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【ブランド解説】フェンディ編

●個性的なモードブランドとして君臨

 毛皮を中心としたアパレル、バッグなどの革製品、アクセサリーや時計、香水などを扱うイタリアを代表するファッションブランドであり、LVMH(モエ ヘネシー ルイ ヴィトン)グループの中核を担う。数々の名作を生み出しているフェンディの魅力を探る。

 創業は1925年のことでエドアルドとアデールのフェンディ夫妻がローマに革製品店をオープンしたのが始まり。開店当初、ハリウッドで流行していた毛皮のショールに注目して毛皮のコートを売り出したことで大成功を収める。以来、イタリア人女性のステータスシンボルとして人気を博す。経営状態は順調かつ安定したものであったが、1946年に新店舗をオープンしたのを機に5人の娘たちに会社の機能を分割したことでビジネスはさらに拡大する。1965年には弱冠27歳の新進デザイナー、カール・ラガーフェルドを迎える。それまで試されたことのなかった織り込みや重ね込み、エナメル加工、ステッチ使いなど様々な技法を取り入れることによりクラシックな毛皮のイメージを一新させ、クリエイティブで機能的なものに変えた画期的なデザインが話題を呼ぶ。上質な皮革製品を生み出すイタリア伝統のクラフトマンシップと斬新なデザインが融合し、新しい手法と素材への試みが多くの支持を集めた。カール・ラガーフェルドの革新的なアイデアと卓越した職人技によって他の毛皮専業メーカーの追随を許さないラグジュリーで個性的なモードブランドへと成長を遂げる。そして1969年には今までの常識を覆すような斬新なデザインの毛皮コートのコレクションを発表。同時に革製品もプリントや脱色、染色加工といった新しい試みで発表して注目を集めるとともに、その名を世界に知らしめた。また、この時に1940年代からコートやバッグの裏地として使われていた「ダブルF」の柄に着目し、表側に採用することを提案する。これが現代にも受け継がれるフェンディの代表的アイコン「ズッカ柄」誕生の逸話である。ブラウン地にブラック文字のダブルFのモノグラムはブランドの象徴とも言える。

 70年代には毛皮や革製品の他にコートやジャケットなど幅広いアイテムを加えて本格的なプレタポルテをスタートさせる。80年代に入ってもフェンディの勢いは衰えることなく、

既存のダブルF柄に幅広のストライプ柄“ぺカン”を新たに加え、フェンディ初の香水も発表。1990年には衣類と小物のトータルメンズコレクション“フェンディ・ウオモ”を発表している。そして1997年、スタイルオフィス・ディレクターのシルヴィア・ベントゥリーニ・フェンディが新作バッグ「バゲット」を発表し、一大ブームを巻き起こす大ヒットとなる。名称は「フランスパン(バゲット)を小脇に抱えているかのように持ち歩く」ことから名付けられており、カーフレザーやコットンキャンバス素材の他にクロコダイルやファーなど約600種類のバリエーションがリリースされ、これまでに全世界で約40万個が販売されたと言う。1999年にはロールバッグが発表される。2001年の春夏コレクションではズッカ柄のダブルFをひと回り小さなサイズにした“ズッキーノ”が登場した。

 ローマを本拠地とするイタリアを代表する世界的ファッションブランドであるフェンディだが、現在はフランスのLVMHグループに属している。そんなフェンディが新時代へ向かうべくブランドのロゴを刷新。本拠地であるROMA(ローマ)の文字が下部に添えられてシンプルながらフェミニン&エレガンスな雰囲気を漂わせるロゴとなっている。ちなみにフェンディがロゴを変更したのは1965年、2000年に次いで今回で3度目であり、創業時から数えれば4つ目のロゴが誕生したことになる。2015年に創業90周年を迎えたフェンディは、本社をローマのエウル地区にある歴史的記念建造物「Palazzo della Civilta ‘Italiana」(イタリア文明館)へ移転することで芸術的価値を高め、ローマの街とともに新たな歴史を刻み始めている。新時代のフェンディへの期待は募るばかりだ。

フェンディ公式サイト https://www.fendi.com/jp

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