昇華されました。さらに、プリントはグレーズ加工やラバーコーティング、刺繍とのレイヤードによって重なり合い、奥行きを生み出す重要な要素として機能しています。
滑らかに流れるラインが身体をなぞることで、フォルムを際立たせたり、あるいは柔らかく広がったりしながら、ショートやロング、アシンメトリー、フリンジなど、多彩なシルエットが生み出されます。ウエストを強調するプリーツ、デニムやコーデュロイに這う幻想的な植物、ブラッシュ加工を施したウール、刺繍が際立つセーター、幾何学的なファセットの中で輝くスパンコール。これらの要素が絡み合いながら、生命誕生の瞬間のようなダイナミックな変化を表現し、コレクション全体に独自の世界観を与えています。まるで異星からの訪問者のような生き物たちは、ジュエリーとしてもその姿を現し、琥珀の中に閉じ込められた蜂とともに神秘的な輝きを放ちます。韓国人アーティスト、マリア・ジョンとのコラボレーションにより生まれた幻想的な花の刺繍は、衣服やバッグに施され、コレクション全体に詩的なニュアンスを加えています。バッグは、柔らかく丸みを帯びたシルエットから、クリーンでシャープなラインを持つデザインまで、幅広いスタイルが展開されています。
野生のエネルギーを宿す無垢なウールファーは、原始の風景を思わせる要素として、ハットやコートに採用されています。このモチーフはメンズウェアにも広がり、ジャケット、ダッフルコート、ローブコートへと展開。さらに、サイケデリックなベルベットの生地にも落とし込まれ、エトロのクリエーションに沸き立つような生命力を吹き込んでいます。
【コラボレーションアーティスト:マリア・ジョン】
今回のコレクションにおいて、マルコ・デ・ヴィンチェンツォは韓国のアーティスト、マリア・ジョンとコラボレーションを実現。4種類の限定プリントが特別に制作され、ランウェイを彩ります。
ソウルを拠点に活動する韓国人アーティスト、マリア・ジョンは、ニュージーランドとイギリスでの経験を活かし、東洋と西洋の美学を交差させた作品を創出しています。2022年からは、ワシントンポストやVOGUE KOREAとのコラボレーションを展開し、コンピュータアニメーションと伝統的な版画技法を融合させたデジタルアートを追求。特に「植物シリーズ」では、植物と人間の関係性をテーマに、色彩や形状を駆使しながら独自のビジュアルを生み出してきました。グリーンリーフから始まり、花、キノコ、昆虫と続くこのシリーズは、今なお進化を続けています。
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