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ヴァレンティノ 美と儚さの対話、アレッサンドロ・ミケーレによる初の2025年春夏コレクション 'パヴィヨン デ フォリ' を発表

メゾン ヴァレンティノは、2024年9月29日(パリ時間)、フランス・パリにて、クリエイティブ ディレクター アレッサンドロ・ミケーレによる待望のデビューコレクション、2025年春夏コレクション 'Pavillon des Folies (パヴィヨン デ フォリ)’ を発表しました。

Creative Director Finle


私たちは皆、自らの存在の脆さに常に晒されています。それはまるで、割れた鏡の上を恐る恐る歩くようなもの。よろめきや転倒の危険を顧みずには、一歩も踏み出せません。同様に、不安定さを抱えずに生きることはできません。この束の間の世界で、私たちはもがき、そして揺らぎます。しかし、この儚さこそが、私たちに「今」という瞬間の真の意味をもたらすのではないでしょうか。もし永遠の命があったなら、この移ろいゆく美しさは、一体どのような価値を持つのでしょう。

だからこそ、限られた生は「奪うのではなく、意味をもたらすことに貢献している」のかもしれません(ヴィクトール・フランクル)。終わりがあるからこそ、私たちは無秩序な世界に意味と価値を見出そうとします。この混沌の中にこそ、生の神秘を感じ、生きる意味を見出すことができるのではないでしょうか。

この視点から見ると、美とは束の間の生の苦しみを和らげる癒しの存在と言えるでしょう。私たちが「人生」と呼ぶこの航海における、確かな道標なのです。儚さや不確かさとは対極にある美は、私たちを優しく包み込み、心を穏やかにします。その目的は、私たちを癒し、儚さと現実の混乱を鎮めることにあるのです。

では、美とは一体何なのでしょうか?「真の美は無益である」というテオフィル・ゴーティエの言葉のように、美は論理や実用性とは無縁の存在です。しかし、一見無益に見える美しさも、実は重要な役割を果たしていることがあります。例えば、花々の鮮やかな色彩は、受粉という生命の営みを促すためのものです。ミツバチは、美しさに導かれながら、地球の生態系を守るという重要な役割を担っているのです。

「自然界に無用なものはない。無用そのものさえない」というミシェル・ド・モンテーニュの言葉は、真実なのかもしれません。特に、私たちが美を喜びや幸せのために活用するならば。無秩序な世界の中で美を見出すとき、私たちは歓喜という無意味さに心を奪われます。美は、私たちの心を揺さぶり、一体感をもたらすと同時に、私たちの存在意義に疑問を投げかける、捉えどころのない感情の動きなのです。

ここで私が語る美とは、普遍的で規範的な概念ではありません。それは、新たな世界の解釈を可能にする、私たち一人ひとりが持つユニークな能力です。すべてのもの、すべての生命との繋がりの中に、美との出会いは突然訪れます。

それは、芸術作品を完成させた瞬間、あるいは自然の驚異に圧倒された瞬間に訪れる、言葉では言い表せない感動です。それは、母なる大地のような神聖さ、豪華なドレスのような壮麗さ、魂の奥深くに響く余韻、静寂の持つ威厳、愛を求めて光るホタル、雨上がりの土の香り、オーガンザの繊細な質感、図書館の持つ知の奇跡、水彩画の色彩の重なり合い。これらすべてが、美の瞬間と言えるでしょう。

美は、マルティン・ハイデッガーが「alētheia(αληθεια)」と呼んだ真理を想起させます。それは突然の閃きのように、私たちの心を揺さぶり、世界を照らし出します。しかし、その本質は言葉では捉えられず、誰にも正確に定義することはできません。美は、夢見る者たちにとっての究極の癒しであり、「その力を通じて、人は物事の無力さを見ることができる」(エマヌエーレ・セヴェリーノ)のです。それは、私たちを無意味な灰色の世界から救い出す光であり、魔法の薬であり、儚さの深淵へと誘う香油です。まるで、細いクモの糸が私たちを空中に浮かび上がらせるように。

@maisonvalentino

#PavillondesFolies

 
 
 
 
 
 
 
 
     

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