ブルガリセルペンティ MB&F 限定モデル、ウォッチメイキングの美学を極める

2025.02.18

カテゴリ: 新作

ブルガリセルペンティ MB&F 限定モデル、ウォッチメイキングの美学を極める

1884年創業のブルガリは、卓越したクラフツマンシップと革新的なデザイン、そして豊かなヘリテージを誇るメゾン。ウォッチメイキングの分野では、イタリアの洗練とスイスの精密さが融合した「セルペンティ」「オクトフィニッシモ」「ブルガリ・ブルガリ」などのアイコニックなコレクションを展開し、独自の魅力を発信し続けています。

一方、MB&F（マクシミリアン・ブッサー＆フレンズ）は、2005年の創設以来、伝統的なウォッチメイキングを再定義するブランドとして独自の地位を確立。手首に纏う3次元のキネティック・アートを追求し、SFやスーパーカー、動物など多彩なテーマから着想を得た「オロロジカル・マシン」を生み出してきました。その名の通り、多くの「フレンズ（仲間）」とのコラボレーションによって時計に命を吹き込むブランドです。

ブルガリグループのCEO、ジャン-クリストフ・ババンは次のように語ります。「ブルガリのウォッチメイキングは、卓越したマイクロメカニクスの専門性と、時代を超越する予想外のデザインが生み出す魅力によって革新を続けています。特に景気が不安定な時期には、ブランドは新たな境地を開拓し、固定観念にとらわれない挑戦を進めることが求められます。進化と美しさ、そして独創的な戦略的思考を持つリーダーたちの手によって、驚くべきクリエーションが誕生するのです。MB&Fとブルガリは、こうした共通の価値観を持つブランドとして、2021年に初めてコラボレーションを実現。その成功を経て、今回、巳年を祝う特別な機会に、ブルガリのアイコンである『セルペンティ』にMB&Fの革新的なキャリバーを搭載し、驚くべき新作へと昇華させました。この『セルペンティ MB&F 限定モデル』は、両ブランドのDNAが見事に融合し、ウォッチメイキングの世界において唯一無二のコレクターズアイテムとなるでしょう。さらに、史上初のジェンダーレスな『セルペンティ』として、性別を超えた魅力を持つタイムピースが誕生しました。マックスとファブリツィオ、二人の才能が結集し、最高峰のウォッチが生み出されたのです。」

再びとなるMB&Fとブルガリのコラボレーション

2021年に発表された「MB&F×ブルガリレガシー・マシンフライング T アレーグラ」は、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニとMB&F創設者マクシミリアン・ブッサーの出会いから生まれました。ブルガリの鮮やかな色石がMB&Fの「レガシー・マシン」に華やかさを添えたこの初コラボレーションは大きな成功を収め、両者は次なるプロジェクトへと踏み出しました。

2度目のコラボレーションにあたり、両者が選んだのはブルガリの象徴的なコレクション「セルペンティ」。1948年に誕生したこのシリーズをMB&Fの精緻なメカニズムの世界と融合させ、新たな次元のタイムピースへと昇華させることを決意しました。こうして、両者のクリエイティブなビジョンと卓越した技術を結集した「セルペンティ MB&F 限定モデル」が誕生したのです。

永遠の再生と変容を象徴する「セルペンティ」を、MB&Fの視点から「オロロジカル・マシン」として新たに解釈するには、機械工学とムーブメント設計だけでなく、ケースデザインや製造においても革新的なアプローチが必要でした。「セルペンティ MB&F 限定モデル」は、インスピレーションに満ちた出会いと、両者が共有するビジョンから生まれた唯一無二のクリエーション。キャリバーとケースが一体となり、互いの魅力を最大限に引き出す構造が特徴です。

緻密なデザインプロセス

「デザインを手がけること自体は楽しい作業でした」とファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニは語ります。しかし、製作過程では無数のスケッチと数えきれない3Dプリントモデルが生まれ、慎重なバランス調整が求められました。「セルペンティ MB&F 限定モデル」のケースは、まるで高級車のボディのように、見る角度によって異なる表情を持つデザインに仕上がっています。どの方向から見ても美しさを損なわないよう、細部まで精密な調整が施されました。

困難を極めたケースの製造

デザインが完成した後、次に待ち受けていたのは製造工程における課題でした。このウォッチのケースはすべて曲線で構成されており、機械加工の難易度が極めて高いものとなりました。ケースメタル部分だけでなく、蛇の目やケースバックを含む5つのサファイアクリスタルも独特のカーブを描いています。さらに、すべてのサファイアクリスタルには両面に反射防止コーティングが施され、広く開かれたバックケースからはムーブメントの精巧な動きを眺めることが可能です。こうした複雑なデザインと30mの防水性を両立させるため、精密な設計と高度な製造技術が求められました。

マクシミリアン・ブッサー氏は下記のようにコメントを寄せました。

「MB&Fが追求するのは、時を刻むキネティック・アート。『セルペンティ MB&F 限定モデル』はまさにその哲学を具現化した作品です」とMB&Fは述べています。このモデルは5軸3Dミルによる精密な機械加工を施したケースに、5つのサファイアクリスタルを組み込んでおり、これらの要素を調和させながら30mの防水性を実現することは、極めて高度な技術を要する作業でした。

ウォッチの常識を打ち破る複雑機構のムーブメント

こうして完成したケース内部には、MB&Fが開発した複雑なムーブメントが搭載されています。ファブリツィオが構想した「セルペンティにメカニカルな命を吹き込む」というアイデアを基に、左側のドームが12時間で1回転、右側のドームが60分で1回転する構造を採用。極限まで薄く加工されたアルミニウム製のドームには、職人の手作業によるスーパールミノバが施され、暗闇の中で蛇の目のように神秘的な輝きを放ちます。

さらに、このメカニカルな蛇の頭部には、2.5Hz（18,000bph）で鼓動する14mmフライングバランスホイールが配され、2つのメゾンの名が刻まれた三次元のバランスブリッジによって固定されています。巻き上げと時刻設定のリューズはラグに組み込まれ、独特の造形美を実現しています。

ケースバックからは、手作業で仕上げられたムーブメントの一部や、パワーリザーブインジケーターが確認できます。MB&Fは徹底したアルチザナルな製造プロセスを維持し、年間生産数はわずか400ピース弱。さらに、「セルペンティ MB&F 限定モデル」のムーブメントは月に6～8点しか組み立てることができず、99点の製造には1年以上を要すると見込まれています。

MB&Fの専門家が見ても、このムーブメントは極めて独創的なもの。2005年以降、MB&Fが開発してきた20以上のキャリバー、特に手巻きムーブメント「HM10」で培われた技術が活かされています。

自動車に通じる要素

このウォッチのデザインには、「セルペンティ」の伝統的な要素とともに、もうひとつのインスピレーションが込められています。それは、自動車デザインの美学です。ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニとマクシミリアン・ブッサーの両者は、自動車をこよなく愛するクリエイターであり、彼らが影響を受けてきた名車のエッセンスが、本モデルの随所に落とし込まれています。例えば、ケースの滑らかなフォルムはスポーツカーのボディラインを彷彿とさせ、サファイアクリスタルにはリアウィンドウのルーバーを思わせる繊細な段差が施されています。さらに、リューズの形状はクラシックカーのホイールを連想させるデザインとなり、ムーブメントには過去の「セルペンティ」の六角形スケールモチーフを反映したグリルが取り入れられています。まるで精巧なエンジンを搭載したかのような機構美が、このタイムピースをさらに魅力的なものにしています。

3つのリミテッドエディション

本作は、各33ピース限定で3つのエディションを展開。ブルーの時・分表示ドームを備えたグレード5チタンケース、グリーンのドームを合わせたピンクゴールドケース、そしてレッドのドームが映えるブラックPVDコーティングのステンレススティールケースの3種類です。

ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニは、本作について「このウォッチをデザインすることは、非常に楽しくも挑戦的なプロジェクトでした」と語ります。技術的な複雑さを伴いながらも、目指したのは単なる時計ではなく、異なるビジョンが交差する芸術作品としてのタイムピースの創造でした。ブルガリの「セルペンティ」は、これまで多くのコレクターを魅了してきましたが、今回のモデルでは、その伝統的な美学に加え、MB&Fの高度な技術と独創性が融合しています。スネークモチーフのエレガンスと、機械工学の精巧さが絶妙に調和し、まさにブルガリとMB&Fが手を取り合ったからこそ生まれた、唯一無二の作品へと昇華されました。こうしたコラボレーションの本質は、双方のブランドのDNAを尊重しながらも、それぞれの強みを最大限に引き出すことにあります。その結果、「セルペンティ MB&F 限定モデル」は、新たな時計の地平を切り拓くアイコニックな存在となったのです。

「セルペンティ MB&F 限定モデル」は、ウォッチメイキングの枠を超えた芸術的なタイムピース。卓越したデザインと革新的なメカニズムにより、時計愛好家を魅了する逸品です。