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【ブランド解説】シャネル編

●デザイン性だけでなく素材にこだわり実用性にも優れたハイブランド

 女性のためのモードを創り出す・・・・そんなポリシーの元に数々の名品を世に送り出してきたシャネル。デザイン性だけでなく素材にこだわり実用性にも優れたハイブランドと呼ばれるに相応しいシャネルの魅力を歴史を振り返りながら再検証してみたい。

 1910年、フランスはパリのカンボン通りに帽子専門店がオープンした。そのデザイナーこそがココの愛称で親しまれたガブリエル・シャネルでありファッション業界へ進出するスタートとなる。1883年にフランスの田舎町で生まれたシャネルは幼少の頃から独立心の強い少女で20歳の時にパリに出てきた。当時の装飾の多い帽子、きついコルセットと重いドレスが女性服の定番であった時代において、シンプルなデザインの動きやすくて軽い帽子を売り出した。さらに男性用下着に使われていたジャージー素材のスーツ、紳士物であるツイード素材を女性用スーツに仕立ててズボンとして履くといった当時では考えられない画期的なスタイルを次々と発表。また、それまで男性の色とされていた黒を女性服に初めて採用したのもシャネルであり、パールなどのイミテーションの宝石で装飾するというスタイルも確立。シャネルが提案するシックで着心地の良さを追求したシンプル&エレガンスなデザインは新しい女性像であり、そのファッションセンスは瞬く間に人々の関心を集め人気を博すこととなる。これこそが窮屈な服からの解放と斬新なモードの発表であり、ココ・シャネルが成し遂げたモード改革と言われるもの。ブティックも続々とオープンさせ1920年代の世界で最も注目されるデザイナーとして活躍する。ちなみにシャネルのファッションにモノトーンの色調が多いのは幼少時に過ごした修道院で黒などのベーシックな服を着用していたからと言われており、ここでお針子として縫製の技術も身に付けている。 

 そんな躍進を続けていたシャネルも第二次世界大戦が勃発すると全てのブティックを閉店してクチュール界から引退してしまう。しかし、それから15年後の1953年に再びカンボン通りにオートクチュールの店をオープンさせファッション界に復帰するも、従来と同じスタイルのシンプルなスーツはヨーロッパでは不評だった。ところがアメリカでは絶賛された。これは戦後に流行した女性らしい窮屈なラインに対して着心地の良いスーツが現実的なアメリカの女性に好評を得て、徐々にヨーロッパでも人気を回復して復活を遂げる。

 ココ・シャネルは1971年に87歳で他界。その後はブランドとして一時低迷期を迎えるが、それを救ったのが1983年に就任したデザイナーのカール・ラガーフェルド。動きやすくてシンプルというココ・シャネルのポリシーを踏襲しつつ現代的でカジュアルな要素を加えて新しいシャネルを生み出して成功を収める。80年代から90年代にかけて原色や華麗なデザイン、愛らしいプリントなどを用いる試みでフェミニン、ゴージャス、スポーティといった多様なラインを発表。さらにシャネルが生み出したマリンルックなどのデザインをリニューアルして復活させたり、20世紀初頭のラインをクラシカルに回帰するなど、常に斬新でどこまでも女性の側に立ったファッションを生み出してきたココ・シャネルの意思を受け継ぎながら時代に合ったモードを打ち出してきた。しかし、この業界のレジェンドであるカール・ラガーフェルドも先日惜しまれながらもパリで死去した、85歳だった。

 100年以上の歴史を持つシャネルには数々の名品が誕生しており、ココが愛した花カメリアやクローバー、イニシャルであるCC、香水「No.5」のボトルのモチーフなどがアイコンとして現在も存在感を放っており多くの作品に採用されている。そして、そのラインナップは帽子やアパレルに止まらず香水や化粧品、バッグや財布といった小物類、時計やジュエリーにまで拡充しトレンドセッターとしての地位を確立している。これからも多くの女性達をシャネルブランドの虜にしていくことだろう。

シャネル公式サイト https://www.chanel.com/ja_JP/

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