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【ブランド解説】コーチ編

●アクセシブル・ラグジュアリーをコンセプトに新しさを追求し続ける

 アメリカの革小物ブランドとして1941年に創業したコーチ。マイルス・カーンとリリアン・カーンの夫妻とその仲間による家族経営の皮革小物工房としてニューヨークのマンハッタンでスタート。熟練した革職人が手作りで仕上げる商品は、当時としては珍しいメイド・イン・アメリカとして注目を集める。ブランド名「コーチ」の由来はハンガリーのKocs(コチ)という町からきている。コチは世界で初めて4輪の馬車を製造した町であり、コチ=馬車とイメージされていた。そして馬車が人や物を運ぶことから“コチ(コーチ)”=「大事な物を運ぶ際に使って欲しい」という思いが込められ、コーチのロゴの上に馬車が描かれるようになったとのこと。アメリカ開拓の象徴である「馬車」から名付けられたとも言われており、馬と馬車のロゴマーク(絵柄)は「ホース・アンド・キャリッジ」と呼ばれている。

 コーチが商品開発の際に最初にヒントを得たのは、使い込むほどに馴染み味が出る野球のグローブに使用されていた革。丈夫で柔らかく牛革そのものの魅力を活かした革製品を手掛け60年代にコレクション展開を開始。比較的年齢層の高い紳士をターゲットとしており、野球グローブから発想した上質な本革「グラブタン・レザー」を使用して1962年に発表したレザーバッグが人気を呼ぶ。この時のデザイナーは映画の衣装なども手掛けていたボニー・カシンで、ドレスにマッチする機能的なアクセサリーを発表しヒットする。他にキーケースやサングラス、化粧用ポーチといった小物などを手掛けブランドとしての成長を加速させ、1976年には海外店舗を展開。ちなみにコーチの伝統的な金具である「ターンロック」もボニー・カシンが考案した回転式留め具で、バッグのフラップ留め具だけでなくパンプスのアクセントとしても採用されている。当時のデザインは「オールド・コーチ」として今日でも根強い人気がある。

 1985年に世界最大の下着メーカー「サラ・リー・コーポレーション」の傘下に収まり、よりファッション性の高い企業へと発展。2000年10月には新規株式公開(IPO)を行いニューヨーク証券取引所に上場を果たし、皮革製品メーカーから総合アパレルメーカーへと路線変更を行う。90年代はコーチにとって激変の時代とも言え、これまでシニア向けブランドとして定着していた印象を一新してファッションの方向性を大きくシフトチェンジ。1996年にリード・クラッコフをクリエイティブ・ディレクターに迎え、現在のイメージである比較的リーズナブルな価格設定の若者向けのブランドを大きくアピール。デザインや広告も全て刷新、アウトレットを有効活用するなどブランドのイメージチェンジ戦略は成功し急成長を遂げる。2001年にコーチのロゴが散りばめられたキャンバス地のシグネチャーラインが発表され世界的な大ヒットとなり、その後のコーチの方向性を決定付ける。そして2013年にはロエベに在籍していたデザイナー、スチュアート・ヴィヴァースがクリエイティブ・ディレクターに就任。伝統を踏襲しつつ革新的でモダンなアメリカン・スタイルを表現して注目を集め、より新しい世代に向けたコーチとしての進化が提案されている。

 着こなしを選ばないベーシックデザインのアイテムはもちろん、新しく登場するコレクションなどシーズン毎に進化を見せるバッグや財布を発表し続けているのもコーチの魅力である。高級感がありながら購入し易い価格帯の商品を提供することをブランドの使命としており「アクセシブル・ラグジュアリー」をコンセプトに世界中の女性から支持されている。コーチは“新鮮なブランド”というイメージを大切にしているため短いサイクルで新作を発表しており、定番にこだわらず素材や形、デザインなど常にユーザーのニーズに合わせて進化、新しさを追求している。他のブランドと比べても商品ラインナップの豊富さ、バリエーションの充実ぶりには目を見張るものがある。しかもどの商品も手頃な価格に設定されているのでユーザーとしては嬉しい限り。さらにネームバリューもありブランド品というステイタス感も魅力。安価だからといって素材や品質が劣るといったことはなく、コーチの製品はクラフトマンシップに則り、細部にまでこだわった職人的仕事が基本で、これは創業当時の家族経営の小さな皮革工房だった頃から不変。シンプルなデザイン、色使いでありながら確固たる個性の輝きを放つコーチのアイテムはシーンやスタイルを問わずお洒落を演出してくれる。

コーチ公式サイト https://japan.coach.com/

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